ルールーのお茶会は危険な香り(2)
怒涛のお茶会の続きです。
いろんな事がてんこ盛りでちょっと・・現実逃避中!!・・かな?
「いや、ちょっと待ってください。余りにも突飛すぎてついていけないのですが、、」
(嘘じゃないなら何だっていうの?誰か教えてくださーい!!あ、今説明されてるんだっけ・・?)
一度に伝えられる情報が多すぎて、私の頭の中はもう爆発寸前。しかも千年前ってなに?なぜ、千年後の世界に私はいるの?・・・解らない。
よし、検討違いのことを考える・・・・思考停止の現実逃避だ。
気持ちを落ち着けようと先程、執事妖精ロロの入れてくれた飲み物を飲んでみる、ほんのりと甘く優しい香りがした。初めてなのに懐かしい味。
『サクラの紅茶だよ~』と得意そうにライムがぷるるっと体を揺らす。
紅茶のおかげで少しだけ気持ちが落ち着いた。
「千年前って・・私は・・なぜ?ここに??」
『千前年前にお二人は、敵に捕らわれました、その時、美桜様だけでも助けようと妖精達の力を借りて時空の歪に逃がされたのです。それが偶々千年後だったということです。美桜様には、精霊王の力を得てご家族を取り戻していただきたいのです。本来の姿にお戻り頂いて・・。』
スケールが、大きすぎてついたいけない・・ちょっと、遠い目にねる
「敵とは?」
『掻い摘んでお話しますね。お二人を捕らえ閉じ込めているのは、軍神アレス様と、その妹、多くの災いの母女神エリス様です。』
「え?神?なぜ神が、そのようなことを・・。」
『軍神アレス様は、イオグニアス様の力を求めております。そしてエリス様は、美しいイオグニス様に以前より並々ならぬ執着をされておりました。ある晩、杯に毒を盛り自由を奪い我が物にしようとなされたそうです。麻痺毒により逃れる為に剣で自分の足を刺し、意識を覚醒させ転移魔法にて逃れたそうでございます。その時に花音様と巡り会われたとか・・。これは、ずべてライムから聞き及びました。』
『イオグニス様は、悪用されるのを防ぐため自身の力を封印されました。そしてご家族で平和に暮らされていたのですが・・とうとう、あの日見つかり連れ去られたのです。』
「お父様、お母様・・。」
夢で見た優しく微笑む父と母の姿を思い出す。なぜ、そっとして置いてはくれないのだろうか。
『イオグニス様は、美桜様が15歳の誕生日をお迎えになったなら全てを話してほしいと私共に託されました。力を取り戻すもそのままも美桜様に委ねると・・。』
『でも、誕生日に間に合ってよかったよ~、千年後に転移したけど、場所が特定出来なくてさ~、ちょっと焦ったよ』
ライムがプルプル震えながら話す。
『そこなスライムの王は、行動は早いが何事にも雑でな~、セッカチで突っ走りおる。全く後先考えずに行動するのは、問題じゃぞ・・。私とルールーが良い迷惑じゃ、【プロメテウス】様も申して居ったろうに。』
(まさかの失敗談ですか?・・また一人知らない名前が??)
「【プロメテウス】様という名に聞き覚えが合うのですが・・?」
『【プロメテウス】様は、、貪欲に知識を欲し全ての情報を網羅し記憶うるものとでも言えばよろしいでしょうか?いつも花音様のおそばに居られましたから、美桜様もご存じかもしれません。』
(そうか、、子供の頃に有ったことが有るのかもしれないんだね。。。)
『大体、大筋ではこんな感じでしょうか、お時間は十分ございます・・ゆっくりお考えくださいませ。因みにこの場所は、時が止まっております。外の時間が、進みすぎないようにしてありますので。』
時間、忘れてた!!黙って部屋を出てきたから、私の姿が見えなければ心配をかけてしまう。急いで戻らないと・・・。
「みなさん、お話をありがとうございました。エリアの人たちが、心配すると困るので今日は、これで失礼します。それで・・お逢いしたい時には、どうすればよろしいのですか?」
『私ルールーに用事なら桜の樹の所で声をかけてくれてもよいですし、・・ライムが一緒に行きたがってるから良かったら連れて行ってくれるかしら?ライムが居れば、すぐに連絡が付くから。話し相手が欲しかったみたいなの・・宜しくね。それと、封印していた真実の姿にもどしておきますね。ただ、普通の人には、見えませんので・・安心してください。』
そういうと、美桜の前髪を上げて、額にそっと触れた其れが済むと、どこからともなく手鏡を取り出して顔を見せてくれた。
私の額には、真っ赤な星型の宝石用に煌めく痣のような?ものが・・。
『では、またおあいいたしましょう・・』
と言って辺りを見渡した。出口が見当たらないのだ・・どうしたらいいの~??
『ライムにお任せ~、ワン君もこっちにきて!!』
リオルを抱っこしてライムの傍に寄ると・・。
『転移しまーす!!』
いつの間にか、桜の樹の前に立っていた空は、白々と夜が明け始め、東の空の双子星が、キラキラと輝いていた。
隣にいた筈のライムが見当たらない。
どこに行ったのかと観るとリオルの頭の上に小さなスライムが居た。
「まさか。ライムさんですか?」
『スライムのライムだよ~』陽気に挨拶しながらプルㇽと体を揺らした。
みんなが目を覚ます前に部屋に戻らないと・・。
「リオルお部屋までお願いね・さ、みんなに見つかる前に部屋に戻ろう。」
「ウォン!」と鳴いて 付いて来いとばかりに頭の上にスライムを乗せて走りだした。
色々気になることはあるけど兎に角、今日は、疲れた・・早く布団に潜りたい。目が覚めたら全部夢でしたなんてこと・・ないかな?と切実に思ったのは、間違いじゃないと思う。
危険なお茶会は、終わりを告げました。もろもろの問題をおざなりに・・・
美桜ちゃんに平和毎日は訪れるのか?乞うご期待!!