表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪悪な王は偽れる  作者: Curono
第4章「謎を追う王、支える男」
89/247

混濁した音3






暗がりから悲痛な声が響いていた。

「やはり逃れられないんだ……呪われた運命からはな……」

 暗くて彼の姿はよく見えないけれど、それでも分かる彼の愛おしい声。でもその声には怒りとも悲しみとも取れる響きがあって、聞いているだけの私まで胸が締め付けられる。両手で私が掴んでいるのは、彼の大きな手。でもその手が震えて、そして緊張からか冷えているのが皮膚に伝わってきて、やはりそれに胸が苦しくなる。

「やっぱりアイツらを説得するなんて、初めっから無理だったんだ……。……ティナ……お前はここから逃げるんだ。アイツらが俺に気を取られているうちに」

 そう言って私の手を握る彼の手が、力の割に優しく握っていて、それだけで彼の気持ちが伝わっていた。本当に本気で……私の身を案じてくれているんだ……。

 そう思ったら、私は首を振っていた。

「駄目よ、貴方も逃げるの。二人で生き延びなきゃ。私は貴方が生きる選択を選んでくれなきゃ嫌。私……必ず貴方を守る」

 強い声で答える私の声は、迫りくる危険に緊張で少し震えていた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