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【祝!2200万アクセス突破!】転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す  作者: エルリア


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12.転売屋は質屋に同行する

翌朝。


すがすがしい気分で俺は下に降りて行った。


ここまでスッキリしたのって何年ぶりだろうか。


いやぁ若いって素晴らしいなぁ。


何回やっても疲れないし、疲れてもすぐ回復するし。


おかげで夜遅くまで大ハッスルしてしまった。


「うぅ、腰が痛い。」


そんな俺とは逆に満身創痍なのはエリザだ。


聞けばなんと年上だったらしい。


いや、厳密にいえば年下なんだけどこの世界では二十歳ってことにしてるからそれと比べると二つ上という事になる。


冒険者になって6年、中級冒険者らしい。


その辺がどれぐらいすごいのかはよくわからないが、ピロートークで色々と聞き出すことが出来た。


冒険者って大変だなぁ。


ゲームや漫画ではあっさり魔物と戦ったりしてるけど、俺には絶対に無理だね!


「よぉ、昨夜はお楽しみだったな。」


下に降りるとマスターがにやにやした顔で俺を見てくる。


このセリフはどこでもおなじみなのか?


「お陰様で、忠告通り元気になったよ。」


「そいつは良かった。てっきり向こうで楽しんで来るものとばかり思っていたが、まさか冒険者を連れてくるとはな。」


「え、私を知ってるの?」


「昔何度か利用していたな、確かあの時は他のやつも一緒だったはずだ。」


「まさか全員覚えてるのか?」


「そのまさかさ。そりゃあ記憶の曖昧な奴も多いが美人は忘れないタイプでね。」


職業柄というやつだろうか。


元の世界でもそういった逸話は事欠かないが、実際目の当たりにすると正直怖い。


一昨日の晩飯すら忘れる男だぜ?絶対に無理だ。


「それはわかる気がするな。」


「だろ?」


「そうだ、マスターこれを。」


俺は思い出したようにポケットから銀貨を取り出しマスターの前に置いた。


「何だこれは。」


「こいつの宿泊代だよ、先払いするはずだったのに悪かったな。」


「なんだそういう事か。」


「これで飯もつくよな?さぁ座れよ。」


「うん。」


エリザを誘導して近くのテーブルに陣取る。


いつもならすぐにリンカが飛んでくるんだけど・・・。


キョロキョロとあたりを見渡すと、突然ガン!と大きな音を立てて二人分の水が置かれた。


「随分と不機嫌だな。」


「そういう女の人だったらまだしも冒険者に手を出すなんて、最低!」


「おいおい、藪から棒になんだよ。」


「シロウはそういう人じゃないと思ってたのに、幻滅したわ。」


一体何にキレてるんだ?


そういう日なのか?


俺が誰を抱こうが俺の勝手だし、そもそもお前にはダンがいるじゃないか。


そう文句を言ってやろうかと、喉までセリフが出かかった。


「待って!別にシロウが悪いわけじゃないの、シロウは私を助ける為に私を買ってくれただけだから。」


だが出かかった言葉は何故か必死に弁解するエリザによって喉の奥にしまい込まれた。


「どういうこと?」


「シロウは借金で身動きの取れなくなった私を案じて仕方なく買ってくれたの。その為に金貨を5枚も払ったのよ。」


「「金貨5枚!?」」


後ろで話を聞いていたマスターまで大きな声を出す。


人が何に金を使おうが勝手じゃないですかねぇ


「ちょっとシロウ、それどういう事よ!」


「どうもこうもねぇよ、こいつが今日までに金を持って行かないと奴隷に落とされるっていうから買っただけだ。」


「買っただけって、金貨5枚よ!?」


「それがどうした。それを払うだけの価値がある抱き心地だったぞ。」


「やめてよ恥ずかしい・・・。」


顔を真っ赤にして俯くエリザ。


普段は冒険者宜しく強気のようだが、ベッドでは随分と大人しかったものだ。


まぁ処女だったし、そういった事に耐性が無いのも仕方ない。


「いい女を抱く為に金貨5枚を出すか、流石俺が見込んだ男だな。」


「マスターだっていい女には金出すだろ?」


「さすがに金貨5枚は出ねぇよ。」


まぁ普通に考えれば500万ぐらいになるのか?


