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レティス王女の近衛7騎士  作者: 相馬あさ
疾風迅雷編
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エピローグ

 10月19日。エウニス学園学生寮前。


 あれから一週間が経ち、市民の暴走で半壊した二トラ市も徐々に元の姿へと修復が進んでいた。


 シアメイはというと、『せっちゃん』ことセリーヌ・ファネル学園長の協力もあって父親の説得に成功し、無事にエウニス学園での生活を続けられることになっていた。


 アリサと共に女子寮を出発して、男子寮から大あくびをしながら歩いて来たジェイクと合流する。


「おはよう、ジェイク君。寝不足?」

「お~、アリサ。小説読んでたら、止まらなくなっちまってさぁ」

「へえ、そんなに面白いの? なら読み終わったら私にも貸してよ」

「いっ!? そ、それはその……」

「え~、ダメなの?」


 いつものようにジェイクとアリサがたわいもない話を始める。二人の距離は妙に近い。


「仲良いよね~。いつから付き合ってるの?」

「なっ!」

「ふえっ? なな、何言ってるの?」

「いや、いつも仲良いから付き合ってるのかと……違ったんだ」


 シアメイが軽く茶化すと、ジェイクはむせ返り、アリサは顔を真っ赤にしてうろたえる。


 ジェイクはシアメイに近付くと、彼女にだけ聞こえるように小声で話す。


「お前なぁ、こっちにもタイミングってもんがあるんだよ」

「……へえ。ジェイク君、割とガチな方か」

「そうだよ。だから、茶化すのはやめてくれ」


 ジェイクの純情な部分が垣間見られて、シアメイは少しだけ彼を見直した。もっと女の子と遊び倒しているイメージだったからだ。


「それにしても、3人だけってのも珍しいよな」


 ジェイクは少し強引に話題を変える。


 校舎へと続く緩やかな坂道を登りつつ、シアメイは謝罪も兼ねてジェイクの話題を膨らませてあげることにした。


「もう、二人は宮殿に着いた頃かな?」

「渋滞でもなければ、そろそろだと思うぞ」

「ティアちゃん、緊張であんまり眠れなかったみたいだし、ちょっと心配だな~」


 アリサは今朝のティアの様子を思い出したのか、くすりと笑う。


「いきなり夢が一つ叶ったんだし、そりゃ緊張もするよ」

「ん? 夢って何のことだ?」

「昨日、ティアが自分の夢を話してくれたんだ。お父さんみたいに強くて、お母さんみたいに優しい、みんなを守る魔道士になりたいんだって」


 ジェイクは、シアメイの説明を聞いて得心する。


「なるほど。でも、叶ったというよりは、まだ一歩目だな、そりゃ」

「なんか偉そう」


 シアメイが笑う。


「ねえ、シアちゃん。ジェイク君。二人には夢ってあるの?」

「そうだな……俺は――」


 アリサの質問を受けて、ジェイクは登っていた坂を駆け上がり、頂上へ一番乗りする。


「世界一強い魔道士になりたい。俺は誰にも負けないって心の底から自信を持って言えるくらいの男になりたい」

「……言ってて、恥ずかしくないの?」


 呆れ顔のシアメイに問われて、ジェイクの顔が少しだけ赤みを帯びる。


「いや、ちょい恥ずい。でも、だからだよ。それが恥ずかしくなくなるくらい、強くなりたいんだ」


 シアメイは初めて、ジェイクのことをカッコいいと素直に思った。


「なあ、アリサはどうなんだ?」

「私? 私は……両親に恩返しがしたいな」

「恩返し?」

「うん。私ね、今の両親と血が繋がってないの。色々あって行き場がなくなっちゃった私を、あの人たちは優しく迎え入れてくれたんだ。だから私は二人にはずっと笑顔でいて欲しいの。その為の一生ものの恩返しがしたいんだ」


