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新・神臨物語  作者: 天義
第一幕 無から生まれし絶望
8/15

第七章 神と臨んだ末路

どうも、天義です(・∀・)

ここから展開が急ピッチでヒートアップしていきます笑

ジェットコースターみたいな展開ですが、文字数は大してないので一気に見ちゃって下さい><

第七章 神と臨んだ末路

逆説世界で人を殺め、感謝されることに慣れ始めて早1ヶ月、かつての天然ボケしたジョンの姿はもはやそこには存在せず、虚無神にとり憑かれたかのように、通り過ぎる人々を殺していく殺人鬼、否、狂鬼と化していた。

この世の摂理とは真逆なので、蛮行を犯せば犯すほど、人々は幸せになっていく。

「ホラ、死ね! 生きたければテメェら全員皆殺しだ!!」

ジョンはいつもの様に愚かしめいた行動をとっていると、たまたま居合わせたある人物の目に止まった。

「君、ちょっといいかい?」

「あぁ? って、おい!」

非礼な態度をとったにも関わらず、有無を言わさずしてとある施設へやって来させられた。

「ここはこの世界を創った神、ツェッカ=フィブリットによって認められた者のみが立ち入りを許可される、三源施設ヴェルキ・カルティアナだ」

「三源施設? ヴェルキ・カルティアナ?」

ジョンはいつも通りの天然さとはいえないが、少し何かを企んでいる様な表情で嘘笑み、眉を潜めた。

「リアルワールドから来ておきながら、それほどの智識も身につけておらぬとは...」

コイツ今なんて行った!?

「なんで俺が現実世界の人間だと!」

恐らく、こいつは並列世界か現実世界、はたまたはるか昔からこの世界にいた人間だと瞬時に予測した。

「仕方ない、一から説明しよう。三源施設とは、そもそも三つの世界において各地に点在する、すべての分野における知恵と智識を蓄えた施設のことだ。リアルではオリジナル・カルチャナ、この世界パラドキシアではここヴェルキ・カルティアナ、パラレリアではエデンズ・スクワードとね」

それにしてもこの人物、横文字の多い野郎だ、とふと思うジョン。

もちろん、最後のキーワードに一時は驚いたジョンだが、イマイチ展開が早くてついていけないため、「だからなんだ」と言わんばかりの表情を見せる。

「そして、これらは君たち神に臨めし資格を持つ者にのみ、踏み込むことが許されている」

いざという時の話の解釈力が半端じゃないジョンは衝撃を受けた。

あの二人を思い出したのだ。

「じゃぁ、ジーナやアルヴェスも...!」

現実世界にジョンを待ちわびんとしている両者を久方ぶりに思い出し、感極まった。

「あぁ、レイトの聖訂者とメノラに選ばれし者の事か」

「!? なぜ知っている...」

不審がるジョン。

警戒心が強い部分は、やはり変わっていないようだ。

「この世界が誰の世界と知っての発言かい? 何度でも言わせてもらうが、三源施設とは、その世界に生きる全生物を管理するための、いわばスーパーコンピュータ。こんな言い方しても、現実世界の(リアル・ピープル)には伝わりづらいだろうがね」

益々混乱するジョン。

「でもなぜ、デール博士は俺だけをこの逆説世界へ...?」

それに追い打ちを掛けるかのように、素早くこの人物は切り込んだ!

「言っただろう? 三源施設は『神に臨めし資格』を持つ者のみが施設の立ち入りを許可される。そして、デールは君のよく知る神の刻印を持っている。即ち、君は利用されたんだ。それ以前に、他の二名は魔宝を持っていなかったから、空間転移の声も掛からなかったんだろうがな」

「魔宝?」

どこかで聞いたことのある、でもそれが何か思い出せないジョン。

「どこまで君は無知なんだ? 神器の事さ。第二の黎明にて神々の遺した魔宝の事だ。最も、君が誰に生命の霊玉を授かったかは分からぬが」

要するに、現実世界でクリスに貰った霊玉は親からではなく誰かが意図的に渡すように命じられていて、デールはその霊玉を持っていることを知りながら、あえて何も言わずにジョンをこの逆説世界へと送り込んでいた。すべては仕組まれていた。

ジョンは未だ嘗て無いほどの絶望感と裏切りの虚報に、言葉もなかった。

神様には生きていることすら否定され、自分の生みの親には今の今まで嘘をつかれ、挙句には共に旅した仲間や幼馴染にまで...、何を信じていいかわからないといったところだ。

そして、自分なりに冷静になった結果、ジョンはその男に問うた。

「俺はどうすればいい?」

路頭に迷う雛を宥めるかのように、その男は助言した。

「言うまでもない。お前は黒鷲の刻印を持っている。虚無神に選ばれし者だ。即ち、虚無神はお前を裏切らない!」

その助言は、さも弱々しいジョンに考えを植え付けているかのようにも捉えられるが、ジョンにはその裏の声すらまともに聞こえず、ただ答えだけを望んでいた。それがたとえどんなに見え透いた答えだとしても...。

「それで俺はどうしたら...」

ジョンの瞳は、もはや人としての輝きを失っていた。

「現実世界の人間を一人残らず殺せ。虚無神はそれが望みだ。さすれば、時空間魔法でお前を幼き頃に戻し、この人生すらやり直させてくれるだろう」

「その三次元の環に入れば自動的にリアルワールドに飛ぶ。最後に言っとくが、虚無神は数ある神々の中でも異端な神として扱われていてな。それに選ばれしお前は、元来全人類の敵でもあったということだ」

そして思い起こされる、過去のフラッシュバック...

