第四章 新たなる道標
どうも、天義です。
連続で投稿してると、頭痛くなりますねw
てか、もう本旨がかけ離れていった内容となっていて、この後の展開を載せるのが少しばかり恥ずかしかったりします。
それでも載せちゃいまする!
ジョンは正直いうと、先程の話を聞いていた。
すべてではないがほんの少し、それも最も聞いては欲しくない所を、だ。
いつも以上に真剣な眼差しで地面に目を向けていると、ジーナが出てきたので心を無理矢理に一変させた。
本当は苦しいはずなのに...。
「よぉ、話は終わったのか?」
なぜか躊躇いつつも
「う、うん」
と、曖昧な返事をしてしまうジーナ。
話したことがまだ抜け切っては、いないのだろう。
「それでね、私たち相談して決めたんだけど、やっぱりカルチャナに行くことにした」
その発言が元気そうで、ジョンにとっては何よりだった。
「そっかぁ。確か、フィフスカルチャナだったよな?」
天井を見つめて確かめるジョン。
「うん。それで、ある人にもついて来てもらうことになったんだ」
それこそ、至高の笑顔と言わんばかりのジーナ。
それをどう受け取ればいいのか、そして事態を把握できていないジョンは
「え?」
という他なかった。
「とりあえずさっきの場所に戻ろう?」
と催促するが、やはりそれが誰のことなのか未だに気付けないジョン。
このときのジョンには、やはりまだアルヴェスが強面でお堅い人というレッテルでしか見ることができないのだから、仕方ないと言われれば仕方ない。
そして、先程の地下の重要書籍閲覧室。
アルヴェスはやはりジョンを鋭く見たが、別に睨んでいるようではない。
それでもやはり被害妄想もあってか、さっきのままなんだなと思っているジョン。
と、その時
「これから、一緒に旅をすることになるんだ。くれぐれも世話を焼かせるんじゃないぞ」
そう言ったのはアルヴェス。
しかもジョン目掛けて。
ジョンは覇気にやられたのか、はたまた余りにも想定外の答えが返ってきたせいか、拍子抜けした顔で
「は、はい」
と、管から空気が漏れるような返事をした。
その様が少し可笑しかったのか、ジーナとエルノアはクスッと微笑した。
「と、とりあえずフィフスカルチャナへ行くんだよね?」
と、多少焦りつつも確認をとるジョン。
何に焦っているかは皆さんのご想像にお任せしよう。
「正式には全てのカルチャナを訪問するつもりよ」
と言い張るジーナ。
「でも、アルヴェスさんがこの家を出て大丈夫なんですか?」
「俺を誰だと思っている! もう手は打ってある」
なんか、ジーナの時と態度が180度違うのは気のせいだろうか。
うん、気のせいだ。
そう言い聞かせているのはジョンだった。
明らかに周囲も気づいているというに。
「では、家を出ましょうか」
それまでの覇気を優しく緩和したのはエルノアだった。
「はい」
でもどこか、最初とは違うメンバーの面持ちに、少し嬉しさと安心感を抱くジョンだった。
同じ屋敷の中なのに、一階と地下でこんなにも吸う空気が違うものなのかと、ジョンやジーナはそう思えてならなかった。
それがただ、雰囲気の問題だけだったのかというと、そうでもない気がしたのだ。
なぜならそこに、メイドだけならぬエルノアの親たちが帰ってきていたからである。
「父上!」「父さん!」
エルノアとアルヴェスは二人で声を揃えて驚いた表情を浮かべ、叫んだ。
母親の方は、どこかお淑やかで優しさそのものといった表情と気品に満ち溢れた品格をしているが、父親の方はというとどこか冷酷そうな下目づかいで、人を、人として見ていないような、恐ろしそうな顔つきだった。
そして隻眼をした父親は
「そいつらは、どこから湧いて出てきた?」
相応の声色で、やはり見下した表情でジョンとジーナを見ていた。
「彼らは私が呼んだ客人です。無断で入れてしまいました事、どうかお許しください」
エルノアは必死で頭を下げていた。
アルヴェスもまた然り。
その場の対応に、ジョンとジーナは同じように頭を垂れているだけだった。
何せ他に、どうすることも出来そうになかったからである。
「よろしいのですよ、二人とも」
そう言ったのは母親である。が、
「許されぬ」
と厳しく結論を下したのは父親である。
「貴方、よろしいではありませんか。客人ですし、何よりこの子たちがここまで頭を下げているのに――」
「――客人だろうと何だろうと、この家の敷居を跨ぐとならば家訓の一つも守れないようなら、そいつは侵入者、否虫にも劣る」
一言ひとことが、まるでドライアイスのように冷たかった。
それに、アルヴェスがちっぽけに思える程の覇気を持っているので、正直彼と目を合わせることさえ難しい位である。
