いきなりピンチ!
いよいよ、本編の始まりです。
これは、惑星『initiumイニティウム』に降り立った人々の子孫のお話です。
initiumイニティウムは、ラテン語で始まりを表します。
時系列で話は、進みません。ごめんなさい。きっと、思い付きでかいてるからでしょう。
たくさんのドラゴンとか出てきます。宜しく
『・・・ミヲ・・オキテ!ミヲ・ハヤクカクレテ・・オネガイ!!』
その声は、急かすように私に話しかける。
「うーん、まだ眠いよ。昨夜は遅かったんだから。もう少し寝かせて・・」
寝ぼけながら・・謎の声にこたえる。
『ダメ・・モウスグマモノ来ル・・イソイデカクレテ・・オネガイ!』
その声は、とても必死だった。切迫しているような声に まだ、起きたくないが目を開けて声のする方に目をやる。まだ、夜明け前の部屋の中は、薄暗く傍に何が居ても解らない状態だ。
勿体無いからと灯りのような物は、ミヲは、持たされていなかった。ミヲは孤児だったから。手探りで一枚だけ持っている薄い上着を羽織り声のした方へと部屋の外に出る。
もうすぐ夏だというのに秋のように肌寒い日が、続いていた。この薄い上着も賄いのおばさんに貰った物。
「そんなんじゃ、風邪引いちまうよ~、古いもんだけど良かったら着な・・私も昔は瘦せてたんだよ」 と大きな声で笑いながら放り投げて来た。
「ありがとう」小さな声でお礼を言ったっけ・・。
みんな、ミヲに辛く当たるけど・・おばさんだけは違った。いつも大きなお腹を揺らして笑っている。
「辛いときってのは、いつまでも続くもんじゃないんだよ、いつかアンタにも良い事がきっと来るさ。」
そう言って励ましてくれたり、こっそりお菓子を恵んでくれた。
元気で気の良い優しい人だ。
外へ出るとまだ夜明け前の空には、星が瞬き東の空が薄っすらと明るくなり始めている。
いつも同じ場所で輝いてる双子星は、今日も奇麗に見えた。この星は、他の星と違っていつも東の空の同じj場所にある。明け方の夜空には、月の姿は、見えなかった。
白々と夜が明け始めようとしているような紺色のビロードに宝石をちりばめたような空。
これといった異常は、無いように思えた。明け方の空気が冷たくて指先が冷えて仕方ない心なしか、そっと吹きかけた息も少しだけ白い。もうすぐ夏なのに・・・。
「もう、何でもないじゃん・・・もう一回寝よう」
と小さく欠伸をこらえて寝床に戻ろうと、後ろを振り向いた時、突然多くの動物たちの鳴き声が聞こえた。突然、牧場の家畜小屋から家畜達の叫び声がした・・尋常ではない鳴き声に家畜小屋の方へと振り返った。馬や牛・羊の声に紛れて聞いたこともないような恐ろしい声がした。その時。
「キシャァーー」
と聞いたことのない声がした。
その声を聴いた私の足は、恐怖で震えて動けない。
「どうしよう・・・・怖い・・」
動けずにいると私の足元に白い毛玉が飛んできた。最近飼われ始めた。生後4ヶ月程度の牧羊犬が、足元を通り抜けていった。そして、まるで私を守るように四肢を踏ん張って家畜小屋の方を睨んで低く唸っている。
「リオル・・だめ!!早く逃げよう」一緒に逃げようと子犬に呼びかけた。f・7f
「キシャァーー」
家畜小屋のほうから火の手が、上がった。その大きな炎の中から大きな蛇の頭が、見えた。
あれは・・・多分、キングスネークだ。。。話では聞いたことがあるが、実物を見るのは初めてだった。
その蛇は、素材として尊ばれているが、雑食で性格は至って獰猛で狂暴。牛や馬など一飲みにできそうなほどに大きな口だ。多分・・最近の天候不順で餌が、少なく・・家畜を襲ったのだろう。
キングスネークは、皮ではなく鱗を纏っている。真珠のような色合いと輝きで高硬度。燃え上がる火の粉と炎で赤く輝いて見える。
刃物は、殆ど役に立たないので、それなりの武器を携えた冒険者や騎士団が、まとまってかかってやっと倒せるかどうからしい。天敵のドラゴンやグリフォンでないと倒せないというので、出没すると竜騎士団に知らせるのが常である。
「竜騎士団」とは、云うが実際には竜だけではない。普段は魔獣認定のドラゴンやグリフォンだが、騎士と感応すれば奇獣として所属することが出来る。保護政策が、進んでいまでは、野生の野良ドラゴンなどは見かけないらしいけど。
ここは、辺境の地で竜騎士団もない。異変に気付いた領主が、助けを求めても到着までは暫くかかるだろう。私の足では、そんなに遠くまで逃げることはできそうにない。
(さて、どこに逃げればいい??)
その時、呼びかけられた声を思い出した。
『ハヤク・・カクレテ・・』てと言っていた。逃げろではなく隠れろと・・・・。森に逃げることも出来るが、隠れる・・。蛇は、火が嫌いなはずだ・・。
だったら煮炊きする竈は、どうだろう?あの中なら私とリオルなら十分に入り込める。
そう思った途端に私を守ろうとしている小さな戦士を抱きかかえて、炊き出し小屋へと書けた。
いつもなら火が入り始める時間だけど、今日はこの騒ぎでまだ、誰もいない。勿論、竈に紐入っていなかった。
炊き出し小屋の中には大きな竈かまどがある。家畜用のエサを煮炊きする竈だ。竈の入り口は、小さくて子供一人がやっと入れる大きさだ。中は、十分に広い。
この竈の灰を 中からかき出し捨てるのが、リオの仕事。昨日煮炊きした竈竈なら、今日は煮炊きが無い。中の灰を 少しかき出してレオルを先にいれて自分んも潜り込む。
もう、火は消えていて熾火もないのでやけどの心配はなさそうだ。まだ、熱が少しだけ残っていて暖かい。
少しだけ緊張がほぐれた・・・。「ありがとう」そう言ってリオルを胸に押し当てるように抱きしめた。リオルの心臓の鼓動が聞こえる。
「どうぞ、キングスネークに見つかりませんように、どうか助けてください。誰か助けて・・。」
何度も何度も祈った。
過度の緊張と睡眠不足のせいで・・。泣きながら意識を束なした。
薄れいく意識の中でまた声がしたような気がした。
『マッテテミヲ・・モウスグ・・アエル・・』
主人公のミヲは、孤児です。そして、記憶もありません。
どうして、、は、この後追々謎ときしていきますね。