 シアメイとジェイクはアリサの家庭のことを知らなかっただけにとても驚いた。同時に、話してくれたことを嬉しく思った。


「……いい夢だな。何かあったら俺にも手伝わせてくれよ」

「ボクにも」

「うん。ありがとう」


 ジェイクとアリサの話を聞き終えて、シアメイは失敗したと思った。話の流れとして、自分の夢を語らなければいけない雰囲気になってしまったからだ。


 案の定、二人がお前も話せと言わんばかりに視線を向けてくる。


「……やっぱり言わなきゃダメ?」

「言わないって選択肢があるのか?」


 3人は学園の校門前に立つ。まだ時間が早いので、他の生徒の姿は見られない。


 シアメイはくるりと身を翻し、遙か遠くに見える宮殿を見据える。ジェイクとアリサもそれに倣った。


 シアメイは笑うなと前置きしてから口を開いた。


「ボクにはさ、死んだ兄さんがいるんだ。強くて、カッコよくて、優しい、理想の兄さんだった。それでいつしか、兄さんみたいに強くなりたい。強くならなきゃって考えるようになっていったんだ」


 自分の男のような口調や立ち振る舞いも、ただの兄の真似だとシアメイは笑いながら白状する。


 シアメイは手のひらを胸の上に置く。


「でもさ、兄さんの真似をしているだけじゃダメだって、今回の事で気付いたよ。表面だけ真似ても、強くなんてなれないんだ。だからボクは――わたしの夢は、兄さんみたいになることじゃなくて、わたしらしいやり方で、兄さんよりも強くなること……かな」


 シアメイは語り終えてから、ジェイクとアリサから送られてくる生暖かい視線に気付いて、顔を真っ赤にする。


「あああ、何を語っちゃってるんだ、ボクは! やめやめ、やっぱりボクはこういうタイプじゃないよっ!」


 シアメイは手で顔を隠してうずくまる。


「やめちゃうの? せっかくだし、もっと女の子らしさを出していこうよ」

「無理だって! 今さら女の子らしくなんて、恥ずかしすぎて死ねるわ!」

「え~、可愛いって。ジェイク君もそう思うでしょ?」

「おう。なんつーか、ギャップがあるといいよな。出来たら仕草は女らしく、口調はそのままのボーイッシュな感じで頼む」


 シアメイは顔を真っ赤にしてジェイクを平手打ちした。




 リードクイン宮殿。

 アルフレートとティアはフローラとリーゼロッテを連れて、豪華な装飾に彩られた部屋へと足を踏み入れた。


 そこには、ソフィア女王、レティス王女に加えて、『不死身の大鎌』ことセルゲイ・クラインと、クライン家に仕える東方人のマサムネの姿が確認できた。


 到着した二人にレティスが近付く。


「アル様、ティア様」

「ごめんね、レティス。なんかメイドさんが張り切っちゃって……」

「いえ、まだ時間はありますのでお気になさらないで下さい」


 ティアはいつもしていない化粧をメイドたちによって施されていた。アルフレートも同じで、少女のような彼の容姿に大喜びしたメイドたちによって、誰が見ても男装の美少女だと思う仕上がりになっている。


「すごいわね、アルフレート君。あなたやっぱり――」

「いや、僕は男ですからっ!」


 ソフィア女王の言わんとすることを先読みしてアルフレートがツッコミを入れる。かなり不敬な態度ではあるのだが、ソフィアはまったく気にしておらず、冗談だと言って楽しそうに笑った。


「アル様、ティア様、お二人の騎士名を考えたので、聞いていただけますか?」

「えっ! う、うん!」

「もうなの? 私、心の準備が……」


 レティスの一言で、アルフレートとティアは姿勢を正してレティスに向き直る。


 先日の誘拐事件から、ソフィア女王は早急に近衛騎士を7人揃えるべきだという世論が強まった。それはもちろんソフィア自身も感じていた事であり、娘であるシーラ王女とレティス王女も同意見だった。