おかげでこれまで稼いだ金が殆んど無くなってしまったが、昨日買いこんだ商品があるしそれを売れば問題ないだろう。


仕入れが出来ないだけの話だ。


「とりあえず何をするにしても飯だ、まともに食ってなかったんだろ?」


「この二日は水ぐらいだったし。」


「もぅ、そういう事なら早く言ってよね!マスター大盛りお願い!」


突然吹っ切れたようにリンカの顔が明るくなる。


なんだなんださっきのキレっぷりはどこに行った?


喜怒哀楽の激しい奴だなぁ


「おぅ、倒れるぐらい食わせてやるよ。」


「いや、流石にそこまでは・・・。」


「いいから食っとけ、食ったら金を払いに行くからな。」


「え、一緒に来てくれるの?」


「顔見知りの方だったら文句を言ってやろうと思ってな、どっちで借りたんだ?」


「ホルトの店。」


「そっちか。」


残念猫娘の方じゃなかったか。


だが好都合だ。


ベルナがあれだけ必死になって止める理由ってのを見せてもらおうじゃないか。


その後二日ぶりの食事に目を輝かせるエリザにゆっくりと食べるよう忠告してから、俺は仕込みの準備をしに部屋に戻った。


確かいい感じのやつがこの辺に・・・。


あったあった。


あとはこれとそれと、こいつもいいかな。


よし、全部袋に入れて準備完了だ。


下に降りると満足そうな顔をしたエリザが大きくなったお腹をさすっている。


俺が仕込んだんじゃないぞ。


何故かそんな言い訳を誰にするでもなくしてしまった。



今日の目的はあくまでもエリザの借金返済だ。


前回は休みで暗かったが今日はしっかり明かりがついている。


一瞬ベルナの店を見てから俺達はホルトの店に入った。


中はベルナの店と瓜二つ。


違うとしたら綺麗な宝石が並んでいるのではなく、怪しげな品が並んでいるところだろうか。


なんだよこのおどろおどろしい色をした小瓶は。


毒でも入ってるんじゃないのか?


触ればわかるんだろうけど、触りたくない。


「いらっしゃい・・・なんや、エリザやんか。お金は準備できたんか?」


関西弁バリバリの犬がしゃべっている。


ベルナが猫でホルトは犬なのか。


声の感じから恐らく雄なんだろう。


「金貨5枚、これで借金は返済よ!」


バンとたたきつけるようにエリザが金貨をカウンターに置く。


昨夜渡した金色の硬貨が後ろの明かりに照らされて光り輝いていた。


「へぇ、エリザにしちゃぁやるやんか、後ろの男に媚びでも売ったんか?」


「どうでもいいでしょ、これで私の借金は終わり。次に装備の代金を払うから・・・。」


「ちょい待ち、何いってるんや?」


「え?」


捲し立てるように話を進めるエリザを犬が遮る。


よく見れば小さなリーディンググラスを付けていたようで、くいっとそれを上に持ち上げエリザの顔を見た。


「借金はこれで終わり?冗談じゃない、あと金貨1枚残ってるやんか。」


「なんでよ!先週は確かに金貨5枚だと言ったはずでしょ!」


「それは先週の話やろ?月が替われば利息がつくに決まってるやんか。」


おー、そう来たか。


なんとなくそんな気がしてたけど、随分といやらしい手段を使ってくる。


善良な金貸しなんていない、それが俺の持論だ。


もちろんこれはベルナにも言えるんだけど、あの猫娘に関してはこれからの関係次第でかわるかも、しれないな。


「まさかそれを狙って!」


「狙って?何の冗談や?こっちはどうしても返せないからもう少し待ってくれって泣きつかれたから仕方なく期限を延ばしただけや。それをわざとみたいに言うのは心外やなぁ。」