「明日は禮式ですし、エルノアだってその間、無我を保たねばなりません。この場はどうか許してあげられないでしょうか?」
母親はなぜこんなにも優しいのに父親はそれを許さないのか、そして母親はこんな父親のどこを愛そうと思って結婚しようと思ったのか。
それが疑問に思えてならないジーナだった。
「...勝手にしろ...。俺は、自室へ行く...」
許してくれたのか、それとも付き合い切れずに呆れて帰ったのか、見解は後者と見えたがそれでもその場を乗り切れて少し嬉しい一同だった。
「どうも初めまして。私はエルノアとアルヴェスの母、レティシア・F・セレモアントと申します」
ジョンもジーナもまだ何も言ってないのに、レティシアは自ら名を名乗った。
「あ、私はジーナ・ラシュフォードです。で、こっちは」
「ジョ、ジョン・ウォールドです」
と慌てふためいて紹介を急ぐ二人。
その様子が微笑ましかったのか、レティシアはクスッと笑って見せた。
その表情は、本当にエルノアと瓜二つと言っていいぐらい、ふんわりしていた。
「夫のズィール・L・セレモアントがとんだご迷惑をおかけして申し訳ありません」
エルノアのお母さんは相当、物腰が低いんだなと実感したジーナは、
「そんな事ありません! アタシたちこそ、無断でこの家に入り込んでしまって申し訳ありません」
と謝り合いをしていた。
そして再び微笑するレティシア。
「貴女もさぞかし、心が清らかなのでしょうね」
ジーナは
「そんな...」
と少し照れては、なぜかジョンの背中を大きくバシッと叩いた。
流れに乗じてジョンも
「痛ッ!」
と叫んだ。
そんなやり取りの中、アルヴェスは切り出した。
「母上、明日の禮式なのですが、本来俺が行うべき昇禮の儀をロベルトに代わりとして任せても宜しいでしょうか?」
突然、そんな話を持ち出されて、ええ、いいですよという親はいないだろう。
レティシアは驚いた表情で質問を投げかけた。
「どうしてですか? それにロベルトには遠方へ派遣させていますし...」
そこに介入したのはエルノアだった。
「客間へ赴きましょう。永くなりますので、そこでお話しいたします」
1階でボサーッと立って話をするのも何かと思い、エルノアはジョンとジーナを客間へと案内した。
部屋に入った瞬間、雅やかな装飾が二人を包んだ。
ジーナは少し、めまいを起こしそうで、くらっとした。
それにしても、どこに行ってもほとんど動じないジョンには、多少感心させられると心底思った彼女だった。
「それではお聞かせ願いましょうか」
そうレティシアが聞くと、一同は事の一部始終を鮮明に話してみせた。
ジョンに話していないことを除く全てを。
一通り話を終えると、レティシアは大きくため息をついたように一呼吸した。
「つまり、息子と同じ紋章がジョンさんにもあるので、それをどうにか治す方法を探しにカルチャナへ向かうと、そう仰いたいのですね?」
レティシアは大まかに要約した。
「はい。ただ先に話した通り、やはりロベルトさんの協力が必要不可欠でありますので...」
すると、レティシアは目をつむり、椅子に大きく腰掛けた。
「いいでしょう、私からロベルトには連絡をとっておきます」
一同、安堵に浸っていた。
そんなさなか、レティシアが思いもよらないほど鋭い目つきでジョンとジーナを見た。
「ただし、一つ条件があります」
交渉に条件は付き物とはよくいうが、優しそうなレティシアに限ってそんなものは、ないだろうと安心しきっていたジョンたちは
「えっ?」
と、表情をうやむやにしていた。
「アルヴェス、この場で自分たちが何者であるかを自白しなさい。その身をこの方たちの護衛として示すという事は、追追その正体にも気付かれることでしょうに」
ジョンには全く何のことだかサッパリといった感じだった。
しかし、この時ジーナは薄々どころか、深く感づいていた。
彼が何者であるかなど。
「俺は...、俺は殺し屋なんだ」
心臓が今にも破裂しそうなジーナ。
「え、どういう事?」
と拍子抜けしているジョン。
相反している感情とは、まさにこのことを言うのだろうか。
「セレモアント家に生まれた男性は、必ず殺し屋を生業として生きていかねばならない。古くからある、家の言い伝えのようなものです」
次いで、エルノアが説明した。
「でも、アルヴェスは数ある殺し屋の中でも秀逸な人間です。無闇に人を襲うことはまずないと言っていいです、安心して下さい」
それはそうだろうと、必死に自分を安心させようとするジョン。
ただやはり、ジーナには先のこともあり、どこか不安が募って仕方がなかった。
「とにかく、その事をジョンさんとジーナさん二人には肝に銘じて頂きたいです。では、これから私はロベルトに連絡をとりますので、しばしここでお待ちください」