 三日後にはソフィアは誘拐犯に圧倒的な実力を見せつけたマサムネを自身の近衛7騎士に指名。加えて、次期女王であるシーラ王女にも即位に先立って7騎士を持たせることを発表した。


 今日はシーラ王女の近衛7騎士を世間に発表する場なのだが、実は妹のレティス王女も7騎士を発表する事になっている。


 レティスは自分の騎士としてアルフレートとティアを指名しているのだが、二人には拒否権も与えられているので、レティスは最後の確認を取る。


「もう一度確認しますが、女王になることのないわたくしが7騎士を持つということは、全く前例のない試みであり、場合によってはバッシングを受ける可能性もあります」

「……い、胃が痛くなってきたわ」

「ですので、辞退するのならこれが最後のチャンスになりますが……」


 アルフレートとティアは顔を見合わせる。


「不安でいっぱいだけど、辞退なんてしないわ。何より、近衛7騎士なんて名誉を辞退するなんて魔道士としてあり得ない」

「僕も大丈夫だよ。フローラとリーゼロッテともよく話し合ったし、とっくに覚悟を決めてここにいるんだ」

「ご主人様がレティスお姉さん――レティス様の騎士となるなら、全力でそれをサポートするだけです」

「まっ、兄ちゃんだけじゃなく、レティス姉ちゃんもちゃんと守ってあげるから安心してよ。あたしたちがいれば、兄ちゃんは無敵の騎士になれるしさ」


 レティスは感謝の言葉をのべて、魔犬の双子の頭を撫でる。


「では、お二人の騎士名をお伝えします」


 アルフレートとティアはごくりと息をのむ。


「まずはティア様。あなたには『ブリュンヒルデ』の名を与えます」

「ブリュンヒルデ……確か神話に出てきた人物よね」

「炎の翼と鎧を纏って戦うティア様は神話に出てくるヴァルキリーのようでしたので」

「ありがとう。少し恥ずかしいけど、名前に負けないように頑張るわ」


 ティアは嬉しさでにやけそうになるのを必死にこらえて平常を装った。


 レティスは次にアルフレートに向き直る。


「アル様はローラ様とロッテ様を従えて、疾風迅雷の戦いぶりをわたくしに見せてくださいました」

「いや……うん。あれはこの子たちの力に寄るところが大きいけどね」

「だからこそ、あなたには『ビーストマスター』の名を与えようと思います」

「ビーストマスター……そのままだね?」

「騎士名はその人物を表現する際の記号のようなものですので、あまり捻らずにシンプルな名前にしました。お嫌ですか?」

「ううん。そんなことないよ。これからこの子たちと一緒に君を守っていくって思いが強くなったくらいさ」

「ありがとうございます、アル様」


 レティスはとても真剣な表情をアルフレートとティアに向ける。


「『ブリュンヒルデ』、『ビーストマスター』、わたくし――レティス・メーベル・ウラニア・オーウェルは、お二人にわたくしだけでなく、この国の国民全てを守護する騎士としての働きを期待します」

「「はい。王女殿下!」」


 レティスの言葉にアルフレートとティアは誰に教わったでもなく、敬礼で返していた。


 二人は内心で近衛騎士らしい振る舞いが出来たと自画自賛したのだが、レティスはあからさまに不機嫌そうなふくれっ面でそっぽを向いた。


「あ、あれ? レティス?」

「どうしたのよ?」


 二人は自分たちの所作に不適切なものがあったのかと冷や汗を流す。


「……約束したのに、殿下と呼びました。わたくしはとてもショックです」

「え、そこなの? さすがに仕方なくないかしら?」

「仕方なくありません。重要なことなのです!」

「でも、私たちはあなたの騎士になったのよ? そこは臨機応変に――」

「それでも嫌です! お友達に殿下と呼ばれたくありません!」


 子供のように拗ねて喚くレティスに、ティアの中で何かがプツンと音を立てて切れた。


「……あなたね、そんなこと言ったらレティスはいつまで経っても私たちに敬語じゃない! こっちがせっかく騎士らしく振る舞ってるんだから、いちいちへそ曲げるんじゃないわよっ!」

