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【祝!2200万アクセス突破!】転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す  作者: エルリア


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603.転売屋はたかられる

「だから、脛当ての前には板をつけるべきだって。」


「でもそれじゃあ動きが阻害されます。」


「それでいいのよ、戦うわけじゃないんだから。」


「戦わなくとも移動はします、お姉ちゃんこそ板を付けたらどうですか?」


「だってかっこ悪いんだもの。」


目の前で姉妹喧嘩するのはやめてもらえないだろうか。


自分の事は棚に上げて俺のには矢避けの板を付けたい姉と、戦うわけじゃないんだから不要の妹。


俺はいらないと思うんだけどなぁ。


「それなら前面にだけスモールドラゴンの鱗を張るのはどうでしょう、あれならさほど重たくなく強度もあります。」


「採用!それじゃあそれも手配宜しくね。」


「かしこまりました。」


「いや、勝手に決めていいのか?ウォールさんの意見を聞くべきだろ。」


「脛当ては任せるって言ってたわよ?」


「いつ聞いたんだよ。」


「さっき。」


あ、そう。


中級以上の冒険者なら誰もがお世話になるウォール防具工房。


もちろんエリザもお世話になっているわけで、安定期に入るまではダンジョンに入らないから今のうちにメンテナンスしておこうということになったらしい。


で、その時に俺の話を聞いたんだろう。


そもそもの発端はこの前のダンジョンでの危険な状況を踏まえ、専用の装備を装着させるべきだって言う所から始まっている。


だから防具工房を紹介してもらって実際に専用防具を作ることになったわけなんだけども。


「で、なんでお前も防具を選んでるんだ?」


「そりゃ今度遠出するわけだし?最低限の装備は必要じゃない。船の上は安心だけど陸路もあるわけだから絶対に安全だとは言えないでしょ?」


「そうだな。」


「自分の嫁が危険にさらされてもいいの?」


「それを言われると何も言えないんだが。まぁ、いい機会か。」


俺の防具を作ろうという話だったのだが、気づけば全員分の鎧を作ることになっていた。


王都に行くミラとハーシェさんはともかくアネットやキキの分は、必要か。


特にキキはダンジョンに潜っているわけだし重点的に装備を拡充するべきだろう。


アネットも実は戦えるタイプなのでビアンカの所に行く事もふまえ用意した方がいいよな。


「シロウの許可も出たわけだし最高のやつを作りましょ!」


「申し訳ありませんシロウ様。」


「きにするな、必要な物だ。」


「とりあえず最優先はミラとハーシェさん、それから私とキキとアネットね。」


「いやお前は自前のがあるだろう。」


「えー。」


「えーじゃねぇ、メンテナンスにも出してるんだ使えなくなったらまた買ってやるから。」


「じゃあお腹が大きくなってからの鎧を買って、それで許してあげる。」


なぜエリザに許されなければならないのか。


いや、これ以上は何も言うまい。


ミラとハーシェさんは後日ウォールさんに依頼を出すことで早々に決まった。


後はアネットとキキだな。


「ご主人様、仕入れを行うのであれば一緒にメイルリザードの皮も仕入れて頂けますか?」


「メイルリザード?」


「皮膚が鎧みたいに硬い面倒な蜥蜴よ。あいつ水場から攻撃してくるから嫌いなのよね、すぐに水の中に隠れるし。」


「でも魔法には弱いんだよね。」


「水の中に逃げられたら一緒よ。」


いや、魔物の話はいいから。


「なんで皮を仕入れるんだ?」


「私の鎧をそれで作って頂こうかと。」


「もっといい素材があるだろう、俺と一緒のじゃダメなのか?」


「私の場合は戦う可能性もあるわけですし、硬さよりも動きやすさを重視したいんです。」


確かに戦いに出ることを考えれば動きやすさは大切だが、率先して戦う必要はないんだぞ?


「あー、確かにそうかもね。得物は何にするの?」


「槍にするつもりです。」


「え、槍!?」


「使えるのか?」


「昔はよく使っていました。私の場合は魔物ではなく人と戦う方が多かったので。」


なるほどなぁ。


アネットの場合は魔物ではなく人が敵だったわけだし、広い場所で近づかせないために戦うのであればそれがぴったりだったんだろう。


実は武闘派のアネット。


とはいえ、好戦的ではないので自分からダンジョンに潜りたいわけではない。


命あっての物種だ、これからもそうであってほしい。


「キキはどうする?」


「私もいいんでしょうか。」


「いいのよ、シロウのお金なんだから。」


「その理論は納得行かないがいい機会だからな。で、なににする?」


「ではローブをお願いします。素材は」「ドラゴン!」


「おい。」


俺はキキに聞いているんだが?


