~序章~
はじめまして、天義と申します。
以前、「巓巍 囀聲」という、いささか痛々しい厨二病全開のハンドルネームを使い、こちらのサイトを利用していました。その際、一度だけこの作品の前日譚にあたるようなものを書かせていただいたのですが、今振り返ると恥ずかしさで悶絶するような内容でした。文章も設定も無茶苦茶で、自分でも削除したくなるほどの出来でした。
今回は、その作品を全面的にリメイクしました。当時よりは、人に読んでいただいても恥ずかしくない程度にはなったかと思います。ただし、執筆当時は学生だったこともあり、日本語力や文章構成にまだ不自由な点があるかもしれません。その点については、どうかご容赦いただければ幸いです。
なお、リメイクしたとはいえ元のワードデータをほぼそのまま流用しているため、文章の一部に不自然な表現や脚注の名残が残っていたり、設定に無理がある箇所があるかもしれません。その際は、どうかそっとしておいてください(笑)
森を抜けた先の平原で、子どもたちがいつものように遊んでいた。
そこは澄んだ空気の広がる開けた場所で、周囲には連なる山脈がそびえ立っていた。けれど、その日の空は曇天に覆われ、清々しい青空とは程遠い天気だった。
その子どもたちの輪から少し離れた場所に、一人ぼんやりと立ち尽くしている少年がいた。どことなく孤独な佇まいのその少年は、目の前の遊びに加わることもなく、空を見つめていた。
突然、天から声が降り注いだ。
「いいか。お前は生きるべきではない。死ぬべきなのだ」
恐ろしく響くその声は、曇り空から薄く射し込む光の幕の中から聞こえてきた。少年は驚いて空を仰ぎ見たが、その瞳はまだ幼く、どこか無垢だった。そして、彼は迷わず即答した。
「よく分かんない」
「そうか」
声は短く答えると、次の瞬間、少年の右手の甲に黒鷲の印が刻まれた。
「なにこれ……いやだ――うわあああああ!」
刻印から煙が立ち上り、激しい痛みが少年を襲った。煙は次第に彼を包み込み、その恐怖を一層煽り立てた。周囲の草木までも赤く染まり、炎のように燃え盛るかのようだった。
声の主はそれきり姿を消した。少年はその場に跪き、涙を流した。
「僕、何もしてないよ……何も悪いことしてないのに……神様……どうして、こんなひどいことをするの?」
灰色の煙は少年の体にまとわりつき、重くのしかかった。そして、彼は気づいた――自分の体に異変が起きていることに。
やがて、意識が遠のいていった。夕闇が迫り、彼の影は巨人のように伸びていく。そして、その瞬間、少年は巨人をも超える力を手にしていた。
「ジョン、今から――な、なんだこいつ……うわあ! バケモンだ!」
周囲で遊んでいた子どもたちは、恐怖の声を上げて一目散に逃げ去っていった。ジョン――その少年は、たちまち孤独になった。
そのとき、一人の人が現れた。
彼の周囲にはまるで光そのものが集まり、連なる山脈の向こうに広がる雲海は、裂けるようにして消え去った。その人の姿はまるで光そのものの化身のようだった。
その人物は静かに少年に近づくと、優しい光で彼の姿を元に戻した。そして、少年の苦痛を癒してくれた。
「私はマルク。もしまた私に会いたくなったら、10年後に神の畔へ来なさい」
そう告げると、マルクの光は少年を包み込み、左手の平に白鷺の印を刻んだ。不思議なことに、その印は痛みも熱も伴わず、むしろ心を温かく満たすような感覚を与えた。
「ジョン、帰ってきなさい。ごはんにするわよ」
母親の声が遠くから聞こえた。彼女の姿はまだ小さくしか見えないが、ジョンは「はーい」と返事をし、無意識のうちに右手の甲に左手の平を重ねた。
その瞬間、脳裏に声が響いた。
知っていますか?
世の中には光と闇があることを。
感じますか?
世界には心があることを。
「え……?」
その声に続けて、見たことのない光景が脳裏を駆け巡った。だが、それはあまりに速く、何が映ったのかを理解することはできなかった。ただ一つだけ分かったことがある――自分は、神に触れたのだ、と。
少年は困惑した表情のまま、母親のもとに戻った。
「どうしたの? 早く帰りましょう。今日は腕によりをかけてごちそうを作ったわ」
「わーい!」
少年は無邪気な笑顔を浮かべ、母親とともに家へ帰っていった。
彼はまだ知らなかった。これから訪れる試練と、自らが背負うことになる運命を。そして、夢のような出来事の中にも現実の恐ろしさが幾重にも重なっているということを――。
ご拝読いただき、誠にありがとうございます。
この小説は既に完結済みで、できれば一気に投稿したいと考えております。
しかしながら、このサイトを訪れるのがあまりにも久しぶりで、投稿の仕様をすっかり忘れてしまっております(汗)
少しずつ手探りで進めてまいりますので、どうか温かい目で見守っていただければ幸いです。
また、今回の投稿にあたり、2024年11月21日、序章のみChatGPTを利用して文章構成を手直ししていただきました。より多くの方に楽しんでいただける形になったかと思いますので、ぜひお楽しみください!