そして、少し重くなった空気を抱えつつ、ジーナはアルヴェスに聞いた。
「殺し屋としての修行は何歳から?」
すると、どこから持ってきたのか、見たこともない鎧のようなスーツを着て、アルヴェスは何気なく答えた。
「2歳。正式には、生後まもなく殺し屋として身体に薬を投与され、口が聞けるようになってから修行を始めさせられた」
ジーナは怯えているのか、アルヴェスを見て身体の震えを止める事ができなかった。
それをアルヴェスが見過ごすことはなかった。
するとジョンが、
「寒いのか?」
と、ジーナに気を配った。
「う、ううん、何でもないの」
もちろん、その反応を不思議に思ったのはアルヴェスだった。
その時、エルノアは少しだけ、誰にも見られないように何故か物哀し気な表情をした。
「お待たせして申し訳ありません、たった今、連絡が取れましたので、いつここを出られても大丈夫です。」
「で、どこで会えばいいんでしょう?」
ジョンが聞いた。
「街道沿いに進んでいくとドラグナース教安会という、聖なる神レイトを信仰する教会が存在します。そこには宿などの設備も整っており、その宿で落ち合おうとのことです」
「わかりました、ではそろそろ私たちは屋敷を出ることにします」
先程からジーナの様子は、手に取るように分り易い言動だった。
純粋に早く出たくて仕方ないのか、はたまたセレモアント邸にいることに至極恐怖を感じるのか、その様子は地下にいた時の彼女とは太極で、陰と陽の如く相反していた。
しかしジョンには、その様子の正体は理解できなかった。
それはそうだろう。
この街に来てすぐあった出来事の一部の記憶が消えて無くなっているのだから。
ジーナはそんなジョンが、どこか羨ましいような気がした。
「それでは行こうか?」
アルヴェスは、ジーナの反応に答えるかのように、潔く家を出ようとした。
「さよなら、母さん。さよなら、姉さん...」
家族の別れは、やはりこうであるべきだと、しみじみ思うジョンだった。
さて、これから長い旅路になりそうだと考える一行。
そんな中、やはりジーナは、ジョンがカルチャナで自分の正体を知るのではないかということが、心配で仕方がなかった。
レスペルトを出て街道沿いに数時間歩くと、二手に別れた岐路の中央で老婆が座っていた。
その老婆は顔を伏せたままで、どうにもその顔を上げようとする気配がなかった。
そこでジーナは
「大丈夫ですか?」
と声をかけたが、返事を返す気配も全くない。
そのまま通りすぎようとした時、老婆とジョンがすれ違った瞬間にその老婆は
「第一に、漆黒き鷲は、深紅き鶴を殺める」
と囁いた。
その言葉の意味も、老婆の意図も分からないので、一行は失礼ながらも無視をした。
左方5thカルチャナ 右方3rdカルチャナ 後方レスペルトの町
その時、ジョンのペンダントが仄かに輝いたのが目にとれた。
そしてジョンは後ろを振り返るが、そこには既に老婆の影も形もなかった。
そこから、また少し歩いたところに国境があった。
そこに佇む男性は、ハッキリとした声で堂々と
「検書機で身分を証明せよ!」
と一言。ジーナは
「え?」
と顔を傾け、ジョンも同時に
「は?」
と目をぱちくりさせていたが、アルヴェスが急いで二人をその機械に寄せ付け、テーブルにあるペンを手渡した。
「国境、通った事ないのか?」
大変、アルヴェスは焦っていた。
どこか恥ずかしかったのだろう。
「仕方ないじゃない」
ジーナの一言に、はぁー、とアルヴェスのため息。
その表情から、
『先が思いやられそうだ』
とでも、思っていたのだろう。
「まず、検書機へ書く紙に自筆で姓名を書くんだ。もちろん、この検書機に偽名は通用しないからな」
それを聞くとジーナは『ジーナ・ラシュフォード』、ジョンは『ジョン・ウォールド』、アルヴェスは『アルヴェス・レイヴン・セレモアント』と明記し、それぞれアルヴェスから順に検書機へと紙を箱へ投げ入れた。
ピコーンッ!
「アルヴェス・レイヴン・セレモアント、通ってよし!」
検査官の声と共にアルヴェスは一足先に国境の向こうへと足を運んだ。
次いでジーナ。
ピピーッ!
ジーナが入ろうとしたその時、警報機が音を鳴らした。
「やっぱり、村で暮らしてた時の名前じゃダメか」
そういうと、ジーナは即座に書き直し、再び門の前に立った。
ピーッ!
「クリティネス・ジーネラ・ラシュフォード、通ってよし!」
ジョンは、初めてその名前を聞いたのか、「へぇ~」っと、頷いていた。
最後はジョンだった。
「じゃぁやっぱり、俺も通り名じゃダメか」
そういうと、即座にテーブルに戻り最初に書いた名前を訂正して、改めて書いた札を氏名箱に入れた。
ピーッ!
