4
兄と思われる男は人気のない路地裏に入っていく。
僕は、追いかけながら携帯で父に電話する。
「兄かもしれない人を発見しました!今、追っています!!」
「マジか?!首に縄を巻いてでも、わしの前に連れてこい!!」
そう言われて僕は、電話を切って走った。
人気が完全にないところで、兄と思われる男が逃げるのを止めた。
僕は、その方向を見ると行き止まりだった。
兄と思われる男が、くるりと回り、言った。
「よくも、俺をここまで追い詰めたな……我が弟よ!!」
(いや、あんたが勝手に逃げて、行き詰まってるんだろ!?)
と思いつつも冷静に
「探したよ。兄さん…うちに帰ろうよ」
と僕が言うと、
「弟よ……俺は、どんなリスクをおかしても、お笑い王にならなければならないんだ!日本には古来から『コケツニハイラズンバ、コズヲエズ』という……」
「……兄さん、それ中国の言葉アルね……」
「…ふふっ、さすがは我が弟……。あの、何て言うか、お兄ちゃん、もう少しだけ頑張りたいんだ!
ほら、言うだろ!!
『石の上にも二年と358日17時間46秒82』って」
「細かいわ!」
僕は、セカチューの主人公のように叫んだ。