「へ、へそを曲げてなんていませんっ! ティア様が約束を破ったのではないですか!」

「忘れたわよそんな約束! お友達らしく付き合いたいってんなら、怒った時くらいその無駄な敬語使うの止めなさい、矛盾してるわっ!」

「こ、ここ、近衛騎士がわたくしに命令するのですか!」

「な~にが命令よ! 友達って言った傍から王女面しやがって! もう頭にきたわ、王女とか騎士とか関係なくぶっ飛ばして目を覚まさせてあげるわ!」

「ええ、そうですか、分かりました。ならお望み通りわたくしがあなたをぶっ飛ばして差し上げます!」


 ティアとレティスが掴み合いの喧嘩を始めそうになったところで、慌ててアルフレートが止めに入る。


「アル、邪魔しないで、こいつ殴れない!」

「離してくださいアル様! 反抗的な騎士はわたくし自ら修正しなくては!」


 二人は普段からは考えられないような力でアルフレートを引きはがし、突き飛ばす。


 その瞬間、小さな衝撃がティアとレティスの頬を打つ。


「喧嘩両成敗」

「だよ。姉ちゃん達!」


 争っていた二人は頬を押さえて、自分たちを引っ叩いた双子――フローラとリーゼロッテを見た。


「これから仲良くやっていこうという時に何をやっているのですか」

「喧嘩はダメだよ姉ちゃん。あたしもよくやっちゃうけど、後で絶対後悔するんだ」


 自分よりも幼い二人に怒られたことで、ティアとレティスは冷静さを取り戻した。


「あの、ティア様。わたくし……その……」

「あ……いや、私もちょっとやりすぎたっていうか……」


 ティアとレティスの間で気まずい空気が流れる。アルフレートは二人になんと声を掛けたらいいのか分からず、ただおろおろと静観することしか出来なかった。


 すると、二人の喧嘩を遠くから静観していたソフィア女王が堪え切れなくなったように吹き出し、笑い始める。


「お、おいソフィア、何を笑っているんだ」

「いや、だってセルゲイ、あの子たち昔の私たちにそっくりじゃない? 遺伝ってすごいわ!」

「……確かに、お前とはよく喧嘩をしたが」


 セルゲイはエウニス学園の生徒だった頃を思い出す。


 ソフィアとセルゲイは何かにつけて喧嘩をし、そのたびにセリーヌを困らせていた。


「お母様……笑いごとではないです。これから7騎士を国民の皆様に紹介しなくてはいけないというのに、これでは……」


「レティス、あなたは誰かと喧嘩するのは初めてよね?」

「……はい」

「何をこの世の終わりみたいな顔をしているの。喧嘩なんてして当たり前、むしろ王女のあなたと喧嘩をしてくれたティアちゃんに感謝しなさい!」

「……感謝ですか?」

「本当の喧嘩は対等な間柄じゃないと出来ないわ。でもね、喧嘩はちゃんと終わらせないとダメよ。最後に仲直りするまでが喧嘩。それが出来なければ、それは喧嘩ではなくて決別になってしまうのよ」


