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グループ

俺は、先生に連れられ教室に入る。周りの生徒の、視線がいっきにこちらに向く。


「さて、転校生を紹介するぞ。」


「ノア・フィーリスです。よろしくお願いします。ちなみに、質問は受け付けません。」


「なんだよそれ!彼女いるのかとか、好きな女の好みを知りたかったのにぃ!」


後ろの席の、少年が勢いよく言う。


「お前みたいな奴が、居るからだ。」


すると、周りの生徒は思わず笑ってしまう。


「くそぉ、1本取られた!」


机に、突っ伏してうだうだと言う。


「さて、お前の席はさっきお前に話し掛けたレンの隣だ。よし、授業を始めるぞ。」


授業中……。はっきり言うと、楽勝だな。ペンをクルクルと回してから、計算の式をカリカリと迷うこと無く書いていく。


「さて、この問題は……レン答えろ。」


「えっ、えぇーっと……。」


目を泳がせて、チラッとノアのノートを見る。


「答えは、36です。」


「正解だが、カンニングはいかんぞ。」


ため息をつき、さりげなく突っ込む。


「にしても、お前凄いな。全問正解とかさ。」


「そうか?授業をしっかり受けて、しっかり理解すれば勉強しなくても解ける問題だぞ。」


「こいつ……、天才か?」


思わず言う、レン。


「な訳ないだろ、努力の差だ。」


「お前って、本当にクールだよなぁ。」


「そうなのか?」


暢気に言って、教科書を閉じる。すると、生徒会の人が入ってくる。確か、あの人は書記の……。


「おい、ミナタール。授業中たぞ。」


「すみません、ですが生徒会長がお呼びなのですよ。安心してください、もうチャイムが鳴りますから。さて、ノア君。行きましょうか。」


キーン♪コーン♪カーン♪コーン♪


「ノア、気を付けろ。」


意味ありげに、レンが呟く。それに、微かに頷いて答える。すると、レンは俺から離れていった。


生徒会室……。何でだ?俺は、囲まれて座らされていた。思わず、身構えてしまうが……。


「さて、質問して良いかな?」


「基本、質問は受け付けないんです。」


素っ気なく言って、まっすぐに生徒会長を見る。


「知ってる。君の父親も、よくそんなこと言っていたよ。君は、あのフィーリス家の子だね?」

   

なるほど、レンの気を付けろの意味が分かった。確かに、これは気をつけないと知られたくない事まで吐かされるな。それに、手慣れてるようだ。


「すみません、俺には何を言っているのか全く分かりません。俺には、過去の記憶が無いので。」


俺は、本気の演技で困ったように言う。


「なるほど、そうだよね。記憶操作されてるか。悪かったね、忘れてくれたら嬉しいな。」


あっ、騙された。まぁ、ラッキーだな。


「はい、よく分かりませんが。」


「さて、次の質問。君は、集団戦闘競技でいつもどこの配置かな?とても、興味がある。」


ん?何か、言わない方がいい気がする。


「どう言う事ですか?」


この世界は、常に戦闘と隣り合わせだ。この学園でも、集団戦闘競技…団闘技がある。いくつかのグループがあって、必ず生徒はグループに入るか作るかしないといけない。そして、グループどうし戦い勝利したグループは学園の代表となる。


そして、年に1回だけ国の学校を集めて代表グループどうしを戦わせる。代表グループに、拒否権はない。何故なら、学校の名誉に関わるから。ちなみに、この試合に負けて潰れる学校も少なく

ない。だから、生徒会は生徒を見極めようする。


この戦いに勝つと、国の代表グループと対戦し勝てば代表グループが入れ替わるシステム。


国の代表グループになれば、各国の代表グループと戦う事になる。そして、ルールに相手を殺さないといけないと書いてある。敗北は、死である。


かつて、国の勝手な決定で父は無謀で理不尽な戦いを強制させられた。敵国の要求は、当時8歳だった僕を渡すこと。父のグループは、もう殆ど生きていなかった。歳を取ったり、新婚だったりして抜けた奴らが多かったのだ。


当時の敵国は、優秀な遺伝子を持った子供達を集めていた。そして、無敗と恐れられた父を卑怯な手で殺したのだ。僕は、すぐさま連れ去られ地獄のような戦場や戦いに出された。


そして、ついた名は『戦場の死神』。


彼の出る戦場は、必ず勝つ。彼は、参謀としても戦力としても優秀な生きた殺人兵器である。


そう言われてきたのだ、あの日まで……。


「まだ、君はグループに入ってないよね。だから、配置が分かっていれば入りやすいでしょ?だから、聞いておこうと思って。」


やっぱりか……。それにしても、この人。


「あの何で、俺が団闘技をしたことがある前提で話しているんですか。配置なんて無いですよ。」


「だって、経験者でしょ?隠さなくて良いよ。」


「経験者?俺がですか?」


「あら、そこも記憶操作されてるの?」


されてない、でもなるべく知られたくない。


「まぁ、良いかな。じゃあ、戻って良いよ。」


「失礼しました。」


生徒会室をでて、安心してため息をを漏らす。さて、教室に向かってレンにいろいろ聞かないといけないな。グループか……。

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