オタクの言いぶんっ!
それは遠い田舎のある夏の午後だった
俺は暑さのあまりアイスを加えて扇風機の前で居座り、水バケツに足を突っ込んで回復の限りを尽くしていた。
「あつーあつーあつー」
「おい誠何さぼってんだ!!」
「いいだろ、俺はお前の使いじゃないんだぞ」
「だめだ、はやくするんだ!レベル上げ期間終わっちゃうだろ!」
「まったく宅は、なんでそんなにも...」
「いいか人生とはな時ともにあるんだ、今を逃す奴は、今に泣くんだよ!」
「誰の言葉だよ」
「俺の言葉さ」
「髪をなびかすな、まったく」
「いいだろ、俺は常に優雅でありたいんだ」
「優雅でありたいって、この生活のどこからそんな言葉が連想されるんだか」
「どこってそりゃ全てさ」
「いや説明になってないぞ」
「大切なことはいつも心にあればいいのだ」
「はー毎度毎度、ネットやってる奴ってのはシャレを利かさなきゃいられないか?」
「ご名答だワトソン君、ネットとは言わば理想郷だ、だから我々ネット民はシャレを利かすのだよ、ほらいうだろ、笑う門には福来る、そうやって幸せを呼び込むがため、我々は思考という至高を巡らせているのだよ!!」
「そうか、なんか圧巻の域だな、ひとまず立ち上がるな、ただでさえ熱いんだから」
「よしでは同志よ、レベリング再開だ!」
「わかった後少しだけだぞ」
そして僕らはゲーム機を頭にかぶりゲーム世界へ舞い降りた
「たく、ゲームの中まで夏設定かよ、もう...」
「何クーラードリンクを飲めばスタミナは減らないだろ」
「いやメンタル的な問題だよ」
「何をふやけたことを、テロと自分には屈しない、それが男だろ」
「宅は相変わらず熱いな」
「違うな、クールなのさ、やけどするほどに」
「おう...、その今更で悪いんだが、そういう決め台詞の後って、どんな反応すればいいんだ」
「そんなの一つだけさ、軽く目を合わせて乾杯するのさ、お前と俺の運命に向けて」
「じゃ」
クーラードリンクを天高く掲げ、二人は...
「乾杯」「乾杯」
「なんだかむずがゆいな」
「それが青春の味だ」
「そっか、青春か、いいかも」
「それじゃ一狩りいこうぜ」
「おう」
俺たちはイベントフィールドへと向かった
「ここか」
「ああここで俺らは神話になる」
「じゃ」
クーラードリンクを天高く掲げ、二人は...
「乾杯」「乾杯」
「いや誠、さすがに...な」
「ごめん、てっきり毎度やるものかと」
「お前のその素直なところはいいとこだ、だが何事も休み休み行うことだ」
「おうふ」
「そんじゃトリガーON!」
-リーフコンフィグ・キャリブレート、センシティブユニット展開-
-フォトンマテリアル起動、フェローパーミッションオーバードライブ-
-武装完了しましたマスター-
「くー相変わらずかっけのーなんの」
「かっこいいか?」
「誠なにマジカルなこといってんだ、お前は魔法少女変身がお好みなのか?」
「うん」
「今すぐジョブ転生してこい」
「それはだめだ」
「なんでだ」
「だって魔法少女は女の子だけだろ」
「いや誠、お前の夢を壊すようで悪いんだが、今の時代は男も女の子になれる、バリアフリーはここまできてしまったんだ」
「なんだって、もう何も信じられない、東京怖い」
「悪いのは東京じゃないぞ、でも今度アニメ一緒に見よう、そして男の娘を知ろうな、しくしく」
「とりあえず、行こう、なんか立ち止まっていたら、東京の発展がどんどん常識を変えていく気がする」
「そうだな、俺ら田舎者は時代おくれではない、決して決して!」
それから二人は歌った、歌った、さよなら流行という即興の歌を
♪僕らは~僕らは!流行なんかに~流行なんかに!惑わされないぞ~惑わされないぞ!
麦わら帽子は畑仕事にするのです~するのです!決してファッション道具ではないぞ~ないぞ!
「ついたな」
「ああついた、いい汗かいたぜ」
「いい歌だった」
「ああまさしく希望の歌だった」
「じゃお疲れ」
「おつ~!」
俺たちはベースキャンプに戻っていた
「って!違うだろ!誠!」
「違うな」
「なんか成し遂げた気になってるけど俺ら歌歌っただけだよな」
「ああ歌を歌っただけだった」
「こんなことをしている場合じゃない、イベント期間が終わってしまう、走るぞ!」
「おお」
「ついたもう大丈夫だ、さぁ狩るぞ!」
「トリガーON」
ーーーー武装完了しました駄マスター
「ん?なんか今失礼なこと言われたような」
「空耳だよ宅、宅がダメなわけがないじゃないか」
「おお、心の友よ」
「宅は駄目じゃなくて、ダム野郎じゃないか」
「おまっ、確かに俺はカレーも飲んでしまうやつだ、だがこの腹は脂肪なんていうやわなものでできてる訳じゃない、食を愛する愛でできているんだよ」
「じゃ」
クーラードリンクを天高く掲げ、二人は…
「乾杯」「乾杯」
「誠、あからさまに丸く収めようとしてるだろ」
「そんなことないよ」
「まっいい、もう狩りをしよう、さっきから体がうずうずして止まらない」
「おう!」
「いいか作戦はこうだ、相手は全長30メートルのドラゴンかなりでかい、その上飛び回る、だからまず動きを止めるんだ、そこでこれを使う」
「しびれ罠か」
「その通りだ、こいつがあればどんな敵でも10秒間は止まる万能なものだ」
「わかった、それでそんなアイテムもってったっけ?」
「もってるって当たり前だろ、そんなの、えっとほらここに...ここに...」
「やっぱそれないよな」
「なんだ、誠、なんか知ってるような口ぶりだな」
「いやなんでもないよ、知らないよー」
「そういえばお前なんでそんなブルークリスタル装備してるんだ、それかなりのレア装備だろ」
「いやー、たまたま安値で売ってたんだよ」
「おまえまさか...俺たちのしびれ罠売ったのか、それで買ったんだろ!!」
「いやーその人生は山あり谷ありだし、いいことがあれば悪いこともあるってことだよ、だからプラマイゼロだろ」
「誠!なんてことを!!!!」
「ってそんな大声出したら」
ドスンドスン
「おいおい、ドラゴンがこっちにくるぞ!」
「ほらーだから」
「いやまてお前のせいだからね」
「大丈夫、人生は山あり谷ありだから、この不幸も幸運で帰ってくる、大丈夫だ問題ない」
「それもう聞いたよ!」
「とりあえず閃光弾なげるか」
「お前なんでそんな冷静なんだ」
「だって俺ブルークリスタル装備だし」
「このこのこの!仲間のピンチは自分のピンチ、自分のピンチは仲間のピンチ!!ワンフォーオールの精神大事、ここ重要!!」
「転移」
「おい誠どこいった!!」
-GAME OVER-
「誠おおおおおお」
「ごめん転移結晶もゲトしたんだにゃ」
「いや可愛くいってもダメだからね」
「かわいいは正義って教わったんだ」
ちゃんちゃん
ありがとうございました。