【プロメテウス】との出会い 1
いよいよ、秘密が解き明かされていきます。
いきなり、出かけることになった・・・私達。
そっと扉を開けて、廊下をキョロキョロ・・。
( よし・・誰もいない・・今のうちに・・。)
扉の外を確認して、部屋の外に出る。
『んじゃ、案内するからついてきてね~』
ぷるるんと震えた後・・ぽよよんと弾むように廊下の先を案内してくれるライム。
『多分、だれとも会わないと思うけど・・、見つかってもだいじょうぶな様に小さいままで行くね。』
ほんと、このスライムは気遣いの出来るスライムさんなのです。
程なく、診察の帰りに違和感を感じた場所へとやってきた。小さくなっていたライムが、ぷるるんと震えて、大きくなって、伸びあがるように壁の一部分を撫でている・・。何かを探しているような行為に私は、首をかしげるだけだ。
『あぁ、在りました・・美桜さま、ここに色の違う部分があるのが見えますか?』
「暗くて良く見えないけど・・なんだか肌触りがツルツルしてるところ・・此処かな?」
『そうです。そこに手のひらを押しあててください。』
「こう??」
言われたように右の手のひらを押し付けた。
暫くすると、手のひらを当てた部分の上のあたりに赤い光が、点滅し始めた。何が、怒ったのか解らずにじっとそのままで固唾を飲んでいた。
すると、今まで目の前にあった壁が横に移動した。壁だと思っていたのは、扉だったようだ。
ふと、風が流れてきて扉の中の纏わりつくような空気は動いた長い間、どんな者の侵入も拒み続けたような重く饐えた古臭い匂いがした。
扉の中は、真っ暗で何も見えない、深淵の闇のような暗さだった。
『先にいくね~』とライムが声を掛けて行ってしまった、先を行くライムを見失わないようにと仄暗い床に足を下ろす。
すると足元から光が、溢れた。それは、優しいオレンジ色の暖かい色の光。
ライムの動きにあわせて、花が綻ぶように 光の花を咲かせた。その光に見とれて、暫くの間ぼーっとしてしまった。かなりの数の光が、暗闇を照らした。気が付くと後ろの扉は、元道理に壁になっていた。
『生命反応を感知しました』と誰もいない空間から声がした。
「誰?誰かいるのですか?」
遅る恐るでは、ある者の何もない空間に声をかけた。
『声紋の精査・・・終了!櫻井花音の娘、美桜を確認』
と、無機質な女性の声で応えがある。
「一体、なんの話をしているのですか?」
『お帰りなさいませ美桜さま、お待ちしておりました。どうぞそのまま、お進みください、』
真直ぐ進むことが、正しいのかどうかも解らないけれど、案内人のライムはもう、ずっと先に言ってしまった。立ち尽くしている訳にはいかない、進むしかないのだ。
光の道を進む。また壁が、目の前に立ちはだかったかと思ったが、やはり扉で音もなく開いた。
扉の奥には、煌めく光と見慣れた風景が、存在していた。
少し、誇り臭い気もしたけれど、夢で見た場所・・。父と母の思いでの詰まった場所。
椅子の上には、ライムが寛ぐ様に腰かけていた。
『美桜・・覚えていますか?ここが、貴方と家族の住んでいた場所です。』
「・・・」
声にならない返事をしてうなづく、、いつの間にか頬を涙が伝い、嗚咽が、喉から締め出されるように・・私は泣いていた。
すると、先ほどの女性の声とは別の男性の声で話しかけられた。
「私の名前は、プロメテウスと申します。今のあなたに足りない情報を与えることが出来ます。花音さまから美桜が、訪ねてきたら力を貸して欲しいと依頼されておりました。」
「・・・・プロメテウス・・・」
「はい、私は【プロメテウス】です。地球の人々と宇宙を旅をして、櫻井花音の依頼を受け、あなたの訪れを千年もの時をお待ちしておりました。」
「・・千年・・・も・・・」
何もない空間を見つめ、そっとため息をつく。
「ライムの案内でここまで来ました。私は、今まで自分の記憶が封印されていたために何があったのか詳しくは、解らないのです。それで私に教えていただけますか?両親の事を。」
「もちろんです。それが私の存在理由なのですから・・では、そのまま前にお進みください。」
【プロメテウス】と名乗る声に導かれるように進むと床からの暖かな光の環が現れた。
目の前にひと際明るく輝いている床がある。
大きな丸の中に星のような模様があり。周りには文字のような模様が、刻まれていた。
「・・奇麗・・」思わず・・言葉が零れた。
『転移門だよ・・』
先ほどまで椅子でくつろいでいたライムが、いつの間にか私の隣に来ていた。
「転移門・・」
『それでは、中央へと移動お願いいたします。これより【Tbellus Terra】(ペッルス テラ)へと転移させていただきます。』また、無機質な女性の声で告げられる。
「【Tbellus Terra】(ペッルス テラ)・・・とは?」
「それも全ての知識をあなたに お渡しいたしましょう・・それでは、始動!!」
「・・・ちょっと、まって・・・心の準備が・・」
焦る私の言葉は、届かなかったようだ。思い切り目を瞑った。
どこかに移動した感じは、まったくない。胸の鼓動が、ものすごく早い。
「着きましたよ、どうぞ目を開けてください。」
【プロメテウス】が語り掛けて来る。
こわごわとそーっと閉じた瞼を開くと・・。
「・・うわーーーーーーー!!!なにこれ!!」
目の前に広がるのは、星の海だった。
大きな星、眩い星、赤い星・・・そして、足元に大きな球体が見える。
「ここは、どこですか?・・。」
「あなたの住まう、妖精の住む星『initiumイニティウム』の上です。」
「これが、イニティウム・・奇麗な星ですね。てか・・まるいのですね・・。」
初めてみる風景に心臓の鼓動が、止まない。兎に角、全てが初めて見るものばかりなのだから仕方ないだろう」
暫くの間、足元の星を飽きることなく見続けていた。
過去の話は、一応三話構成になる予定です。
まずは、【プロメテウス】の第一話です