「でも、追加で金貨1枚もなんて聞いてないわよ!」


「それは聞かれなかったからなぁ。」


おーおー、エリザが手玉に取られて泣きそうな顔をしている。


ような気がする。


俺は無関係みたいな感じで商品を見ているので顔はわからないが、おそらくそんな顔をしてるんだろう。


あの泣きそうな顔は中々ソソられた。


俺にそういった性癖があったとは知らなかったが、いじめられるよりも苛める方が好きみたいだわ。


「さぁ、払うもん払ってもらいましょか。払えないなら約束通り奴隷に落ちてもらいます。大丈夫や、良い客をつけたるから安心しなはれ。」


「そんな、ここまで来て・・・。」


ガクリと膝から崩れ落ちるエリザ。


うんうん普通はそうなるよね。


でも、これじゃ俺がついてきた意味がない。


「なぁ主人、その契約書とやらを見せてもらえるか?」


「なんやぶっきらぼうに、そもそもアンタ何者やねん。」


「気づいてるだろ?その金を用意した男だよ、お前のおかげでいい女を買わせてもらった。」


「へぇ、あのエリザがねぇ。でもまぁこの短期間でこの金を用意するにはそれしかないわな。で、アンタが払ってくれるんか?」


「払うかどうかは別にして契約書がみたいんだ。俺で無理なら契約者には見せられるだろ?」


「そ、そうよ!契約書を見せて!どこに月が替わったら利息を払うなんて書いてあるのよ!」


「しゃぁないなぁ。」


ヤレヤレと首を左右に振りながら犬が奥の部屋に消え、すぐに一枚の紙を持って出てきた。


「ほら、これですわ。」


「確かにこれは私のサインだけど・・・ほら、どこにも書いてないじゃない!」


「書いてありますがな、ほら、ここに。」


そう言いながら犬が指さしたのは紙の一番下の方。


サインをしようとしたら隠れてしまうような場所にそれは書かれていた。


「こんな場所わかるはずないでしょ!」


「それは契約書を最後まで読まなかったそっちの責任や、こっちは何も悪ないで。」


「でも!」


「いや、それはその通りだ。契約書に書いてあってそれにサインをしているならどこに書いてあろうが関係ない。」


「なんや、話の分かる男やんか。」


犬が嬉しそうな声を出すが正直どんな表情か読み取るのが難しい。


まだベルナの方が喜怒哀楽がしっかりしていた気がする。


「で、もう一度聞くがいくら足りないんだ?」


「金貨1枚や。」


その程度なら十分予想の範囲内だ。


倍要求されたら仕込みを使おうかとも思っていたが、それを使う必要もなかったな。


「じゃあこれでいいな?」


エリザが叩きつけた硬貨の隣にもう1枚金貨を並べる。


これで合計金貨6枚。


エリザの借金はこれで本当に完済となる。


並べられた硬貨を見て、初めて犬が悔しそうな表情をしていることが分かった。


「・・・確かに。よかったなぁエリザ、いい男に買ってもらって。」


「それよりも武器と防具よ、どこにあるの?」


「そんなもんとっくに売り払ってしまいましたわ。そりゃそうですやろ、質に入れて借りた金が返せなかったらこっちのもんや。恨むんなら自分を恨むんやな。」


「武器も防具も無くてどうやって戦っていけばいいのよ・・・。」


借金から解放されたのに冒険者としてやり直せない。


その事実に再びエリザがうなだれてしまう。


まぁ、それも想定の範囲内だ。


それもどうにかしてやりたいが、さっき出した金貨で俺の手持ちは最後。


じゃあどうするのかって?


無くなったら増やせばいいんですよ。


「話はそれで終わりか?商売の邪魔やからさっさと帰ってくれへんかなぁ。」


「まぁまぁちょっと待てって。」


シッシッと手で追い払おうとする犬の言葉を、さっきエリザにしたように遮ってやる。


「なんやねん。」


「今のでエリザの用事は終わりだが俺の用事は終わってない。商売の話がしたいんだろ、質屋ならこれも買い取れるよな。」


そう言いながら俺は別に用意していた仕込みを机の上に並べ始めた。

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