水埜柚木
上を見上げれば、白い天井。
目の前にはパソコンのディスプレイ。
隣には誰もいない。
こんな生活を続けて早一年。
世間では今日が始業式。
本当なら私も高校生として学校へ行き、JKを満喫していたことだろう。
だが私に、そんな未来はない。
私はいわゆる引きこもり。不登校だ。
最初のうちは父親がなぜ学校に行かないのか、とか学校で何かあったのか、とか鬱陶しいくらいに聞いてきた。もうそれもなくなり、誰にとがめられることもなく、自由に気ままに生きている。
きっと父親もこんな娘の態度を見て幻滅したのだろう。今は仕事も忙しいせいか、まったく話しかけてはこない。
母はすでに病死しており、父親と二人暮らし。今はたった一人の家族だというのに・・・。
自分なりに親不孝だとは思っている。でも、私はお友達と仲良くするだとか学校に行って恋をするだとか、そういうことがしたくない。というかできないのだ。
私は二年ほど前からいじめを受けていた。女子による陰湿ないじめ。
靴を隠されるどころか、捨てられたり、教科書を破られたり、水をかけられたり。いじめを題材にした漫画や小説でよく見る光景だろう。
いざやられてみると、涙が出るだとか悲しいだとかではなく、感じるのは絶望だった。心が空っぽになって何も考えられなくなる。そんな感じだ。そして誰一人として、私を助けようとはしなかった。漫画みたいに、かばってくれる人も、心を痛めて泣いてくれる人もいない。いるのは、無関心。自分は関係ない、を貫き通し関わらないようにする人だけだ。
友情なんてこの世にないと思った。いじめをしている奴らだって、私をいじめることでつながっているだけ。いじめサークルでも作ればみんな友達ができるとかそんなレベルだ。
だから、私は人を信じることができない。長くなったが、これらが私が学校に行かない理由だ。