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星の末裔(改)~遥かなる時の中で~  作者: 白智(ぱくちー)
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サクラ吹雪の中に

夢のなかでのお話が、現実になる。

 慣れない緊張の連続のせいか、まだ、夕方だというのに眠くて仕方がない疲労困憊。

 篝火(かがりび)を焚いて広場でみんなで食事をするのだそうだ。でも、私は、睡魔には勝てそうにもなくて、ウトウトしていると。


 「お疲れのようですから、少し横になられますか?」

 と、マリアが聞う。それに答えるように、首を縦に何度も振り返事の代わりとした。流石、マリアさん、気配り上手ですね。


 「坊ちゃんも隊長に報告に行かないとですよ~、ミヲ様は、私がちゃんとお部屋までお送りしますからご心配なくですよ~、」


 「ああ、報告に行く次いでだから私が送って行くよ、気にしなくてもいい。」

 そう言うといつの間にかテーブルを回ってきて、私を軽々と抱きかかえた。


 断らないといけないのだけれど・・。そう思ったけど、私もう微睡み(まどろみ)の中で意識を手放そうとしていた。


「・・・・あり・・が・・と・・・う」

 というので、精一杯だった。


 夢を見た。落ち着かなかったせいだろうか?、ただ単に疲れていたからなのか?


 何度も見た夢だ。満月の下、満開の桜の樹の周りをには。妖精たちが、桜の花びらと楽しそうに飛び交い歌を歌っていた。私は、桜の樹を目指して走ってゆく。


 『私は、この場所を知っている??』

 ここまでは、いつも見た夢・・・いつもここで終わる夢が、今日はまだ続いていた。


 桜の樹の下に人影が見えた。その人影が手招きをする。

 黒髪で、透き通るような白い肌。桜色の着物に身を包み微笑む女性と。燃えるよう真紅の髪でルビーのような赤い瞳の背の高い男性、膝を折り私を迎えようと笑顔で両手を広げてまっていた。


 『お父様、お母さま・・』

 『みおう』


 そこで、目が覚めた。

 父と母の夢だった。今まで、ミヲという名だとばかり思っていたのだけれど、どうやら違ったらしい。


 気が付けば、頬は涙に濡れていた。長い間感情が動くということがなかった気がする、忘れていた何かが私を突き動かしたようだ。今日初めて夢の中で父と母を確認した。


 足元に寝ていたリオルが、すぐに傍に寄ってきて(まなじり)に残る涙をなめとった。

 私は泣いていたようだ。暫くすると気持ちも落ち着き、暗さにも少し慣れてきた。


 私は、さっき夢で見た桜とここの桜が同じものなのか、とても気になり始めた。同じ桜で在って欲しいという気持ちの方が強いのかも知れない。

 どうしても確かめたいという衝動が、抑えきれなくて、こっそり桜の樹まで行ってみようと考えた。


 同じ桜なのだとしたら、どうして?お父様やお母さまがいないのか。どうして、私は一人だったのか?考え始めると次から次へと解らない事が多すぎた。答えは、桜の中に隠されている、そんな気がする・


 それに、ミヲでない、私の名前はみおう??


 はやる心を抑えて、ゆっくりと立ち上がり歩き始める。ここは、岩肌をくりぬいてできた洞窟らしい。

 「リオル・・外に行きたいんだけどわかるかな?」と尋ねると。

 「ウォン!!」と、まかせとけ!!って言ってるようだ。 

 暫くあちこち臭いを嗅ぎ、右の方へと促す。まるで付いて来いと言ってるようだ。


 「こっちなの??」

 「ウォン」と返事して先になって歩く。


 暫く歩くと風の音や、虫の鳴き声が聞こえてきた。その音は、少しづつ大きくなる。

 今夜は、満月で月明りが眩しい、その月あかりを受けて、満開の桜の樹が輝いているようだ。

 夢で見た桜の樹は、目の前の桜よりもはるかに小さい、だからこそ・・・ここに真実が、眠っているとミヲは、考えた。


 桜の樹に 近づくにつれ周りにふわふわと光の毛玉のようなものが、湧いてきた。

 「妖精さんの卵?・・」

 そう思ったのは、夢の中で妖精が楽しそうに飛んでいたから。

 「私・・覚えてる・・ここにいたことが有る。そう、どうして今まで思い出せなかったんだろう・・」


 涙が込み上げてきた、桜の樹に触れ、『お父様、お母さま』と呼びかけると。

 桜が輝きだして、周りのすべてを飲み込んだ。

長くなりそうなので。。今回はこの辺で。

つづきをお楽しみに

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