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【祝!2200万アクセス突破!】転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す  作者: エルリア


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1498.転売屋は毛皮を加工する

色々ときな臭い感じになってきたが時間は待ってくれないし、いつものように店を開けなくちゃならない。


もっともメイン客だった冒険者は半分以下に減り、代わりに還年祭に向けて不用品を処分しようという一般客が増えた。


毎日持ち込まれる日用品はあまり金にならないのだけど、またチャリティ的な感じのを企画して一気に売り捌いてもいいかもしれない。


幸いにも大きな倉庫ができたおかげで荷物が溢れる心配は無くなったし、防犯面でも安心なので心置きなく買取ができる。


稀になんでこの人がこんな物を?ってな感じの上物も持ち込まれるのでそれだけで十分利益が出ていたりもする。


『モフモフラビットの毛皮。これらは通常のモフラビットよりも毛量が多く保温性が高いため主に北方で重宝されている。また、毛量は多い割に短いため防具の防寒用内張として需要が高い。最近の平均取引価格は銀貨5枚、最安値銀貨2枚、最高値銀貨8枚、最終取引日は本日と記録されています。』


何とも安直な名前だなとか思ってはいけない、世の中そう言うものだ。


通常のモフラビットの十倍以上高い値段で取引されるこれを持ってきたのは結構ヨボヨボの婆さんだった。


そんな見た目でも昔は冒険者としてブイブイ言わせていた・・・らしい。


そんな感じでいつ何時珍しいものが持ち込まれるかわからないので別の意味で店は忙しくなっていった。


「時期的なもんとはいえたまったなぁ。」


「モッフモフですね。」


これだけあればあれこれ作り放題ではあるんだが、需要のど真ん中だけに職人の手が空いているとは限らない。


1日の買取を終え作業場に積み上がった山のような毛皮。


多種多様、あまりの種類の多さに改めて魔物がたくさんいる現実を感じてしまった。


とはいえ今の俺にとっては金のなる木、今だから売れる物を寝かせておく理由はない。


「このまま置いておくと明日の営業に差し支えますがどういたしますかな?」


「とりあえず種類別に分けて納品だな、職人については今ギルドを通じて探してもらっているからそろそろ返事が来るはずだ。」


「もしやこれから加工を?」


「もしやも何も今加工せずしていつ加工するんだって話だよ。そりゃ時期がど真ん中すぎて職人がいるのかどうかって言う不安はあるが、もし王都がいっぱいなら別の街に持って行くって手もある。」


買い取ったのは大体下処理が終わったものばかりなのでダンジョン街に送ったとしてもブレラの手を煩わせる心配はない。


あそこなら職人の数も豊富だし、わざわざこっちに戻さなくてもそのまま向こうで売ってもらった方が売れそうな気もする。


特に内張関係は冒険者が少ない今需要はないし、何より往復する時間が勿体無い。


「シロウさんいますかー?」


「お、ルティエじゃないか。もしかしてギルドの返事を持ってきてくれたのか?」


「実はそうなんです、詳しくはこれを読んでください。」


大量の毛皮を前にどうしたもんかと考えを巡らせていると、ルティエが店にやってきた。


差し出されたのは一枚の手紙。


えーっとなになに?


「ふむ、悪い提案じゃないな。」


「詳しくは聞いてないんですけど、その反応を見る限りいいお話だったんですよね?」


「だな。サニアとガイアのためにダイアウルフを狩ってきたんだが、その毛皮を加工させてくれたら優先的にほかの毛皮を加工してくれるんだとさ。しかも買取じゃなくて加工だけでいいらしい。」


「え、それってギルドはなんの得もないですよね?」


「ダイアウルフを加工することに意味を感じてるんじゃないか?一応珍しい素材だし、何かしらのプラスがあるんだろう。」


この辺は俺にはわからない話だが、いずれ毛皮も加工しようと思っていたのでそれを頼むだけでほかの毛皮も優先的に加工してもらえるのならば願ってもない機会だ。


問題は何に加工するかってことなんだがせっかく作るんなら高く売れるものが良いよなぁ。


『ダイアウルフの毛皮。狼の王様と呼ばれるダイアウルフの毛皮は鉄製の武具などでは傷をつけることはできず、保温性にも優れており毛皮一枚で雪山で過ごすことが出来るとも言われている。純白の毛並みは宝石と同じだけの価値を持つ。最近の平均取引価格は金貨3枚、最安値金貨1枚、最高値金貨5枚、最終取引日は576日前と記録されています。』


狼の王様との呼び名に相応しく純白の毛並みは宝石のように輝いている。


取引履歴を見てもかなり珍しい品のようなのでこれを加工したいという気持ちもわかるのだが、この前のオリハルコンのようにこれを加工することでなにか特別な称号などを得られるのかもしれない。


