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「やぁやぁようこそいらっしゃいました!!」
クラッカーの音とともに男性の声が部屋に響く。
・・・ん?部屋?
「あ、あの、ここって・・・。」
目の前の男性はにっこりと、怖いくらいに微笑みながら口を開いた。
「ここは私の実験室。申し遅れました、私は高田橋。以後お見知りおきを・・・。といっても、あなたの選択によってはしばらく帰れないので、いやでも覚えるとは思いますが。」
・・・え?帰れ・・ない・・・?ということは・・・引きこもり中毎日欠かさずプレイしていたオンラインゲームができないってこと!?
「あっはは、そんなにゲームがしたいのであれば、端末をお貸ししますよ?」
「だからなんで人の心が読めるんですか!!」
ほんと迷惑だよ、もう・・・。
「それについては、私の学生時代のことをお話ししなければならないので・・・また今度。まぁ、簡単に、心理学について詳しいと思ってもらえればいいと思いますよ。」
あまりにも男性・・・高田橋さんの話が衝撃的過ぎて、自分の置かれている状況を上手く把握できない・・・。
まぁとにかく、目の前にいるのが人間とは思えないほどの、というか本当に人間なのかわからないほどの超人がいて、自分の家のパソコンからここまでワープしてきたということはわかった。
・・・いや・・・ありえないでしょ・・・科学的に考えて・・・。
某フリーホラーの主人公並みにリアリティのないことを・・・。まじもんのホラーじゃないだけましか。
そして私は高田橋さんのパソコンから出てきたらしい・・・。まじなんの呪い。てか呪いかける側になってんじゃんやめて。
ということで私が今どこにいるかというと、パソコンがある机の上。
ワープしてきたといっても時空のはざまみたいなのが見えたわけじゃなくて本当に意識が抜けていた感じだ。歪んだ時計とか見えなかった。
ようやく私の頭が落ち着いてきたころ高田橋さんは咳払いをした。