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【祝!2200万アクセス突破!】転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す  作者: エルリア


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493.転売屋は新年早々に売り込む

無事に新年を迎え、いつもの日常が戻ってきた。


いや、いつものではないか。


街にはうどんブームが来ている。


ほんと流行りに敏感だよなぁ、この街の住民は。


年越しうどんだけと思いきや、手軽に作れておまけに温まるので日常的に食べるようにしたみたいだ。


そこら中に露店が建てられるレベルではないが、各お店が思い思いのトッピングを乗せてメニューに加えている。


夏にはざるうどんが流行ることだろう。


冷やし中華といいたいところだが、アレは卵麺だよな?


流石にその作り方まで知らないので残念ながら食べられそうにない。


元の世界にしかない料理もあれば、こっちでも似たような料理が出されている場合もある。


醤油やみそなんかがあるんだからモーリスさんが仕入れている西方の国では似たようなものが作られていることだろう。


一度は行ってみたいが、あまりにも波長が合うと戻ってらこれそうにないので不安でもある。


今はモーリスさん経由の仕入れで事足りてるし、どうしても行きたくなったらで考えよう。


「ってことで、今回も俺の権利を主張することはない。好きにしてくれ。」


「シロウさんならそういうと思ってました。」


「新年早々呼び出されて何かと思ったら、いつもそうなんだから気にせず使えよ。」


「そういうわけにはいきませんよ、一応発明者ですし後々になって文句を言われても困りますからね。」


「それはまぁわかるが・・・。」


「でもシロウさんはその辺気前がいいので助かります。」


「美味い物を食いたいのは俺も同じだ。素人の俺が作るよりもプロに任せた方が今以上に美味しい料理が出来るだろ?それを安く食わせてくれれば文句はないさ。」


みんな俺が開発者だって知ってるから何も知らなくてもおまけとかしてくれるんだけども。


一応この世界にも特許権的なものはあるのだが、特許庁的なのはないので要はやったもん勝ちって所はある。


職人関係はその辺厳しいらしいが、料理とかは曖昧だからなぁ。


前に開発した押し花とかも、今頃どこかでマネされているだろう。


だから、先駆者でないと儲からない。


金儲けもなかなかに大変なんだよ。


「それでですね、もう一つお願いが。」


「新年早々面倒ごとはごめんなんだが?」


「面倒ごとじゃないとおもいます、多分。」


「多分ってなんだよ多分って。」


「その辺はシロウさん次第というかなんというか。」


「責任は俺に押し付けて美味しい蜜だけ吸おうってんならお断りだ。」


そこまで俺もお人よしじゃない。


面倒ごとなんてくそくらえだ。


「いえね、今回のうどんをうちだけで終わらせるのはもったいないと思ってるんですよ。」


「・・・ほぉ?」


「で、せっかくなので隣町にいくついでに広めてもらおうかと思いまして。広めると言っても露店的なのを出して、これを食いたきゃこっちまで来いみたいな感じにしようかと。いずれマネされるでしょうけど、醤油と出汁にたどり着くには時間がかかりますし、仮にわかっても結局はうちから買うしかないじゃないですか。」


「・・・却下。」


「えぇ!どうしてですか!?」


「考えが浅すぎるんだよ。もうすこし考えてから俺に頼め、そんなの売り込みにすらならねぇぞ。」


うどんが広まってまだ数日。


金になるとわかってすぐに行動したんだろうが、それでも考えが浅すぎる。


世の中そんな上手くいくわけないだろうが。


「ちなみにどこがダメなんです?」


「レシピが漏れるのなんてすぐだ、それこそこの街でこれだけ知られてるんだから誰かが口を滑らせたら終わりだろう。材料だって今はモーリスさん経由でしか手に入らないが向こうは港とつながりがあるからな、西方からの荷物を手配してもらう事なんて朝飯前だ。その辺にあの女豹が気づかないわけがない。広まった後うちから出せるとしたらグリーンオニオンぐらいじゃないか?」


「それはもちろん考えましたけど・・・。」


「ちなみに向こうが西方の醤油や鰹節を仕入れたとして、それを俺達が仕入れたら意味ないからな。自然に漏れたのならまだしも自分から売り込んでその結果モーリスさんが得られなくなった利益をだれが補填するんだ?」