何でお前が決めるんだよ。


「キキにはブラックドラゴンの内皮で作った奴がいいわ、絶対に似合うから。」


「似合う似合わないじゃなく重要なのは性能だろ?」


「もちろんそれも考えてあるわよ。ブラックドラゴンは魔法透過性が高い上に増幅する力も持ってるの。防刃性能も高いから矢を射られても貫通しないわ。」


「でも高いんです。」


「いくらだ?」


「内皮は剥ぎ取りにくい上にブラックドラゴン自体の生息数が少ないんです。龍の巣に行っても毎回いるわけではありません。今の相場はわかりませんが、前に製品を見たときは金貨2枚を越えていました。」


金貨2枚か。


確かに高いが、俺の鎧に比べればまだ安い方だな。


なんせ素材だけで金貨2枚、そこに製作費を加えて金貨3枚にはなるだろう。


製品でその価格という事は、素材だけで言えばもう少し安いはず。


纏めて作るんだし多少は勉強してくれる・・・はずだ。


「じゃあ半分エリザに出してもらえ、もう半分は出してやる。」


「えぇ!なんでよ!」


「自分の奴隷なんだから、っていうか妹の装備ぐらい買ってやれよ。」


「高いからもう少し安い素材でも・・・。」


「ダメよ、半分出してあげるからそれにしなさい。すぐには集まらないかもしれないけど時間を掛ければ揃うはずだから。」


なんだよ、結局出すんじゃないか。


なんだかんだ言って、妹のこと考えてるよなエリザは。


俺にはよくわからないが肉親ってそういうもんなんだろう。


「内皮ついでに鱗も集めて港町に売りに行けばタシにはなるだろう。しかしドラゴンかぁ、やっぱり違うんだな。」


「魔物の中でも最上位に君臨しますから。」


「一匹狩れば骨まで使えるしね。また前みたいに溢れてこないかしら。」


「勘弁してくれ。」


確かに金にはなるが、値崩れが半端ない上に倉庫も圧迫する。


何事もほどほどが一番だよ。


「では素材も決まりましたし依頼を出してきます。が、かなりの値段になりそうですね。」


「そうだな。」


「ざっと勘案して金貨10枚という所でしょうか。ドラゴンの素材を転売するとしても圧縮できるのは金貨2枚がいいところです。」


「それで命が買えると思えば安いものだろ。」


「そうよ。これでペコラに突き殺される心配もなくなるわ。」


「悪かったって。」


終わった話だというのにまた話を蒸し返して。


まったく困った奴だ。


「心配かけさせないでよね。話を聞いたときは危なく流産するかと思ったわ。」


「縁起でもないこと言うな。」


「いや、ホントだから。ねぇハーシェさん。」


「はい。本当に心配したんですよ。」


だからこうやって鎧を作って対策してるんじゃないか。


あの時はオリンピア様がいたから優先順位が下がっただけで、普段は誰かが俺を守ってくれる。


そんな甘えがあったからこそあんなことになったわけだ。


重々気をつけます。


「気をつけます。」


「よろしい。あ、そうだフレイムアントの甲殻も一緒にお願いできる?」


「何に使うんだ、あんなの。」


「加工して手甲にするの、新米用に配ろうと思って。」


「配るのか?」


「そ。アレなら安物使うよりも丈夫だし、最近怪我する子が増えてきたからね。」


「でもタダだよな。」


「生きて帰るんなら安いもんよ。」


せめて金を取れよと思うのだが、それを決めたのはエリザだ。


加工賃やら何やらを考えるとそれなりの出費になるだろう。


ギルドで新米を育てるようになってから少しずつ考え方が変わってきたなぁ。


前は自分が!だったのに今はちゃんと周りを見れるようになって来ている。


母親になるという部分も大きいのかもしれない。


俺も変わるべきなんだろうけど・・・。


「ちなみに余った手甲は売るわよ。」


「そうなのか?」


「フレイムアントはダンジョンにしか生息しないし、耐熱性能が高いからこれからの時期にぴったりなの。炎天下で作業する人にも人気なんだから。」


「ちなみにそれを教えたのは私ですけどね。」


「ちょっとキキ!」


前言撤回、俺の影響で考え方が変わってきたようだ。


あのエリザが儲けを考えるようになるとは。


脳筋が少し柔らかくなっているのかもしれない。


「ではそれも追加という事で。」


「悪いな大量で。」


「いつもの事です。」


「そのついでに酒精の石も頼む、あと50ほど。」


「そういえばルティエ様からトロールの涙が少なくなってきたって聞きましたので追加した方がいいかもしれません。」


「なら一緒にグリーンワームの糸も頼みましょう、鎧の加工に使うはずですから。」


「・・・はい。」


あ、ミラが怒った。


普段は温厚なミラもいきなりあれやこれやといわれては流石に怒る。


そんな顔もまた可愛いんだが、仕方がない一緒に行くとするか。


「俺も行くから安心しろ。」


「大丈夫ですよ?」


「俺がデートしたいんだよ。ってことで邪魔するなよ?夕方までには帰ってくるから。」


「いってらっしゃ~い。」


デートと聞きミラの顔が一気に明るくなる。


ふぅ、何とかなったようだ。


他の女達も流石に邪魔をする気は無いようで、申し訳なさそうな顔をしながら見送ってくれた。


「やれやれ、俺の奴だけのはずが随分大量になったなぁ。」


「ふふ、そうですね。」


「まぁ、それもいつもの事か。」


「シロウ様の命には代えられませんから。」


ここにもひそかに怒っている人がいた。


重々気をつけるから許してくれ。


その気持ちが伝わるようしっかりとミラの手を握り、ゆっくりと大通りを歩くのだった。


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