序章の序
これが走馬灯か……
不運にも俺は雷に打たれて死んだらしい。
雷注意報もない中、ただ自宅近くの丘の上公園で寝ていただけだというのに……
そして流れる人生のハイライト。
今見直してみても不運 不運 不運の連続、何をどれ程がんばっても、最後の最後に自分の運の無さに泣いた人生だった。
だがしかしである。人生終わった最後の最後にまさかのラッキーイベント。
異世界転生へのご案内である。
『……であるから、あなたには勇者や賢者になってもらって、魔王を倒してもらいたいのです。』
女神さまが何か言っているが、魔王とかまったく興味でない。
なにそれ美味しいんですか?
清く正しく真面目に努力し不運に泣いた自分の人生。
転生できるなら決まっている。楽して楽しく幸せな人生だ!
魔王とか勇者様が殺してくれればいい。
『打倒魔王のために、お好きなジョブと特典としてお付けするレベル30分に相当する、300ポイントの割り振りをお願いします。』
女神さまがなんか言ってる。ジョブ一覧が表示される。
勇者、大賢者、剣聖、法王、etcetc強そうなジョブが並んでる並んでる。
だがしかし、ここにある職業なったが最後、どーみても打倒魔王に巻き込まれますよね……
魔王打倒のためにシコシコレベル上げてるため朝早くから狩りに出て、残業代どころか定時という概念すらない、暗黒ブラック社畜みたいな人生絶対嫌だ。
転生するならスローライフ以外にありえないでしょ?
しばらく考えたあと、俺は決断した。
「すみません、300ポイントは全部幸運にぶち込んでください。ジョブは、幸運の上昇補正が一番高いジョブをお願いします。」
一番戦いに関係無さそうな、そして不運だった前世をやり直すべく、幸運チートを選択する。バランス?なにそれ美味しいの?いつの時代も尖った才能が世の中を動かしてきたんだ!
まぁ俺はできればひっそり生きていくけどな。
『なんですって!』
女神さまが驚愕している。
さすがに怒られるだろうか……やっぱ辞めとくか……転生取り消されるのも困りもの。
『幸運にすべてですか?本当にいいのですか?ジョブは「遊び人」となりますが本当に本当にいいのですか?』
遊び人! ジョブが遊び人じゃあ、異世界転生ちょっと心もとないけれど……
魔王討伐という転生者に期待された役割から逃げるにはちょうどいいのかもしれない。
「はい。喜んで!」
そうして俺は第二の人生をアレルゲン王国で始めることとなった。
謎職業 「遊び人」として。
どうか幸運な人生とならんことを祈るばかりである。




