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コンビ

やっと教室に戻り、疲れたように自分の机に座る。すると、レンが暢気に話し掛けてくる。


「よお、生きてるか?」


「お前、知ってただろ。」


「生徒会長が、とっても美人だって事か?」


「それも驚きだが、俺が言いたいのは別の事。」


冗談に乗りつつも、不機嫌な視線を向ける。


「あの女は、生徒会長って言ってるけど国から命じられて動いてる。そうだろう?」


不機嫌そうに言うノアに、苦笑を浮かべるレン。


「ごめんな、助けたかったけど俺には勝てないからさ。自分の意志を通すには、戦って勝つしか無い決まりなんだ。全国の学校のルールだし。」


「つまり、実力社会な訳だ。」


「そう言うこと……。」


「あのさ、そう言う事は前もって教えてくれ。」


「まぁ、お前の事だし気付くかなって。」


「あのなぁ……。」


「本当に、ごめん。でも、やっぱり気付いた。」


俺は、ため息をついて次の話題をだす。


「そう言えば、レンはどのグループなんだ?」


「ふっふっふー、よくぞ聞いてくれた。俺は、どのグループでも無い。と言うより、自分のグループを作ったからメンバー募集中だぜ。」


「それで、メンバーは何人居るんだ?」


すると、いきなり凄い勢いでしょんぼりする。


「どっ、どうしたんだ……。」


「ゼロなんだ……。」


「あー、なるほど……。」


察したように、頷いて苦笑する。


「何で、来ないのかなぁ。これでも、少しは戦闘力あるのに逆にスカウトばかり来る。」


「なるほどな……。確かに、戦闘力は大事だ。しかし、それだけでは駄目でもある。」


呑気に言って、教科書を出す。


「どう言う事だ?」


「うーん。レンはさ、戦闘力が強く人数の多いグループと人数は少なく戦闘力が少しおとって優秀な参謀の居るグループどちらが勝つと思う。」


少し笑みを浮かべ、考えるしぐさをするレンを見る。周りも、この会話を聞いて黙る。


「やっぱり、戦闘力が強くて人数の多いグループじゃないのか?いくら、優秀な参謀が居ても数には対抗出来ないだろ。袋だたきに、されちまうしなぁ。でっ、答えはどうなんだ?」


「残念ながら、はずれだ。答えは、少しおとって人数の少ない優秀な参謀の居るグループだ。」


周りは、驚いたり納得したりしながらノアの次の言葉を待つ。レンは、驚きノアを見て言う。


「えっ!?何でなんだ。」


「確かに、数の暴力は恐ろしいし戦闘力が少し上だと負ける印象が強いが相手は力任せだ。」


それだけでは、理解出来ないのかノアを見る。


「あのな、少しの戦闘力の差なら策略次第ではその差を埋めるのは容易い事なんだぜ。そして、戦略次第では、少ない数で多い数も倒せる。それは、俺達が習う歴史で証明されている。」


ニコッと笑って、レンの反応を待つ。


「でも、あれって狙ってやったものなのか?」


「当たり前だろ。」


そう言うと、面白そうに聞く。


「さて問題、お前が次に集めるべき人材は?」


ハッとするレン。どんな、少ないグループでも、参謀が居るグループはすぐに人が集まる。何故なら、安心するのもあるし作戦があるから行動に迷いが出ないと言う事もあるからである。