「ジョーネスド・クォールト・ウィリウス、通ってよし!」
ジョンたちはさっさと国境を突破した。
当分歩いたところで、ジーナが聞いてきた。
「ねぇジョン、アタシは村で呼びやすいようにと名前変えてるけど、何でアンタは一人なのに普段から本名偽装してるの?」
するとジョンは俯いて足を止めた。
「死ぬ前の親父に言われてたんだ。人にはなるべく伏せるように、って」
そして前を向いたジョンは
「別にイイじゃん、今はジョンなんだし!」
そういって足を進めた。
そして漸く遠方にドラグナース教安会とやらが見えるところまで来ていた。
「やっと休めるぞ!!」
そういって子供のようにはしゃいでいたのは、言うまでもなくジョンだった。
一行は、それから自然と急ぎ足で教安会へと向かった。
ドラグナース教安会――
そこは、どんな旅人をも寄せ付ける、まるで来る者全ての疲れを癒す教会とも言えた。
教会の中は壮麗としており、また神々しい像がコチラに向けて祈るように目を瞑っていた。
そことは別にある宿には、ほんわかとした雰囲気が漂う、癒しの空間があった。
教安会とは、教会に旅人のための宿がある、教会連盟と宿場が互いに協同して作られた協会のことである。
教会の横にある宿泊施設に到着した時のことだった。
「ここら辺でロベルトを待とう。それまで各自、解散にしよう」
切り出したのはアルヴェスだった。
「じゃあ俺は街道で、先にロベルトさんが着てないか見てくるよ」
そういうと、ジョンはそそくさと教安会を出た。
ジーナは、何故かアルヴェスが気になる様子で、黙ったままその場を離れなかった。
「お前は行かないのか?」
「え、ええ、彼なら多分一人で大丈夫だろうし...」
「そうか...」
堂々たる体躯の人間の横にいるのは、なかなかプレッシャーがあるもので、それでもジーナは勇気じみたものを振り絞って聞いてみた。
「私たちが会う、ロベルトさんも、その...、人殺しを生業にされておられるのですか?」
"人殺し"の部分だけ、極力声を潜めて質問した。
「あぁ、昔はアイツも暗殺者ではあった。しかし、今はもう違う」
「...」
そこを深く聞くのは、さすがに気が引けたので、ジーナは敢えて黙した。
「アルヴェスさんって暗殺家なのに、体格がいいですよね。目立ったりしないんですか?」
「レイヴン流の殺法の一つで、自らの影を消すことから人を殺めることは始まるとある。体格などは実際在って無いようなものだ」
「そうですか...」
ジーナの質問に、淡々と帰ってくるアルヴェスの受け答え。
そのさまは、オウム返しとでも言おうか。
アルヴェスは生業の性質上、感情というものがあまり感じ取れなかったせいもあって、ジーナは話を繋げていくことが難しかった。
一方、ジョンは――。
「この教会って、レイトって神様の教会なんだよなぁ。いやぁそれにしてもデケェ...」
街道に出る道中、後ろ歩きになってまだ未だに、教安会全体を見渡していたジョン。
その時、凄まじい風圧を感じたかと思うと、目の前に明らかに年老いた男性が立っていた。
「歩くときは、ちゃんと前を向いて歩かんといけんよ?」
その男は目を黒い布で覆い、微笑んだ口元でそう呟いた。
彼はそれだけ言い残すと、教安会の中へと入っていった。
「は、はい」
ジョンは先程の男が何者なのか、疑問で仕方なかった。
街道には、不気味なほど人っ子ひとり居ないことを確認すると、再び教安会の宿泊施設に戻った。
宿泊施設に戻ると、ジーナが俯いていて、アルヴェスが男と仲良く話していた。
「ジーナ、ただいま」
するとジーナは驚いた表情でジョンの顔を見た。
「ジョン、アナタ顔に切り傷があるわよ」
そういうと持ってた手持ち鞄から、ティッシュを取り出し、ポンポンと軽く叩くように血を拭った。
『いつの間に傷なんか、見当もつかない』
それがジョンの本心だった。
それよりも、アルヴェスが気楽に話している彼が気になる。
何しろその男性は、先程ジョンに話しかけてきた男性だからである。
「アルヴェス、その人は?」
ジョンが聞いた。
「あぁ、帰っていたのか。この人は俺の剣の師でタクト=S=ラディウスさんだ」
先程までは確認出来なかったが、タクトさんの腰に小剣と剣を携えていたのが見えた。
「そうなんですか、って言うか、アルヴェスって剣士だったんだ」
その意外性に少しギャップを感じたジョン。
「正式には黒剣士という。暗殺などの裏稼業を生業にする者の剣士、それを色に例え黒色の剣士、即ち黒剣士だ。中でもこのタクト師は、この稼業でも名を馳せた有名で偉大な人なのだ」
今更ながら、ジョンとジーナはこの人物に、何か底知れぬオーラを感じ取れた。
