明鏡止水
第二章、明鏡止水編です。
次の話から本編がスタートしますので、よろしくお願いします。
アデライード王国で最強の魔道士と聞かれれば、多くの人がソフィア女王近衛7騎士である『飛龍の翼』の名を挙げるだろう。
しかし、最強の剣士と聞かれた際は票が割れることがほとんどだ。
では、私は誰に票を投じるのか。
そう考えた時、真っ先に頭に浮かぶ人物がいる。
『ビーストマスター』の親友として知られる彼は、エウニス学園生時代はお世辞にも最強とは言い難く、優秀だが戦闘向きではないという評価をされていた。
教師たちからは医科大学への進学を勧められていたほどだ。
私自身、誰よりも強くなると豪語する彼が、現在知られているほどの人物になるなど、当時は想像もしていなかった。
彼には水魔法の才能があった。
逆に言えば、水魔法の才能しかなかった。
他の魔法は素人以下であり、得意魔法は仲間のサポートがメインの水魔法。
もし私が彼と同じ立場なら、最強になる夢など即座に捨てていただろう。
戦闘においては速さしか取り柄のない水魔法を使って接近戦を挑む彼の姿は、私の目には滑稽に映っていた。
これは、そんな彼が最強へと近付いた出来事の話である。
明鏡止水の瞳を持つ剣士。
後に、心眼の『アイスパラディン』と呼ばれることになる青年。
ジェイク・マクスウェルに訪れた人生最大の試練。
笑顔の裏に闇を背負った少女との、愛の物語だ。