「まずは、参謀探しからか……。」


「そうだな。まぁ、頑張れ。」


そう言うと、レンがこちらを見て言う。


「もしかしてさ、お前って参謀とか出来たりする?もし出来るなら、勧誘しても良いか?」


「まぁ、出来ないことはないけど……。」


「なら、勧誘しても良いか!頼むよ……。」


ハッキリ言おう。これでも、数々の修羅場をくぐった参謀でも俺はあるが……。


人付き合いは、これでも苦手な方なので不安なのである。そもそも、まともなコミュニケーションなんてあまりしたこと無いし。困った……。


「駄目なのか……。」


黙り込んだ、俺に不安を覚えたのか下から目線でお願いしてくる。俺は、冗談っぽく言う。


「美女の下から目線なら、男なら揺らぐかもしれないがお前がやってもキモいだけだぞ。」


「うっ、うるせぇ!」


「まぁ、試しに組んでみるか。」


「えっ、良いのか!」


「ものは試しだけどな……。」


ニヤッと、悪戯っぽく笑う。


「それを言うなよ……。まぁ、よろしく頼むな相棒。俺も、もっと勧誘頑張ってみるからさ。」


「まずは、コンビからのスタートだな。よろしく頼むよリーダー。残念だけど、勧誘は協力出来ない。俺は、コミュニケーションが苦手だし。」


「そうなのか?なんか、そんな感じしないけどな。まぁ、勧誘は任せろ。」


2人は、手を握り握手を交わす。


そして、放課後にそれは起こった。ノアは、職員室にレポートを届けに教室から出て行った。すると、前からしつこく勧誘していた3年達がコンビを組んだのを知り教室に殴り込みに来たのだ。


「おい、ノア・フィーリスはどこだ。」


「俺の相棒に、何の用があるんだよ?」


警戒して、身構えるレン。


「お前は、うちのグループが勧誘してたのにコンビを組んだからな今のうちに潰す。」


レンは、自分のせいでノアを巻き込んだ事に気づき。一瞬、どうしようかと思うが剣を構えて先輩を見る。気付けば、他のクラスも集まりだしている。先輩は、それを見て嘲るように笑う。


「お前1人で、俺に勝てる訳が無いだろ。」


「それでも、あいつを巻き込んだのは俺だ。」


真剣に、言い放ち剣は揺るがない。


「ふん、もったいない人材だが仕方ねぇ。」


それは、一方的な暴力。血を流し、ふらつきながら立ち上がるレン。止めとばかりに、剣がレンに振り下ろされたその時だった。


キーンッ!


「お前達、いったい集団で何をしてるんだ?」


レンを庇うように立ち、剣を構えるノア。


「お前、誰だ?知らねぇ顔だな……。」


「お前が探してた、ノア・フィーリスだ。」


暢気に言うと、気づかうようにレンを見る。


「おまえか!俺らが、目をつけていた道具を横取りしていったのは……。ぶっ殺す!!」


「道具……ね……。」


その瞳に、思わず背筋が寒くなるような冷たさが一瞬だけやどる。だが、先輩達は気付かない。


逆に上のランクのグループは、それに気付きこれは古龍の逆鱗に触れたもどうぜんだなとため息を漏らす。だが、その目は面白そうでもある。


「死ねやぁごらぁ!」


「まったく、無駄な動きの多い奴らだ。」


次々に、襲い来る先輩達を相打ちにさせたり共倒れさせたりして数を減らしていく。


「うるせぇ、大人しく死ね!」


「滑稽だな……。」


ため息をついて、間合いをつめるとはじき飛ばし首元に刃を突きつける。


「これで、勝ったつもりかよ!とどめを刺さなければ、意味がねぇんだよ。」


「いやいや、お前の負けだから。敗者は、大人しく教室に戻った方が良いぞお前らの名誉のために言っとくけど。次は、手加減出来そうに無い。」


含みを込めて、先輩達を見つめる。先輩達は、悲鳴をあげて去って行った。ため息をつくノア。


「状況は、なんとなく分かった。それでレン、何で俺を呼ばなかった。どうしてだ?」


少しだけ、怒ったように言う。


「だって、俺のせいでお前を巻き込んだんだ。」


「だからなんだ?」


「えっ、だって申し訳なくて……。」


ため息をまた吐き出すノア。


「この、大馬鹿者!」


「ごめんって……。」


「あのな、グループに入ったのはお前から誘われたけど了承したのは俺だ。何も、お前が全部背負う必要なんて最初から無かったんだよ。」


そう言うと、回復系の上級魔法を使う。ざわめきが起こる。回復系の魔法は、使える人が少ないあげく滅多に使える人がいない光属性の魔法だからだ。少し魔力の消費がつらかったのか、一瞬だけふらつくが何とか全て回復させる。


「ありがとう。それにしても、お前って凄く強かったんだな。なんか、凄く格好良かった。」


「元気そうで何よりだ。さて、俺は疲れたし帰るから帰りは気を付けろよな。」


「あっ、待てよ!俺も、一緒に帰るから。」


慌てて、帰る支度をしてノアを追いかける。


その場には、良い人材を見つけて嬉しそうな上のランクのグループと強い敵が出来たと悲しむ生徒が居た。そして、あの生徒会長の姿もある。


「これから、楽しくなりそうだね。」


そう呟き、生徒会長は去って行った。

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