ミヲ・・温泉に入る
お風呂・・温泉に入ったことがない。
そんな、ミヲ様ですが・・奇麗にぴかぴかに磨かれちゃいます。
マリアという女性に手を引かれて洞窟の中を幾度も曲がると扉があった。でも、この扉、取っ手がない。一体どうやって開けるのだろうと訝し気に眺めていた私にきづいたのか。
「あら、あら、ミヲ様は、引き戸は見たことないですかねぇ~」と
言いながら、扉を横に引くと 扉は音もなく壁の中に吸い込まれていった。
(なんかよくわからないけど、すごい!と思った。)
その引き戸の開閉に驚き・・目を坂のようにして、引き戸を見つめた。
「ふふふ、知らなくても大丈夫ですよ~、引き戸はフジヤマ位なものですから。」
と言いながら中へと導かれる。
中に入ると床には板が、張られている。壁には、棚があり、棚には大きな籠が置いたあった。
「さぁさ、まずここで履物を脱いでくださいませ・・裸足になって頂きます。」
言われた通りにすると、すっと寄ってきて脱いだ靴を揃えなおしてくれた。
「それじゃ、鞄をおろしてこちらに来てください。ワンちゃんは出してくださいね。」
「・・はい、ありがとう・・」リオルは、まだ鞄の中に入れたままだったりする。
「お礼なんて宜しいんですよ~これが私の仕事ですからね」
と微笑むマリアさんは、なんだかおばさんに似てるような気がした。
鞄からリオルを出してあげる、落ち着かないのか・・グルグルと部屋の中をクンクンと匂いを嗅ぎながら・・・うん、あれは探検だね。
マリアさんの笑顔に気を取られているうちに両手を あげられて服を脱がされた。
音でいうなら・・「スポン!!」て感じで一瞬で身包み剥がされた。
ずっと、被っていた帽子もとられてしまった。いきなりで文句を言う暇もなかった。
私は、羞恥心と呆れるほどの手際の良さに固まったままでいた。今まで人前で脱ぐなんてありえなかったから「まじか!」って感じで。
牧場で、折檻される時だけは、別だったけど。愚図だの、なんだのと理由をつけては鞭で叩かれた。
(いけない!、背中の傷が・・)
思わず、慌ててしゃがんだけどマリアには、見られてしまった後だった。
(しまった見られた・・・なんて言おうか・・)
おどおど、きょろきょろと不審な状況の私を見て
「こんなお小さいのに 大変な苦労をなさったんですね・・」
と又しても涙ぐんでしまうマリア。
「さぁさぁ、辛いことも全部奇麗に洗い流しましょうね~」
と、最後の頼みの綱の下着も もぎ取られた。
(いやいや・・ホント信じらん無いよーと虚無になる)
「おやおや、まぁまぁ・・ミヲ様は、お嬢様だったんですねぇ~、私も長いこと生きてますけど、、騙されちゃいましたわ~。」
私は、恥ずかしくて。。きっと顔は、真っ赤だろう
「そんな、騙すつもりなんて無かった。聞かれなかったから・・それに男の恰好じゃないと・・」
「大丈夫ですよ~、じゃ、奇麗にして、坊ちゃんのことも驚かしちゃいましょ!」
そう言うとマリアは、いたずらっ子のように笑った。
(坊ちゃんて・・きっとハルカの事かな?
「あー楽しみだわぁ~さ、こちらへどうぞ」
マリヤに促されて奥へと進んで、壁のような大きな布を潜ると・・湯けむりが立ち込めていた。
右側には、大きな岩をくりぬいて、四角い井戸のような物がある。
井戸と違うのは、そこにちょろちょろと流れているのが水ではなくお湯が流れていること。
(これがお風呂か~)
本当にお湯が、張ってある。
「湯船につかる前に汚れをおとしましょうねぇ、そこに腰を下ろしてくださいまし」
目の前に 木でできた台のようなものがある。初めてなので恐々座る。椅子よりは低く、でも膝を抱えるほどではない。
「さて、髪の毛から洗いますからミヲ様、しっかり目をつぶってくださいまし~」
冷たい水を掛けられたことしかないミヲは。冷たさを思い体を硬直させた。頭からお湯をかけられて、驚いたけど、熱くも冷たくも驚いたけどほっとした。
目をつぶっていろと言われたのだが、髪の先から落ちる水が、あまりに黒く汚れているのでついつい見てしまった、思わず、「うわっ!きったな~」と呟いてしまう。
3回ほど、お湯をかけると汚れが出なくなった。
「次は、石鹸であらいますからねぇ~」
ミヲの髪の毛を手に取って何やらキュッキュッと揉み洗いしている。
洗った後に又、お湯を頭からかけられた。
(石鹸とはなんぞや??)
