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うちのかあさんしりませんか?  作者: ひまわり
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第1話 かあさん!どこにいったの?

第1話 かあさん!どこにいったの?


高橋家 夜九時


「あー…腹減ったなぁ…かあさんどこ行ったんだよぉ」


玄関のドアの開く音…やっと帰って来たか


「かあさん!どこいってたんだよー!腹がへって死にそうだよー!」


「ただいま…なんだつよし大声を出して…」


「なんだ…とうさんか…」


「とうさんが帰ってきたのに!なんだはないだろ」


「腹が減ったんだよぉ…腹が減ってる時にとうさんに用はないだろ!」


もう三時間も前からダイニングの4人用テーブルに座ってテレビを見続けている…


ゴン!テーブルに打ち付けた頭を横に向けた


「かあさん!腹減ったよー!」


「つよし…かあさんどこに行ったんだ?流石に遅くないか?」


「俺はいちいちかあさんの行動なんてわからないよ。だいたい普段から意味不明な事をする人なんだから…俺が部活終わって帰って来た時には居なかったよ」


「そっか…少しとうさん探してくるよ」


「やっぱ夫婦なんだなぁ…普段は喧嘩ばっかしてんのに、あんな真面目な顔のとうさんは久しぶりに見たなぁ」


かあさんは若い時は毎月誰かに告白されるほど美人でモテたらしい。仕事もバリバリできて化粧品メーカーの広報宣伝部長までやったらしい。女性でキャリアを持った人には珍しく、他の女性社員の人から妬まれる事も無く、部下の男の人達にも信頼されていたらしい…辞めた後も俺が小さい時は、若い男の人達がかあさんにちょくちょく相談に来てた。手土産にお菓子を持ってくると、必ずその場で開けてお茶菓子にしてたから…かあさんにお客さんが来るとエプロンの裾を掴みに行ってたもんな。懐かしいなー、今は大きくなってしまって…ソファに横たわっておしりを掻きながらお茶とおせんべいを前にテレビ見てる姿が芸術的に絵になってるもんなぁ…


そんなかあさんがうだつの上がらないとうさんと、なんで一緒になったのか…息子ながらに不思議なんだけど…家に帰った時にかあさんが居ないってだけで、あんなに心配しているとうさんを見ていると…夫婦ってそういうものなのかなぁと感じさせられる…彼女ができたことも無い俺にはわからないけどな!


「つよし!つよし!」


「なんだよ慌てて…」


「大変だ裏側の人通りの少ない方の道にかあさんの自転車と買い物かごが落ちてた!財布も買い物したものもそのまま落ちてた!」


「え!そうなのか?」


「とうさんは警察に行って裏の通りで事故がなかったか聞いてくるから、お前は消防署に電話して救急車の出動が無かったか確認してくれ!」


全く大袈裟だなぁ…きっと色々忘れて誰かと話し込んで主婦仲間の愚痴でも聞いてるんだと思うけどな


「もしもし救急ですか?あのすみません…今日の夕方から夜にかけて○○区○○近く42歳の女性を救急車で運んだような記録は無いですか?」


「はい…高橋しのぶと言いまして…道路に自転車と買い物かごが落ちてたんです…はい…買い物したものも財布もそのまま落ちてたみたいで…はい…あ…そうですか…無いですか…わかりました。ありがとうございました」


勢いよく玄関を開けてとうさんが息を切らせて走り込んで来た


「どうだった!?こっちはダメだ!該当するような事故は無いって!」


「ちゃんと電話して聞いたけど…こっちも無いって…心配しなくてももうすぐ帰ってくるんじゃないの?」


「だといいんだけどなぁ…」


その頃かあさんはというと…


「あら…ここはどこかしら?道で寝ちゃったのかしら…その割には地面が石畳でひんやり冷たいわね。うちの近くにこんな所はないけど…」


「そうだ!昨日の夜、ネットテレビで韓国ドラマに夢中になりすぎて…ほとんど寝てなかったから、買い物の帰りに自転車に乗りながらウトウトしてたんだ!」


さてそれからどうなってあぁなってこうなったのかしらね…やっと頭がすっきりして来たけど…見た事もない路地裏ね…少し通りを覗いてみようかしら…


そろー…キョロキョロ、キョロキョロ…キョロキョロキョロキョロ…どこ!?


「キャー!!!」


「逃げなくて良いじゃねぇか…お嬢さんよぉ!俺達が可愛がってやるって言ってんだよ!」


「やめてください!」


「心配する事はねぇってーの!」


「ほんとにやめてください!」


「ちょっと!あんた達!なにやってんのよ!」


「みてわからねぇのか?」


「その子嫌がってんじゃないさ!ひとりの女の子に寄って集って…あんたらそんな事して恥ずかしくないの!」


「うっせぇよ!ばばあ!てめぇにゃ関係ねぇから引っ込んでろよ!」


「はぁ?あんた!だれにばばあって言ってんのよ!確かにおばさんだけど…これでもしのぶちゃんって言う可愛い名前があんのよ!初対面の女性に対してそんな失礼な言葉使いして!あんたらモテないわけだわ!」


そういえばかあさんは、俺が小さい頃ショッピングセンターで連れ去られそうになった時、男が刃物を持っていた為、警備員も警察官も近付けなくてモタモタしているのを見ていられず…刃物を持ったその男に、上段回し蹴りを華麗に決めた…倒れた暴漢が急いで立ち上がり、刃物を向けて突進して来た所を、さっと避けて相手の腕を掴みそのまま腰も入れずに腕だけで一本背負いを決めて撃退した事があった。


観衆からは盛大な拍手と賛辞の声がなり響き、かあさんが手を振って応える。というような事があったな…俺もかあさんかっこいいー!って目をキラキラさせたんだよな

(今後もかあさんの説明や昔話は息子目線になります。一応、かあさんは異世界、俺は現代という設定ですが…違和感はお気になさらず…設定とか言っちゃってるし)


「だから…なんだってんだよ!ばばあには関係ねぇだろうが!」


「ぶっちっ!」


かあさんのキレる音が路地裏にこだました!


やはり42歳となり体型もぽてぽてになった今でも得意な初手は上段回し蹴りなのだろうか?一番近くに居た男に炸裂した!蹴られた本人は壁に顔面を打ち付けて伸びている


「くそ!おめぇなめてんのか!容赦しねぇぞ!」


やっぱり刃物を向けて突進して来たやつをさっとかわし、超滞空時間の一本背負い!


「一気にやれ!」


残りは3人。まず襲いかかるストレートをサイドステップで素早くかわし、カウンター気味にアゴに手のひらを付けたかと思うと…アゴを支点に男の身体は宙に舞いそのまま地面に叩きつけられた!残りふたりは左は裏拳、右は上段げり…空手道場のパンフレットで見かけそうな見事な連続技で片付けた!


数分後には大の男がかあさんの前に正座させられ…言葉使いについて、女の子の扱いについて、男について、守るべきものについて、仕事について、などなど…かあさんの説教はしばらく続いたらしい


んと…えーっと…あのぉ…


かあさん!ほどほどにね



第2話 異世界ってなにかしら?に続く






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