表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝!2200万アクセス突破!】転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す  作者: エルリア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1497/1767

1492.転売屋は巨大な花を探し出す

「ご主人様、キングプロテアの花粉が欲しいのですが手に入りませんか?」


今日もアニエスさんの様子を見にフェルさんの屋敷へと顔を出すと、帰り際にアネットが走ってエントランスまでやってきた。


エプロンが汚れているということは今も製薬していたんだろうけど、ちゃんと休んでいるんだろうか。


店で作業していたら監視・・・もとい様子を確認することもできるのだが諸々あってここでしか作業ができないので確認ができないんだよなぁ。


ほんと困ったものだ。


「花粉ってことは植物の魔物か何かか?」


「キングプロテアはダンジョンの奥に生息する巨大な花です。襲ってくることは無いですけど、その花を求めて魔物がうろうろしているはずなのでそれなりに危険だとは思うんですけど・・・。」


「それが薬になるんだろ?ちなみにどんな効果なんだ?」


「非常に強い中和作用があるので麻薬の中毒状態を緩和できるかもしれないんです。あとは依存度が下がったところで吹き飛ばすような刺激を与えればもしかしたら何とかなるかもしれません。」


王都に来てまだ二週間弱、たったそれだけの時間で製薬・錬金術両ギルドが必死になって考えている治療法を見つけるとかうちの二人はどれだけ優秀なんだろうか。


ともかくだ、可能性があるのならば試さない理由はない。


ということで急遽キングプロテアの花粉を手に入れるべく依頼を出したわけだが・・・。


「冒険者がいない?」


「はい。ここ数日急に冒険者の数が減っていまして、大口の依頼なんかでそちらに人手がとられることあありますが今回はそういう依頼も出していないんですよね。」


「どこかで珍しい魔物が出たとかでもないのか?」


「そういう報告も上がっていません。」


うーむこれは誤算だった。


大至急の依頼なので報酬マシマシで冒険者に頑張ってもらうつもりだったのだが当てが外れてしまったようだ。


しかし急にどうしたんだろうか。


そもそも冒険者ってのは定住せずあちらこちらへふらふらするものだからいなくなったのはおかしい事ではない。


だが場所的に依頼も豊富で彼らの欲を満たすだけの娯楽が無数にあるこの場所を早々出ていくとは考えにくいんだがいったいどこに行ったと

いうんだろうか。


仕方がない、彼らが使えないのであれば自分で何とかするしかないか。


冒険者の減少はうちの売り上げにも直接影響するのでこの件に関しては継続的に報告をもらえるようにお願いしてひとまずギルドを後にする。


「ということだから悪いが今日は店を閉めてこっちを手伝ってもらえるか?」


「なるほど、どおりでお客が少ないと思いました。ですがいったいどこへ行ったのでしょう。」


「わからんが気にはなるなぁ。これが続くと色々と予定が狂うぞ。」


「素材はともかく仕入れた武具などは彼らがいないといつまでたっても減りませんからなぁ。」


店に戻って状況を確認すると予想通りというかなんというか、ともかくパタッと客が来なくなったようだ。


昨日はそれなりに来ていたのにさすがに急すぎるのだが、昨日の時点でそういう噂は何も聞こえてこなかった。


となると突発的な何かでこれなくなったと考えるのが筋ってもんだろうけどとりあえずダンジョンに行くついでに警備に確認すればいいだろう。


早々に店を閉め、出勤していたバーバラには空いた時間を使って店の片づけをお願いしておいた。


彼女の場合は時給制なので仕事がなくなったらその分収入がなくなってしまうからな、今日はのんびりと仕事をしてもらうとしよう。


そんなわけで急遽ジンとアティナ、そしてルフの四人でキングプロテアの生息するダンジョンへと向かった。


港までの街道をひた走り、途中で馬車を降りて海岸沿いのけもの道を歩くこと一時間ほど。


ギリギリ潮の満ち引きに影響されないような場所にぽっかりと空いた洞窟。


こんな塩気の多い場所と一瞬思ってしまったがダンジョン内は別空間なので全く問題ないんだった。


でも出てくるのは水棲系の魔物らしいんだがどういうことだろうか。


「とりあえず魔物を撃破しつつ最短距離でキングプロテアがあると思しき奥へと向かう。索敵はアティナ、迎撃はジン、護衛はルフでよろしく。罠もあるらしいからくれぐれも気を付けてくれ。」


「かしこまりました。迎撃した魔物の剥ぎ取りはどうしますか?」


「とりあえず行きは無視して戻ってくるときに余裕があれば考えよう。武具系は持って帰ったところで使うやつがいなんじゃ邪魔になるだけだからギルドに買い取ってもらえるものだけって感じになるだろうけど。」


「では、参ります。」


やれやれ、冒険者がいればこんなめんどくさい事をしなくてすんだんだがなぁなんて今日何度目かのため息をつきながらダンジョンの奥深くへと進んでいく。


普段あまり冒険者が立ち入らない場所だからか中は魔物であふれており、少し通路を進むだけで魔物に遭遇してしまう。


湿度100%、不快指数100の劣悪環境ながらもジンとアティナはそれをものともせずサクサク遠くに進んでくれるのがありがたい。


俺とルフは魔物の死骸を避けながら少し遅れて二人の後ろを追いかけていくだけ。


サハギン・リザードマンなんていうメジャーな魔物からウミウシっぽいやつとか貝の魔物なんかがワラワラでてくる過去に類を見ない程にめんどくさいダンジョンではあるけれど、あの二人にかかればそんな魔物もただの雑魚。