「・・・売れるのになぁ。」


「一瞬は流行るだろうが、継続しなきゃ意味がない。うちで出来るのはダンジョン産の素材を使ったうどんとかで売り込むことぐらいだろうさ。」


一瞬儲かったってそんなのすぐに無かったことになる。


それよりも時間を掛けて伝播させ、その間うちで買い物させた方が儲かるってもんだ。


どうしても独占したいのなら、それこそダンジョンででしか手に入らないものでないと意味がない。


向こうの新合材がまさにそうだ。


職人がいて初めて手に入る逸品、あぁいうのを作って初めて継続的な利益が出る。


俺みたいなちんけな商人ならそんな一過性の儲けで十分だが、街を上げてとなると話が違ってくる。


デカい金儲けってのはそんな簡単にできるもんじゃないんだよ。


「わかりました、うどんの出店は諦めます。」


「そうしろ。」


「はぁ、せっかくシロウさんに行ってもらうんだから何か考えろとか無茶ぶりもいいところですよ。」


「ローランド様か?」


「それ以外に誰がいます?」


「俺が言うのも変だが、あの人の無茶ぶりってひどくなってないか?」


「前々からそんな感じですけど、隠居の話も出てますし最後に一花咲かせたいのかもしれません。」


「あー、そう言えば海だか山だかに土地貰うとか言ってたなぁ。」


マリーさんの件でそんな話が上がっていた気がする。


街の儲けは自分の懐に入るわけだし、老後を考えてもうひと稼ぎとか考えているんだろうか。


そしてそのしわ寄せが下に来ていると。


羊男も大変だな。


「今回は時間がなかったってことにしておけ。」


「それで許してもらえるなら。」


「もし何か言ってくるなら俺が行く、それでいいだろ。」


「宜しくお願いします。」


「まぁ、せっかく行くんだし一儲けしたいって気持ちはわかるがなぁ・・・。」


「燃料だけでもそれなりの利益になりますし、うちから出せるとしたらそれこそダンジョン産の何かになります。でも感謝祭明けで備蓄も心もとないんですよね。」


「すぐに手に入ってそれなりの値段で売れるダンジョン産の素材。」


「そんなのあれば今頃大儲けですよ、まったく。」


感謝祭でしこたま金を使ったから補填したいっていう感じだろう。


だがなぁ、ここと隣りじゃ距離が近すぎて高値で吹っ掛けられないんだよなぁ。


せめて港町ぐらい離れていれば、輸送コストとか勘案して高値で売れるんだが。


うちから出せるとしたら未加工の皮や素材。


それとダンジョンで採れる食材か。


この時期だからそこまで痛まないし、余程の生ものでなければ何とかなるだろう。


なんなら雪で押し固めてクール便にしてやってもいい。


そういや最近魚くってねぇなぁ。


また買い付けに行かないと。


「そういやダンシングオニオン、あれどうなった?」


「冒険者ギルドの裏に積み上げられていますよ。食べるって言っても限度がありますし、今が夏じゃなくて本当に良かったです。」


「ふむ・・・。」


「あ、何か考えてますね。」


「加工品にして売り出せないか?」


「えぇぇ、そんな急に言われても思いつきませんよ。」


「だよなぁ。」


俺だって思いつかないから聞いているんだ。


どこぞの島かどっかが有名だったはずだが、大抵はドレッシングとかカレーとかそういうのになっていた記憶がある。


ドレッシングって言っても調合にはかなりの時間がかかるだろう。


なんていうかもっと簡単で、さらに日持ちするようなやつがいいんだよな。


しかも加工する材料も手近にあればいい。


・・・あるわ。


一つだけある。


「パームボールって食用にも精製してたよな?」


「はい。揚げ物に使いますからね、サクッとカラッと揚がるって各飲食店で喜ばれています。」


「揚げるか。」


「え、あのオニオンですか?」


「みじん切りにしてもいいし、輪切りにしてもいい。いや、日持ちを考えたらみじん切りにして中まで火を通した方がいいだろう。フライドオニオン、美味いぞ。」


輪切りにしたやつがどこぞのファーストフード店でだされていたはずだ。


あれ、美味いんだよな。


「シロウさんが言うんですから美味しいんでしょうね。」


「材料は山ほどあるし、日持ちがして美味い。サラダやパンにのせてもいい、使い道は山ほどある。隣町だけじゃなく港町で売り出せば、もしかすると売れるかもな。」


「向こうじゃあまり見ませんしね、なるほど隣りじゃなくてもいいのか。」


「あそこの川は海までつながってるって前に自慢してただろ?それを使わせてもらえばコストも抑えられる。精油は山ほどあるんだし、とりあえず裏の在庫全部揚げちまえよ。どうせ腐らすんだから。」


「どうせって・・・まぁそうなんですけど。」


「出発は来週だ、向こうにも俺が行くことを伝えといてくれ。」


「捨てるぐらいなら今あるもので加工して売る。ゼロが1になるだけでも儲けは儲けですね。」


「そういう事だ。」


「わかりました。すぐニアに連絡して加工に入ります。」


どうやら腹が決まったようだ。


グリーンオニオンを手に入れるために大量のダンシングオニオンが狩られ、結果積み上がった大量の在庫。


それがもしかすると金を産むかもしれないとなれば、やるしか選択肢はないよな。


ゼロが1になるってのは正直凄い事なんだけどなぁ。


まぁ今回は俺が作るわけじゃないし、後は向こうで頑張ってもらおう。


やっとやる気のある顔に戻った羊男を置いて俺はギルド協会を後にした。


外に出ると北風が一気に体温奪っていく。


「うーさぶ、どこかでうどん食って帰るか。」


天かすは簡単だがやっぱり甘じょっぱく漬け込んだ油揚げを乗せたやつが食べたい。


油揚げってどうやって作るんだろうか。


今度モーリスさんに聞いてみよう。


そんな事を考えながら、足早に出汁の匂いのする店へと吸い込まれていくのだった。

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