制服の学校
俺は気が付くと学校の廊下に立っていた。
「新入部員歓迎!」と目立つように書かれた張り紙や、今まさに鳴っているチャイム音、そして目の前にいる制服を着た長い髪の女子が歩いていたからに他ならない。
そしてこの時点でこれが夢であることを朧気に自覚し始めた。
何故なら『俺は制服が嫌い』なのだ。
更に言うと進んだ学校は私服が許される緩い学校に進学したから、本来ならありえる筈がない。
ともかくチャイムが鳴っていることは確かだ。よくよく見渡してみると、私以外にまばらに廊下にいた生徒が教室に続々と入っている。
先ほどのチャイムは授業終わりではなく、休憩の終わりだったのかと理解し、周りにあわせようと教室を探すため一歩踏み出した……
しかし俺はここで猛烈な尿意に襲われた。とてつもない尿意だ。出口を求めて膀胱の中で虫か何かが暴れまわってるかのような、とにかく一刻も早く解消したい。いまにも開けようとしていた扉から手を放し、慌ててトイレに駆け込もうとした……
が、しかし俺はトイレの場所がわからないということに気が付いた。なんで普段通っている学校なのにわからないんだ?そもそもなぜ俺は休み時間にキジ撃ちを済まさなかったんだ…… ともかく探すしかない。俺は駆け出した。
とにかく俺は探した。弾丸のように速く、薄氷の上を歩くように慎重に素早く丁寧にそして素早く、トイレを探した。
走って――
焦って、翔けて――
息切れしつつ―――
階段を降りたり、
駆け上がったり、、、
そしてその先に、やっと見つけた。
結局スタート地点の傍にあったのだ。つまり俺の目的は最初から用を足すことで、混乱しただけだったのだ。
とにかくさっさと用を足そうと思い、中へと歩き始めた。
しかし入ったものの俺は強烈な違和感を覚えたのだ。なにせ小便器がないうえ、4つある個室が全て埋まっていたからだ。
まだ個室のほうは授業中なのに珍しいな、で済ませられるのだが小便器がない男子トイレなどあるのだろうか?
コレはもしかして"あれ"なのか?
いやでもさっきトイレに入ったときは青色だったと思うのだが……
もしかして流行りのポリコレとやらに影響されたのか? いやいやそんなわけないだろう。
そんな考えを巡らす内に、個室の扉が一つ開いた。
出てきたのは廊下で見た髪の長い女性だった。
俺はここでやっと自分が間違えたことに気が付いた。
実際に見た夢をもとに書きました。