貴様の様な不逞な輩を招き入れる程我がセレモアント家の敷居は低くない!

ズィールの人を見下す蔑視

アタシが天使なら、アンタは悪魔よ...

ジーナの心に潜在する絶望的感情

分かった。殺せばいいんだな?

アルヴェスの躊躇うことなき殺意

ジョン、今から――なんだコイツ...うわぁ、バ、バケモンだぁ!

あの日、共に遊んでいたはずの、友の...

ちょっと待てよ?

親父はマルク神の付き人じゃないのか?

それすらも嘘だったのか...、はは、アハハハハハハハハ...

その瞬間、ジョンの中の正義は確実に崩壊し、疑心暗鬼を通り越し、ジョンは遂に奈落の闇に堕ちた。

機を図ったかのごとく

「今より現実(リアル)世界(ワールド)へ転生させる。いいな? その刻印の基、いつ何時も虚無神はお前の傍に居られるのだぞ?」

更に誘惑の言葉を投げかけるその男。

「...」

ジョンはもう、自ら語る言葉すら信じられないような心理状況だった。

正確には、語った所で誰に理解されるわけでもなし、それならいっその事...、そんな感じだ。

「では前へ...」

生命の霊玉を包んでいた眩い光がジョンを包み、姿が消えるとその光はどす黒く変化していった。

「フッ...、単純な奴で助かったよ」

その男の袖には黒鷲の刻印が刻まれていて、見え辛いが微かに『D・C・W』と刻まれていた。


そして、現実世界...。

「おぉ、帰って来たか!」

デールは誰よりも喜んでいたかのように思えたが、それ以上に喜んでいたのは言うまでもなく、「おかえり! 逆説世界はどうだった?」と、顔を下から覗き伺うように見せるジーナだった。

「...」

あの男の言葉がジョンの耳にしがみついて離れない。

「離れろ」

ジョンの殺気を誰より早く感じ取ったアルヴェスは二人を彼から遠ざけた。

「分かってるじゃないか」

先程から言うに言われぬ不気味な微笑を浮かべていたジョンは、もはやこの世界の常識に於いて正気の沙汰じゃなかった。

「何のつもりだ」

アルヴェスがそう発言したのは、ジョンがいつの間にかナイフを後ろにいた研究員に向けていたからだった。

「向こうでさ、頭を冷やしてきたんだよ? 生易しい生き方をしていた、自分の不甲斐ない頭を...ね!」

最後の一文字と共に、その研究員の頭は吹き飛んだ。

その惨さとジョンの変貌が見るに堪えないジーナは、遂に腰を抜かした。

どうしても信じられないのも仕方ない。

つい五分程前まで一緒に笑い合いながら旅していた、あの生まれつき天然野郎のジョンが、今や冷酷無慈悲、残虐な人間と化したのは一体なぜなのか?

ジーナが驚くのも無理は無い。

「ジーナよ、説明しておらんかったワシの所為じゃ、申し訳ない。逆説世界は誰に邪魔されることなく虚無神のみが司ることの許されている世界なので、四神によって時間軸の基盤が歪められておる。その為、向こうの一年はこっちの一分に該当するのじゃ」

そんなことジーナにとっては、どうでもよかった。

何がジョンをここまで変えたのか、彼女が考えているのはただそれだけだった。

「俺がレイト、メノラ、他にも刻印を持つ人間の手先になど、誰が悦んで手を貸すか...」

「ねぇ、何があったの!」

そしてジーナは我慢しきれず、ジョンの側へ駆け寄った。

「だから、そいつに近寄るんじゃない!」

しかし、一呼吸遅かった。

ジーナはジョンの手にかかり、胸を切り刻まれた。その切り刻んでいる間に、ジョンは

「幸せだろう? 嬉しいだろう? もっと傷めつけて欲しいんだろ!?」

この世界でそれを表現するなら、ドSというほかないだろう。

恐らく、ジョンの中に眠っていた潜在的欲求が向こうの世界で、ネジが外れたように爆発したのだろう。

霧割裂火(ムササビ)!」

アルヴェスはその部屋にいるジーナ、デール、そしてたまたまそこに居あわせていたデールの孫アーシアを連れて、三km程離れた小屋へ瞬時に抜けだした。


そして、たちまちその青年は独りになった...。

御拝読有難うございました。

ついに男主人公終了のお知らせですねw

もう、昔の目的は跡形もなく消えました(;´∀`)

全部神様が悪いんです、そうなんです! ←関係ない

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