 ソフィアの言葉を聞いて、再びレティスとティアの視線が交差する。


「申し訳ありません、ティア様」

「わ、私こそ! ……ごめんね、レティス」

「……ティア様、わたくしはこの話し方が一番の自然体なのです。それを変えるのは自分を偽ることだと思ったので……」

「い、いいのよ、そんなっ! そうだろうなって何となく気付いていたわ。さっきのは言い合いになった勢いで口走っただけで、本気で言ったわけじゃないの」


 再び二人の会話が止まったところでソフィアが笑顔で言い放った。


「うん。それじゃ、お茶にしましょうか」


 セルゲイは聞き慣れた言葉に思わず苦笑した。その言葉は「これで喧嘩はおしまい」という意味で、セリーヌが使っていた言葉だったからである。




 突然のティータイムの後、シーラ王女がエウニス学園の生徒と思われる二人の女性を引き連れて現れた。


「遅かったわね、シーラ」

「申し訳ありません、お母様。彼女を叩き起こすのに苦労しました。今日から私の7騎士になるというのに、自覚が足りなくて困ります」


 シーラが横目で睨み付けた女性が大あくびをする。かなり図太い性格のようだった。


「……まあいいわ。段取りの再確認だけはしておいてね」


 その様子を眺めていたレティスにアルフレートとティアが近付く。


「レティス、私たちの言葉遣いの件だけど、さすがに公の場では友達としてじゃなく、騎士として振る舞うわよ?」

「はい。そうですね……残念ですが、それがいいと思います」

「よかった。それもダメって言われたらどうしようかと思ったよ……」


 二人はホッと胸を撫で下ろした。


「そうでした、アル様。お話があるのですが……」

「うん、何かな?」

「あの……ここでは少し――あちらに行きましょう」


 レティスはアルフレートの手を掴むと、二人だけでバルコニーへと移動した。


 アルフレートは中々話を切り出してこないレティスを不思議に思いながら、バルコニーから見える美しい街並みを堪能する。こういう時、相手が話始めるまで黙って待つことが出来るのが彼の美徳であった。


「――アル様、おかしな事を言ってもよろしいですか?」

「えっと、うん。構わないよ」

「わたくしをアッシュから助けてくださったアル様は、今のあなたとは違う……そんな気がするのです」


 それは、アルフレート自身も感じていた異変だった。


 頭の中が怒りでいっぱいになった途端、突然意識がクリアになり、暴力的なまでの自信と力が溢れてきた。


「どうだろう? 確かにあの時の僕は怒りで少しおかしくなってた。でも、その時の記憶は今もしっかりとあるんだ」

「……これは仮説にすぎませんが、あのアル様こそ、記憶を失う前のアル様ではないのでしょうか? 極度の怒りと緊張に晒された結果、アル様の本来の人格が表に出てきたのかもしれません」

「そう……なのかな? でも、あんな思いをしないと思い出せないのなら、僕は二度と思い出せなくても構わないよ」

「アル様……」


 アルフレートには小さい頃の記憶はない。そこには大切な思い出もあったかもしれない。しかし、彼にとっては今この瞬間が、一番の大切な思い出だった。


 心にぽっかりと空いてしまっていた記憶という穴は、隣にいる王女様が、使い魔と友人が、学園にいるみんなが、とっくに埋めてくれていた。


「失くしてしまったものを無理に思い出したいとは思わない。後ろよりも前を見て、君やみんなと一緒に進んでいきたいから」


 アルフレートが笑顔で言いきると、レティスも笑って見せた。


「そうですね。みんなで一緒に歩いて行けば、記憶なんて忘れた頃に思い出すかもしれませんし」


 アルフレートの両腕が何かに触れる。


 何事かと視線を落とすと、フローラとリーゼロッテが彼の腕に抱き付いていた。


「兄ちゃん、何の話してたの?」

「ケーキに気を取られてご主人様を見失ってしまいました。不覚です」


 アルフレートは二人の頭に手を置く。


「これからレティスの騎士として頑張っていこうって話だよ」

「お二人の活躍にも期待していますよ」


 二人は嬉しそうに「任せて」と答える。


 アルフレート・クルーガーと魔獣オルトロス。


 三人の活躍が世界に響き渡るのは、もっとずっと後の話になる。しかし、既にこの場に学園で馬鹿にされていた『落ちこぼれ』の少年は存在しなかった。


 凶悪な犯罪者との初陣を経て、彼は誰もが認める騎士になっていたのだから。


 王国の全ての国民を守護する、レティス王女の近衛7騎士、疾風迅雷の『ビーストマスター』に。

疾風迅雷編、完結です。


次回は疾風迅雷編終了時点で公開可能な設定集を作成して掲載する予定です。

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