まぁどちらにせよ加工してもらうだけで俺はほかの毛皮を処理できるのでプラスしか無い提案なのでありがたく頂戴するとしよう。


「いいなぁ、ダイアウルフ。綺麗ですよね。」


「何だほしいのか?」


「ほしいって言われたらほしいですけど、それを持ってどこに行くんだって話なんですよ。冒険に出るならまだしも私は常に工房の中ですし。」


「せっかくだし雪山に行くか?」


「寒いのは嫌いです。」


「だめじゃねぇか。」


それこそ宝の持ち腐れ、別にほしいのなら世話になっているし使ってもらっても構わないんだがそうじゃないのならば渡す理由もないわけで。


とりあえず手紙の件は保留にして毛皮の加工について考えるとしよう。


「そうだ、シロウさん手袋持ってません?できればもっこもこであったかいやつが良いんですけど。」


「生憎とそういう手袋は持ってないが丁度モフモフラビットの毛皮が手に入ったところだから加工すれば提供できる。優先的に加工してもらったら分けてやろうか?」


「え、いいんですか!?」


「そりゃウチのお得意様が欲しがっているんだから手配しないわけにいかないだろう。」


「えー、そこは私のためじゃないんですかぁ?」


「不満ならやらねぇぞ。」


「わー!いりますいります!」


まったくこいつはすぐ調子に乗るんだから困ったものだ。


最近綺麗になったからってそう簡単に俺がなびくと思ったら大間違いだぞ、あくまでも今は職人とバイヤーの関係なんだからその一線を越えるのは難しい。


とはいえ大事な取引先なので何故手袋がほしいかを聞くと、やはり王都で流行っているんだとか。


さすがにモフモフラビットレベルのものは求められていないようだが、手首部分にフワフワとした毛皮が巻いてあるタイプがイチオシらしい。


なるほど、さっぱりわからん。


わからんが金になるのであればやらない理由はない、ということで大量の毛皮を手にルティエにも手伝ってもらって職人ギルドへと向かった。


「ようこそお越しくださいました、毛皮職人のデルマです。」


出迎えてくれたのはこの時期頭に毛皮を乗せたほうが良いんじゃないのかってぐらいにツルッツルの頭をした中年男性。


いや、失礼なのは百も承知なのだがどうしてもその部分に目が言ってしまう。


「シロウだ。ダイアウルフの毛皮を持ってくると優先的に加工をしてもらえるって話だったんだが本当なのか?」


「もちろんです!憧れの毛皮を加工させてもらえるのなら他の仕事よりも優先的にやらせてもらいます!」


「そりゃこっちとしてはありがたいが本当に大丈夫なのか?聞けば手袋が流行しているらしいし、そっちの客も待ってるんだろ?」


「それに関しては他の職人にやらせますので。こう見えて偉いんですよ。」


偉いかどうかは知らないけれど俺を優先させて他の客に恨みを買うのだけは勘弁してほしい。


一応大丈夫ということなので改めて条件と提案について話し合った。


「ダイアウルフだけじゃなくモフモフラビットまで扱わせていただけるなんて、ありがたい限りです。」


「そんなに嬉しいのか?」


「それはもう!最近は冒険者の数が少なくなってきたからか毛皮の持ち込みも少なくなってやりがいのある仕事が少なかったんです。そんなところにこんなにも大量の毛皮を持ち込んでいただけるなんて毛皮職人全員で頑張らせていただきます。ですが、本当によろしいのですか?」


「何がだ?」


「せっかくのダイアウルフですしもっとこう、好きなものを作られたほうが良いのでは?もちろん私達を信頼してくださっているからこそそう仰っていただけているんでしょうけど、なんて言いますか申し訳なくてですね。」


嬉しいけれど不安、デルマさんのそんな感情が見て取れる。


俺からすればいい感じに加工してもらって金になればそれで万々歳なので作るものに関してなんの文句も言わないつもりでいる。


これだけ意気込んでくれているのだからものすごいものが出来るのは間違いない、餅は餅屋こういうのは専門家に任せたほうが下手に指示を出すよりも良いものが仕上がるというものだ。


「その辺は気にしないでくれ。俺は金になるものを作って欲しいだけだし、要望があるとすればモフモフラビットの毛皮で手袋を一組作ってほしいのと、あとはそうだな生まれた子供につけさせる小さな帽子を2つお願いできるか?」


「お子さんですか?」


「あぁ、つい先日生まれたばかりだ。」


「それはそれはおめでとうございます。では外出できるようになった頃に使えるものを用意させていただきますね。他の毛皮に関してはダイアウルフ同様我々の方でしっかりと加工させていただきます。」


「よろしく頼む。」


聞けば手袋が流行していてもそれを作る毛皮が不足しているとかで、案外職人の手は空いているらしい。


そこに俺が大量の毛皮を持ち込んだので必要な分に関しては買い取ってもらい、残った分に関してはしっかりと加工をしたうえで納品してもらうことになった。


これからが冬本番なだけに作れば間違いなく売れる、子どものために取ってきたついでに回収したダイアウルフの毛皮がまさかこんな富を生み出すとは思っていなかったが偶然とはいえありがたいことだ。


明日以降も買取は多いだろうから仕入れを行ったら随時持ちませてもらうとしよう。


あとは暖冬にならないことを祈るだけ。


寒くなったら寒くなったで色々と大変なので加減が難しい所だが何事も程々が一番ってね。

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