ミヲという少女
いよいよ、本編の始まりです。これは、惑星『initiumイニティウム』に降り立った人々の子孫のお話です。initiumイニティウムは、ラテン語で始まりを表します。
時系列で話は、進みません。ごめんなさい。
きっと、思い付きでかいてるからでしょう。
ドラゴンとかグリフォンとか、霊獣とか魔獣とか・・出てきます。
はぁー、幸せ!!
「ガルゥー・・」「ガルゥー・・」
「キシャーー・・」
大きな地響きと動物の争う声に目覚めた。
起きようとして思いっきり頭をぶつけた。『ごつっ・・」と鈍い音がして鈍い痛みに涙ぐむ。
「痛いっ!!・・なんで頭ぶつけちゃう訳?・・」
まだ、自分の状況が、良くわからないミヲだった。
「あ、そうだ・・キングスネークがきて・・私隠れたんだよね・・キャー!!」
竈が揺れる、そして何かが、争っているらしい音と声。
「ガルゥー・・」「ガルゥー・・」
「キシャーー・・」
バサッ・バサッと羽ばたきの音がして。ドシーンと音が響いて又、揺れる。
竈が崩れて逃げ遅れたら大変だと慌ててリオルを抱きかかえて、外へ逃げようと出口に向かう。
丁度、竈から首を出した時に大きな鳥の頭がこちらを覗いていた。
「キャー・・嫌!・・ウソォー、お願い食べないで!!」
驚いたミヲは、リオルを後ろに庇い・・竈の奥へ逃げようとした。
『ハルカ~、ココ二子供ガイルヨー
丁度、竈に首を突っ込みながら大きな鳥の頭がこちらを覗いていた。
「キャン・キャン・・」と吠えるリアルを捕まえて叱る。
「ダメ、リアル静かにして!!」
「ウゥ・・・」
叱られたのが、納得いかないように唸りながら私を見る。
その時、大きな鳥の後ろから軽い足音がした。
「どうした?クー何か見つけたのか??」
『ウン・・・ココ二、オオカミト子供。』
「でかしたクー! そうか、生存者がいたんだな、良かった・・」
大きな鳥が、入口から少し横に退くと一人の少年が、微笑みながら手を差し出した。
「怖かっただろう、もう大丈夫だからね・・さ、こっちにおいで」
膝まづいて私に優しく話しかける。
そんなことをしたら騎士服が、汚れちゃうのに・・。
「大丈夫、一人で出れる。」
リオルを先にだしてゆっくりと這いながら竈からでた。
ちょっと、膝をすりむいたけど気にしない。このくらいの怪我は、いつものことだから
改めて少年を見た。少年は、銀色の髪に優しそうな蒼い空を思わせる色の目だった。
「始めまして、僕はハルカ。この子はグリフォンのクー宜しくね。」
『ボクハグリフォンノクーダヨ』
『ボクノナマエハ、クー!グリフォンノクー!』
「私はミヲ・・この子はリオル。宜しくね」
リオルを両手で抱えてクーに見せる・・クーは、興味深々だ。
『リオル・・・イヌチガウ・・オオカミ・・フェンリル・・』
「え?・・フェンリル??」
驚いたハルカが、振り返ってリオルを見た。
目の前の大きな鳥が、話かけてくる。大きな鳥だと思っていたが、下半身が、ライオンのようだった。
僕と言っているのだからきっと♂オスなのだろう。
「さっきから気になっていたんだけど・・君は、クーの声が聞こえるのかい?グリフォンが怖くない?」
「・・聞こえるっていうか、言ってることは理解できるわ。」
驚くことも無く・・何でもない事のようにミヲは答えた。
「本当に?」
「嘘を言ってもしかたないでしょう?それに怖くもないわ」
そう答えて真直ぐに少年を見た。
暫くあっけにとられた様にしていた彼が言う。
「確かにそうだけど、これはとてもすごいことなんだよ。」
ハルカと呼ばれた少年は、興奮してミヲの腕をつかんで振り回しそうな勢いで話す。
『オチツケハルカ・・ミヲガ驚イテル』平然とクーがハルカを諭す。
するとハルカは、少し照れながら・・「ごめん、つい嬉しくて・・。」
(何が、そんなにうれしいんだろう?)
ミヲは、不思議に思った。
改めて周りを見回すと先程までの戦闘のような物音はすっかり止んで、静寂の中にたたずんでいることに思い至った。」
「君は、一人でここに隠れていたの?」
「うん、すぐに隠れろって誰かの声がしたの・・・で、キングスネークはどうなったの?皆はどうしたの?おばさんは、無事なのかしら?」立て続けに問うミヲ。
ハルカに改めて聞き返した。
「あれが、キングスネークだってよく気が付いたね。」
「大人の人なら森の中に逃げれば大丈夫だよね?」
と問うと・・。
少年は、言いずらそうに首を振った。それで、大体の予想がついた。
(まさか、みんな助からなかったの?)
「それが、そうでも無いんだ・・動物達の血の匂いで 他の魔獣も寄ってきて森は・・・・」
「・・そうなんだ・・森に行かなくてよかった・・」と、そっと呟いた。
「だから、君は森に逃げなくてよかったんだよ・・君だけでも無事でよかった」
二人の声が、重なった。
なぜか、涙が頬を伝い落ちた。泣きたいわけじゃないのに。
(涙がとまらない・・どうしよう・・)
泣き止まない私に ハルカはどうしていいのかわからずに途方に暮れる。
灰だらけの顔に涙の跡が残る。
慌てて上着の袖で拭いたけど、上着も灰と煤で汚れていたのできっと余計にきたなくなったかも?
「そうだ!もう、ここには誰もいないし、住めないだろうから砦まできてくれるかな?」
「・・・砦?」
「良かったら僕のドラゴンで一緒にいこう」
「ドラゴン?クーじゃなくて?」
「クーに二人と1匹じゃ乗り辛いからね。」
誰もいなくなった牧場に居続けることも出来ない。森は魔獣の住処だし・・。私一人では、どうにもできない。
「わかりました。少しまってもらえますか?荷物を取ってきます。」
そう伝えると寝床のあった場所へと走った。
寝床のあった所は、どうやら無事だったらしい。荷物といっても大したものはない。
汚れた服を脱いで 少しだけましな服に着替えた。
(灰だらけだったから・・)
枕元から麻布でできた肩掛けかばんをだして。身の回りの小物とリオルをいれた。
これなら リオルを抱きかかえていなくとも大丈夫だろう。
「リオル・・一緒にいこう!!私達には、もう誰もいないの・・だから」
そういうと鞄の中のリオルを抱きしめた。
外に出るともう、夜は明けていた。今までの肌寒さが嘘のように強い日差しが照り付けてきた。
家畜小屋だがあった場所は、微かに煙が、たなびいて見るも無残な状況となっていた。
物心ついた時から、奴隷のようにこき使われ、虐められてきた。だから ここを離れることになんの 未練もない。小指の先ほどの郷愁すらわかない。
それでも一言だけふり返って呟いた。
「さよなら、昨日までの私。おばさん・・・ありがとう」
また、涙が頬を伝って落ちた。
「これからは、幸せになれるように頑張るよ。本当にありがとう・・。」
最後に頭を下げ、振り返らずに前を向いて歩き始めたミヲだった。
クーとハルカに初めてあいました。
これから長いお付き合いです(笑)