牧場では、灰か荒い砂を使って奇麗にしてた、そんなものは使ったことも聞いた事もなかった。
「あらあら、またまたビックリ~!!」
と楽しそうにマリアが驚いている。
今度は、なんだろう?と目を瞑ったままマリアの方へ顔を向ける。
「まさか、ミヲお嬢様の 御髪がこんなにきれいな色だとは思いませんでしたわぁ~」
「・・・私の髪の色は灰色です・・奇麗じゃありません・・」
「ふふふ、違うんですよ、後で鏡でご覧になってくださいね。」
「鏡って、なんですか?」
また、知らない言葉だ。私が、余りにも世間知らずなのだろうか?心配だ。
「ふふふ・・・・後のお楽しみですよ~」
少し間があいて
「さ、今度は体を洗いますからたってくださいね。目は、瞑ったままでいいですよ。傷にしみないように優しく洗いますからね。」
と柔らかい布で優しく全身を洗われた。気持ちよかった。
「じゃ、そろそろ湯船につかりましょうねぇ~、肩までしっかり入ってくださいまし~」
湯船への入浴を促された。
「ここの温泉は、擦り傷や切り傷にとっても良いいんですよ。お肌もすべすべに~」
「ミヲお嬢さんが、湯船にいる間にワンちゃんも奇麗にしましょうね~」
出来る使用人のマリアさんは、リオルを捕まえて洗い始めた。
リオルの体が、見る見る泡だらけになった。小さな石のような塊が、石鹸というものらしい・・。
今度は、私がリオルを洗って上げたいと思った。
見る間にリオルは、泡の塊となった。そして、ミヲと同じように頭からお湯をかけて、泡を流される、リオルもやっぱり三回、お湯を掛けられた(笑)
「まぁまぁ、このワンちゃんも横れた白い犬なのかと思ったら・・違いましたね~」
「えっ??リオルは、白ではないのですか?」
「このワンちゃんは、白じゃなくて銀色ですよ。ハルカさんと同じ色ですねぇ~」
(不思議なこともあるもんだ、だけどハルカさんと犬を一緒にして良いのかな?)
なんて思った。マリアさんて・・割と大雑把な自由人だ。
笑いをごまかすようにお湯の中に潜る。すると、私の髪?と思うものがお湯の中で広がった。
(え?なに・・この色・・。)
「そろそろ、でましょうねぇ~」と先ほど服を脱いだところに戻る。
どこを探しても・・さっき脱いだ服が見当たらない。それとカバンも・・。
「ふふふ、汚れてましたから、洗いに出してます。奇麗になったら返しますね。それまでは、こちらの物をおつかいください。」
「これは??」
「そちらは、巾着と言って、エリアでは、普通に使われている鞄のようなものです、気にいって頂けると宜しいんですけど・・嫌いなお色でしたか?」
「いいえ・・とても奇麗です・・」
緑と黄色の格子の袋を手にとり見つめた。
巾着に気を取られているうちに体をタオルで拭かれた。頭も念入りに水気を取り乾かす。
どこからともなく暖かい風が、髪にあたり残った水分を吹き飛ばした。
「勝手にマリアが選んでしまいましたけどね。ミヲ様にピッタリだと思いまして」
そこには、淡いピンクの花弁と少し濃いピンクのパピリオ(蝶)が描かれていた。
「絶対に似合います。これは、浴衣というものです。着方は、すぐに覚えられますよ」
そういって、着付けてくれたのだった。
(布を巻きつけているとしか思えないのだけれど・・覚えられるだろうか?)
「さ、鏡をみてくださいまし」
壁のほうへと押しやられると、そこには、浴衣を着た小さな女の子がいた。女の子は、さらさらの黒髪だった、私の髪とは似ているようで・・似ていない?
「鏡とは、又の名を姿見ともいうのですよ、自分の姿を見るものなんですよ~」
女の子の後ろにマリアがいた、思わず後ろを振り返った。
「鏡を見たことがなかったら分かりませんか~、これ、ミヲ様ですよ~可愛いですねぇ~」
(えっ・・嘘・・これが私??信じられない・・。)
又しても今度は、鏡の前で固まった。
姿見に中は、サラサラの黒髪にラベンダー色の瞳をした少女が、いた。
ずーっと、ミヲの髪の色で悩んでいました。ラベンダーんの髪にしようか。。サラサラの黒髪にしようかと。で、黒髪に決定しました。