「人だった、が正解じゃ。そんな昔の話、今やどうでもいいんじゃ」
「私、知ってますよ。村の図書館で読んだことがあります。黒剣士界の影の英雄タクトさんのこと」
そこに意外な人物、ジーナまで介入してきた。
「先の戦役で大活躍したロバート・エルセウスを影で支えていたのが、タクトさんだったと、その本には載っていました。私、もっとタクトさんのこと知りたいです!」
ジーナは興味津々でタクトを見つめていた。
タクト老は妥協したのか、窓側へ歩いて行き、当時のことを話してくれた。
「当時、准将だったエルセウスが、戦役中のある日、我を失ったように暴走したことがあるんじゃよ。敵味方顧みず誰彼殺しまくって、その時ワシは見たんじゃ。黒き鷲の紋章が、額に張り付いているのがな」
一同は総じて思った。
それはツェッカの刻印だと。
「ワシはそれを消そうと、白の塗装でその紋章を消したんじゃ。すると、黒鷲が白い鷺の紋章へと変わったんじゃ。そしたら、エルセウスが殺した味方兵が、続々と立ち上がっていった。そのお陰で、エルビオラ戦役では、ワシたちが勝つことが出来た」
そんな時代から、ツェッカやレイトと関係があったのかと、タクト以外の皆は痛感した。
「それで、お主達は何故このドラグナース教安会に居るのじゃ?」
「それは...」
事のいきさつをジョン達は話した。
「なんじゃ、ロベルトを待っておったのか」
「あやつなら、もうすでにここに着いておるぞ」
何故その事を知っているのか、ジョンは驚いて、ジーナも驚いて、アルヴェスが聞いた。
「なぜ、そのようなことを?」
「ロッテンロー大橋で、たまたま会ったんじゃよ。それで、二人共教安会に用があったので、一緒に来たということじゃ」
そこでジョンが空気の読めない質問をした。
「タクトさんって、盲目なんですか?」
「ジョン!」
ジーナは、余りにもKYすぎるジョンの発言に少し憤りを感じた。
「いや、いいんじゃ。目は見えておる。いつも精神を集中するため、外さずつけとるだけじゃ」
「そうなんですか」
投げかけた質問が、失礼な質問にならなくてよかったとおもい、そっと胸をなでおろしたジョンとジーナ。
心配するなら最初からそんな質問するなよといいたいが、彼はどうしても気になっていたようだ。
「それで、ロベルトはどこに?」
アルヴェスがそう聞き出そうとした瞬間だった。
「兄さん!」
施設2階からコチラのロビーめがけて手を振っている人物が見えた。しかし、どうやら左腕がないようだった...。
その青年が降りてくると、自己紹介を始めた。
「こちらが、母さんの言っていた人達かい?」
「そうだ」
「はじめまして。ジョン・ウォールドと言います」
ジョンは明るく握手を求め、彼はそれに答えた。
「は、はじめまして、ジ、ジーナ・ラ、ラシュフォードと、も、申します...」
ジーナはなぜか、緊張して顔が赤面症のように真っ赤だった。
そして流石に握手をしないかに見えたが、彼から握手を求めてきたので、それにほんの一瞬答えたが、即座に手を離して元の場所に戻った。
「皆さん、はじめまして。ロベルト・L・セレモアントと申します。以後、お見知りおきを」
物腰の低い姿勢をみせたロベルト。
なぜかジョンの後ろへ顔を隠して離れようとしないジーナ。
それもそのはず、このロベルト、この世界随一の美男子とも呼ばれているのだから仕方ない。言わば、国民的アイドルといっても、過言ではないだろう。
「では、ワシはこの辺で失礼するかのう」
というと、みんなの間を通って教会の方へと向かうタクト。
「迷いそうだったのを、どうもありがとう御座いました!」
そう、去りゆくタクトに告げたロベルト。
「じゃあ、今後のセレモアント家については僕にお任せください」
と、またもロベルト。
「後は5thカルチャナで三つの世界のことを知り、3rdカルチャナで刻印を持つ者の儀式について調べるわけか...」
アルヴェスは今後のことについて少し纏めてみた。
5thカルチャナへの道のりは、そう遠くない。
地図から確認したら、ここからレスペルトの街までの距離と同じ位なのだからである。
「今日は宿に泊まろう」
そう切り出したのはジョン。
「ロベルトさんも、今日はもう遅いし、一緒に泊まられてはどうですか?」
ジーナが照れながら発言。
「いや、僕は急いで帰ることにするよ。まもなく、レスペルトの禮祭が控えているからね」
「そうですか...」
肩を落とすジーナ。
何と分かりやすいことだろうと思う程、ジーナは落胆していた。
その後、宿にチェックインし、一行はロベルトと別れた。
その時の、ジーナの切ない表情といったらなかったのは、言うまでもないだろう。