時間があればいろいろと採集したいところだがさっきも言ったようにまずは目的の物を手に入れるのが先決だ。


突入して体感時間でおよそ3時間ほど、小休止を何度か入れながらやっとの思いで到着したそこはなんていうか今までとは別世界の空間だった。


「これはまた見事なもんだ。」


「どこを見ても花花花、見事な物ですな。」


「ですがこの中から目的の花を探すとなると大変そうです。」


不快指数MAXの通路を抜けるとそこは花畑でした。


まるで天国に迷い込んだような色とりどりの花が足の踏み場もないぐらいに咲き誇る不思議な空間。


心なしか空気もきれいになっているような感じもするんだがどういう原理なんだろうか。


冬のこの時期にこれだけの花を手に入れられたらそれはそれで売れるのではないだろうか、問題は持ち帰る前に傷んでしまうってところなんだよなぁ。


水に浮かべるとかいっそのこと密封してしまうことができれば多少はマシなのかもしれないが、今回の目的は別なのでそんなものは持ってきていない。


はてさてどうしたもんか。


「アネットの話じゃ花を目当てに無数の魔物が待ち構えてるって話だったんだが、思ってたのとちょっと違うな。」


「いえ、違わないようです。」


「ん?」


「急ぎ通路までお戻りください、早く!」


珍しく緊迫したアティナの声に慌てて不快指数MAXの通路へと戻ると遅れてやってきたジンが目にもとまらぬ速さで手を動かすと同時にそれは始まった。


バチバチバチという音共に何かが見えない壁にたたきつけられ、見る見るうちに見えないはずの壁が真っ黒に変わっていく。


ジンお得意の空間魔法というか障壁?


ともかくそれがなければこのよくわからない何かに襲われていたということなのだろう。


「間一髪でしたな。」


「何だったんだ?」


「ミミクリービーの群れです。花に見えていたものの中に隠れていて近付いたものに一斉に襲い掛かるのでしょう。あのまま襲われていたら骨しか残らなかったかもしれません。」


「怖すぎるだろ!」


「ですが今の衝撃でほぼほぼ死に絶えたでしょう、おそらくですが。」


おそらくじゃ困るんだが?


とりあえず見えない壁を解除して激突死した奴を横に退け、同じ要領で奥に入っては残ったやつをおびき出して壁に激突させるのを繰り返し何とか退治することに成功した。


やれやれ、これでやっと目的の花を探せる。


さっきまで綺麗な花でいっぱいだったはずの花畑はまばらに花が咲くだけになっており、あの色とりどりの花すべてが擬態した蜂だったと思うとぞっとする。


よく見ると人の骨らしきものも多数転がっているのであの花にテンションが上がって突入した後食い殺されたんだろうなぁ。


骨を避けつつ奥へ奥へと進むと、とうとうお目当ての花を見つけることができた。


花弁の広がった部分だけでゆうに5mはあるんじゃないかっていうぐらいの巨大な花。


ラフレシアとかそういう感じをほうふつとさせるが、鮮やかな白い花はまるでスノーデイジーのようだ。


真っ白い花弁の中央に見える鮮やかな黄色い部分が目的の花粉なんだろう。


さっきの一件もあるのでゆっくりと近付いて安全を確認、アティナのお墨付きを得てからやっと花に触れることができた。


『キングプロテアの花粉。魔素の濃いダンジョンの奥や魔石鉱山などにしか自生しない巨大な花。花粉の中には吸収した高濃度の大気中の魔素が含まれており、その濃さが作用して弱い毒はかき消されてしまう。最近の平均取引価格は銀貨40枚、最安値銀貨20枚、最高値銀貨77枚、最終取引日は449日前と記録されています。


薬の材料としてはかなり貴重なもののはずなのに場所が場所なので持ち帰る人がほとんどいないんだろうな、取引履歴はかなり古いし価格はバラバラ、こうなると基準の価格を見極めるのが難しくなるが身内なので問題はないだろう。


「見事なもんだ。」


「えぇ、ここ高濃度の魔素を吸って非常に美味しそうです。」


「・・・これを食うのか」


「正確には吸う、でしょうか。」


ビジュアル的にはむしろそっちの方がやばいので外では避けてほしいんだがなぁ。


ただでさえ吸うタイプの麻薬がはびこっているのに、それを中和するための物をまた吸うとか・・・いや、その方がいいのか?


これを吸えば元気になれますってな感じで普及させるのはどうだろうか。


「この濃度、ただの人が吸えば大変なことになりますな。」


「げ、マジか。」


「死ぬことは無いと思いますが色々と不調が出ること間違いなしですぞ。」


「やっぱり薬にするしかないのか。とりあえずあるだけ持って帰ろう、またここに来るとなるとあいつらの相手をしなければならないしな。」


ここはダンジョン、時間がたてばまた例の蜂が復活して襲い掛かってくることだろう。


ついでに志半ばで倒れた冒険者の遺品も持って帰るとしよう。


最初は装備品を持ち帰るつもりはなかったのだが、素材らしい素材はないしここまで来れるだけの実力があるということはそれなりの装備を持っているはずだ。


それを放置するのはさすがにもったいない。


というわけで目的の花粉のほかに装備品を回収できるだけ回収して王都へと帰還するのだった。


まぁ装備品のほとんどは呪われているので解呪しないと使えないし、冒険者が少なくなった現状でそこまでの金をかけて本当に売れるかはわからないのだけど。


還年祭を前に何やら不穏な空気が漂っている気がするなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