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第二話 朝も夜も恋い焦がれて前編
「彰君 頼んでいい?」
突如俺に降られたが俺は話を聞いていなかった
「え?
何を?」
「校内を案内してほしいだけどダメかな?」
上目遣いで彼女は訊ねる
「構わないよ…
俺でいいなら」
「ありがとう
じゃあ行きましょう」
彼女は俺の腕をつかみ教室を出る
教室からは妬みと嫉妬のこもった殺気が俺に刺さる
とりあえず俺はそれを無視して彼女に校内を案内していた
「ここが美術室であそこが科学室
でもここら辺は部活にでも入らない限り来ることは少ないよ」
「部活とかは入る気ないから」
「へぇ」
俺は場所を変えて違う階を案内する
「でここは実習棟
移動教室の時は大抵ここら辺の部屋だから」
彼女は音楽室の前で立ち止まった
「音楽室を見てく?」
「えぇ」
そして俺たちは音楽室に入った。
ピアノを目の前に彼女は引き始めた
曲はショパンのノクターン
彼女が曲を引き終わるまで俺は彼女に見とれていた
「…どうしたの?」
彼女は心配そうに俺を見つめる
「何でもないさ、それより一つ聞いていいか?」
「何?」