各々、個室に入って休息をとろうとした時のことだった。
「何者だ」
アルヴェスの部屋だ。
アルヴェスはベッドに座り、顔を伏せていた。
「分かっちゃった~?」
軽い口調のその人物は、アルヴェスの顔を舐めるように覗かせた。
「ベコット様からの命により、次の奴隷を~、転生の儀で~、似非なる神に変えちゃうんだよねぇ~」
男は舐め切った態度でそう言うと、異空間を作り出し、アルヴェスをおどろおどろしい世界へ誘おうとした。
「断る...と言ったら?」
勿論、否定するつもりのアルヴェス。
「殺しちゃ~う♪」
それはもう、心から悦ばしい笑顔でいつのまにか手に持っているナイフで、殺人予告をしてみせた男。
「改めて問う、何者だ」
素性の知らぬ男を警戒し続けるアルヴェス。
「メノラ=ベコット神、第四天族護衛長、リルカ=エルーシドだよ~ん」
ふざけた態度のリルカ。
「神様の護衛が俺に神様になれとは、滑稽極まりないな」
ようやく、塞いでいたアルヴェスの口が、笑みという形で開いた。
「かっち~ん♪ おいらの発言バカにするとは、いい度胸じゃん?」
突如、アルヴェスとリルカを含める空間を切り離し、別の空間を生み出した。
「丁度いいや、お前が似非の戦乱神になる器があるか、試させてもらうじゃ~ん?」
すると、操り人形のような、人間のような、何とも説明しがたいモノが出現した。
「これ、一掃してみなよ~」
襲い来る、マリオネット。
その時、アルヴェスの身体が消えた。
そして消えたかと思うと、偶像が空高く舞い一瞬のうちにボロボロになり、地に落ちる頃には砕け散っていた。
「一閃流、『青天』...」
ボソッと一言呟くと、偶像の姿は跡形もなくなった。
「予め言っておくが、俺は似非の神になどなる気はない」
「残念~。素質はあるから呼んで来いとのことだったのに」
そういうと、リルカは先程出した異空間に自ら入り、他を当たることにした。
その展開の変わりようは、絶叫マシンのように早かった。
しかし、いったい何者なのか分かる気配が微塵もない、リルカ=エルーシド。
アルヴェスに「似非の神になれ」と当然のように問うその姿は、異質極まりなかった。
そしてもう勘が鋭い方は、お気づきかもしれないが、リルカの発した『次の奴隷』という言葉。
明らかに、先日、古文書で調べたものと何かしら関連性があるものだろうと、アルヴェスは踏んだ。
翌日、ジョンは皆の声とともに目覚め、ジーナはというと、ロベルトのことが気になってかは知らないが、目が冴えていてあまり快眠できたとは言えなかった。アルヴェスはリルカの一件もあって、安心して寝入るに至らず、壁に凭れながら仮眠をとる感じでいた。
起きた順番は、アルヴェス、ジーナ、ジョンである。
「ジョン、起きろ」
「ジョン、起きて!」
眠い目をこすって嫌々目を開けるジョン。
眠いのは、誰だろうと同じだろうが、なにぶん低血圧なためか、ジョンにとっては朝起きることほど酷なことはないようだ。
「どけろ、今すぐ目を覚まさせる...」
というと、アルヴェスはジョンの額に右手を振るったかと思うと、何事もなかったかのようにそのまま右手をピンと張った。
「夢音我」
と呟くと、ジョンは数秒と経たないうちに、目をパチッと覚ました。
「アルヴェス、あなた何をしたの?」
「少しばかり、こいつの夢を弄ったまでだ」
と、あっさり答えるが、夢をいじるなんてどう考えても不可能だろうと思考錯誤している内に、三人は朝食をとるべく、食堂へと向かった。
なんと、悦ばしいことに全品バイキング制で8000ラザルドと高値だったが、やはり貴族は物持ちが違う。アルヴェスは三人分、合計24000ラザルドを出してくれた。
「スゲェ...、こんな料理初めて見たぜ...」
「どの品にも雅な装飾が施されていて、素晴らしいわ...」
田舎者丸出しの二人は、心から料理の品目に酔いしれていた。
「あまり料理の方ばかり見るな...。情けない、気詰まりだ」
我に返ると二人は、縮こまり、自分の行いを恥じらいだ。
各々が好きな料理を手に取り、食堂の窓際に腰を落ち着かせると、アルヴェスは早朝にあった出来事を深々と話した。
「戦乱神の護衛長が!?」
とジョンが、『レイト』を奉る教安会で『メノラ』の話を持ち出した。
勿論、周囲はどよめきを隠せなかった。
「静かに! 場所を考えろ!」
「でもなんで俺じゃなくて、アルヴェスなんだろう...」
などと、山豚のソテーをくちゃくちゃと言わせ、正に行儀の悪い様を見せながら発言した。
だが、言われてみればそうだ。
黒鷲の刻印も持ち、なおかつ、かつて白鷺の表象も持ち合わしていたジョン。
それでも、メノラはアルヴェスを選んだ。
その理由は?
一行は、その事について深く考えた。
「逆に、その白鷺の表象を持っていたからじゃないかな? だって、その白鷺の表象って聖なる紋章なんでしょ? でなきゃ、十年前にジョンを救ったり、前みたいに私をレイトの所へ連れてったりしないよ!」
モグモグと料理ばかり食べているジョン。
主に食べているのは、肉類。
「野菜も食べなさいよ」
と、ジーナの忠告を受けるジョン。
そのすぐ後に、彼女がシーザーフルーツサラダを山テンコにして盛ってきたなどとは、言いたくもない。
「今考えられる予想は、メノラ神は古文書曰く奴隷を使った何かを企てていて、それを護衛長であるリルカと名乗る男に任せているということだ。そして、白鷺の紋章に触れることを恐れたメノラ神は紅い鶴の紋章しか持たない俺を狙った、こういう事だな」
二人の軽い雰囲気をよそに、真剣な眼差しで会話を進めるアルヴェス。
「そのリルカって人の事も気になるよね」
軽々しく乗ってくるジョン。
謎は深まるばかり、といったところだろうか。
「こうしてても埒があかない、とにかくまずは5thカルチャナへ向かおう」
うやむやになった空気を絶つべく、先ほどのサラダを、いまだに口に含んでいたジョンが啖呵を切った。
一同、朝食が済むと、支度を済ましてチェックアウトの手続きを済ませ、教安会を出た。
そして、レスペルト方面へ引き返し、途中の曲がり角から5thカルチャナ方面へと足を運んだ。なぜか、カルチャナ方面への人通りが多いような気がしたが、どうやら気のせいでもないようだ。
「なにかあるのかな? 聞いてみよう」
「すみません」とジョンが話すと、その人と目があった瞬間に空の色が暗闇と化し、アルヴェスの赤鶴の刻印が紅に光り、その人は、自我を失った。
「ぐああぁぁぁ!?」
何と驚くべきことに、その人は怪物と化したのだ。
通行人は驚き、急いでその場を去った。
「戦乱神の使いがこの近くに...?」
と、アルヴェス。
その洞察力の鋭さは、さすが暗殺家といえよう。
「よく分かったわね」
そういうと、現れたのはリルカではなく、また別の女性。
露出が高く、人目を引きかねない出で立ちだった。声質も、大人の女性といった感じだ。この時、一同は思った。メノラの付き人に碌なやつは居ないと。
「先はリルカがご迷惑を」
「貴様は何者だ?」
アルヴェスが質問した。
「あらぁ、申し遅れたわね。メノラ・ベコット神直近(第一)護衛長、ミネルヴァ=ランガートよ、以後宜しく♪」
この女性を、漢字で表すとしたら『妖艶』だ。
何をしでかすか分からないとは、まさにこの言葉を体現する人物のことだろう。
常に微笑むその姿は、異様としか思えない。
「それで、その人をどうするつもりなんだ?」
ジョンは勇気を振り絞って喋った。
「え、この駒のこと? さぁ、どうして欲しい?」
大人しく、その人物を元に戻してはくれなさそうだ。
「元に戻してあげなさいよ! 苦しそうじゃない」
絶対にそうしないであろうことを、ジーナはミネルヴァに口走った。
「嫌よ。それと私、自分以外の女って嫌いなのよね」
というと、急にジーナに向けて眼を飛ばした。
ただ眼を飛ばしたわけではなく、眼の色を赤、それも朱色に染めて睨んだのだ。
すると、ジーナは石化した。
「お前...何をした! ジーナを治せ!」
ジョンはその急な悲劇的展開に、悲しむどころか激怒した。
「あらぁ~♪ あなたの怒った顔って、芸術的でス・テ・キ?」
「何ぃ!?」
ジョンの怒りは憤りへと進化した。
「待て、ジョン。こいつは俺に任せろ...」
そう言うと、アルヴェスはゆっくりミネルヴァに近づいた。
「別に殺り合う気なんて毛頭ないのよ? ただお願いを聞いて欲しいだけ」
「お願い...だと」
ジョンのイライラは既にMAXになり、アルヴェスの警戒心は次第に膨らむばかりだった。
「そう、お・ね・が・い♪ メノラ様の刻印を持つあなた、アルヴェスっていうのよね? アルヴェスさん、この憎き虚無神の刻印を持つジョンくんを殺してほしいの」
殺すという言葉がミネルヴァから出た瞬間、石化したジーナを除く二人はミネルヴァを鋭い眼光で敵視した。
「理由はなんだ?」
静かに質問するアルヴェス。
「メノラ様にとって、ツェッカの存在が邪魔で仕方ないのよねぇ~♪ だから、奴隷であるアンタが、危険性の高いコイツを殺してほしいってワケ。お分かり頂けたかしら?」
ミネルヴァの確認を取る姿はさも、ご機嫌そのものだった。更に言うと、ミネルヴァを見ていてこの女が何に対して可笑しいのか、二人には分からなかった。
「あ、そうそう。もちろん、断るなんて愚かしい行為をしたら、この二つの駒が、未来永劫このままになるということをお忘れなく~」
アルヴェスは何やらジョンにアイコンタクトをした。
いかんせん、ジョンにはその真意が全く届いてなかったようだが。
そのすぐ後、
「分かった。殺せばいいんだな?」
と、何を血迷ったか恐ろしい発言をするアルヴェス。
それにおののくジョン。
「お、おい」
そうジョンが後ずさりすると、アルヴェスは自分の気配を消し、霧のように消えた。すると、どこからともなく、ジョンの周囲にその霧が立ち込めてきた。
「夢吸」
霧の中から聞こえてきた声はまさにアルヴェスのものだった。
そして、ジョンの背中にアルヴェスの手が押されたかと思うと、ジョンの生気を抜き取っているではないか!?
抜き取った魂は、一つの瓶に封じ込められた。
ジョンの身体は抜け殻と化した。
「これで。いいんだろ?」
「死んではいないけど、まぁ仮死状態だから許してあげる」
すると、ミネルヴァは怪物と化した人物とジーナを、不思議な粉を使って元に戻した。
「さぁ~て、メノラ様に報告しなくちゃね~♪」
というと、素早くその身を隠した。
「あ、あれ、アタシ...」
ジーナは気がつくと、アルヴェスに抱えられていた。
「大丈夫か?」
面影がロベルトに似ていた所為もあってか、少し照れながら潔く自らの足で起立した。
「え、えぇ。あれ、ジョンどうかしたの?」
彼女が不思議に思うのも無理はないだろう。
道端で、さも不自然にも寝っ転がっているジョンの姿を見れば。
「あぁ、訳あって魂を抜かせてもらった」
その言葉を聞いた瞬間、ジーナは怒りを通り越して、めまいが起こりそうになった。
「どういうこと? ちゃんと説明してよね!」
約6分間の間、アルヴェスによる、事の顛末をジーナに解説した。
「他に方法はなかったの」
「あったら、此方も手段を変えていた。それに、まだジョンは死んではいない」
それを聞いて、少し心が落ち着いたのか、ジーナは道のはずれにポツンと置いてあった石に腰を下ろした。
「で、ジョンはどうやったら生き返るの?」
腕を組んで怒りの感情を抑えるジーナ。
「生き返らせることは難しい」
彼がそう発言し、彼女の怒りは漸く憤りへと進化した。
「何ですって!?」
「だが、このままの状態で、結果的に生き返らせることは可能だ」
イマイチ、アルヴェスの言っている意味が分からなかったのか、首を傾げるジーナ。
「古文書に書いてあったのだ。三つの世界のことについてな」
あの時のどのタイミングで、しかもいつの間に見ていたのかと感服するジーナ。
そんなジーナも
「三つの世界って、カルチャナじゃないと分からないんじゃなかったの?」
と、質問。
「とにかく、あの古文書によると、仮死状態の人間は別の世界に精神転生させることができると書かれている」
「その別の世界への転生には、カルチャナが必要ということだ」
ふーん、と納得してないような流し方をした後、
「この図体のデカいヤツを抱えて歩かなきゃいけないのね」
そう考えると、先が思いやられるジーナであった。
「心配要らない。ジョンは今、心身共にもぬけの殻と化している。体重もそれ程、苦労するものではない」
そういうと、アルヴェスがジョンを担ぎ、一行は歩き出そうとした。
すると、先程の怪物化した人物がコチラに寄ってきて、
「あの、有難うございました」と一礼して、立ち去ろうとした。
その時、アルヴェスは見逃さなかった。その人物の髪に隠れかけていた額には、紅い鶴の刻印が刻まれていたのだ!
「おい! お前もメノラに関わる者なのか!?」
「は、はい? 何を仰ってるんでしょうか?」
戸惑いながらも去り際に、その人が「変な人...」と我々に呟いたのが聞こえた。
「そうか、そういう事か...」
すると、急にアルヴェスは納得した。
「どうしたの?」
ジーナは訊いた。
「すべての共通点は『天候』だ」
御拝読有難うございました。
夏の暑さをかき消す小説、いかがでしょうか?
実に涼しいでしょうw
今後もっと涼しくなるのでご期待ください笑