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成り上がる?戦記  作者: 今野常春
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第十六話

地震や津波と言う言葉を登場させております。中には不快に思われる方がいらっしゃると思われますがご了承頂きお読みください。

 ライストリ・コーンステッドは四十五歳を迎える男である。現在は次期コーンステッド家当主として振舞っているが、彼は四男である。その為、若かりしときは冒険者として活動していた時期がある。丁度現在の娘イリエナと同じ十六歳の頃である。この頃は長男から三男まで健在であり、ライストリが家名に泥を塗る様な事さえしなければ、父マクコットも何も言わなかった。

 そんなときに出会ったのがコロコト・ドローセンである。エルフ族でありながら、冒険者として名を馳せる男と巡り会ったことは彼にとって行幸である。凡そ三年、彼はコロコトと共に冒険者として生きることになる。そこでライストリは生きる為のイロハを叩きこまれたのであった。


 当然四男として生まれたライストリであろうとも、教育の面で充実している。他の貴族と比べても抜きんでる教育をマクコットは施している。だが彼にとって、教育で身につけて得られるような内容などどうでもよかったのだ。教育を施すものは誰もが立派なものであった。あくまで肩書きがと言う言葉が付くのだが、それらが教える内容など僅か三年で根底から吹っ飛ばしてしまったのだ。

 当初からライストリにはもう一人仲間は居る。ゼロアン・フォロート子爵である。彼もまた三男として生まれ、同い年と言うこともあり幼馴染として一緒に過ごしてきた。結局冒険者として彼も同行していた。


 そこで培った経験が現在貴族としての行動基準になっている。驕り偉ぶるだけが貴族では無い。幼い頃から、蝶よ花よと育て上げられればどうなるか、お分かりであろう…御家騒動とまでは行かないが不運な事にライストリは長男を事故で亡くし、次男を病で亡くした。これで、三男が次期当主へと繰り上がり、ライストリも繰り上がる。

 時同じくしてゼロアンは後継者へと成ることが決定していた。その為に冒険者生活は終了を迎えるのである。


 偶然にも彼等の最終登録地はセントカール冒険者ギルド本部であった。頃合いであったのかコロコトも冒険者を引退することに決めていたのだった。


 それから二十六年の時が経過し、今へと時は戻る。ライストリは気が付けば次期当主として繰り上がり、マクコットの薫陶をしっかりと受け継ぎ、何時受け継いでも問題ないまでに成長していた。そんな彼の娘が同じ年で冒険者とは皮肉であるが、彼はそれでいいと考えている。

 その様な時に彼が培った感覚が発揮されるのである。マクコットから打ち明けられた計画。これには一切の違和感を抱かず、粛々と計画に沿って行動をしていた。だが、聖光騎士団が到着しカナエを前にしたとこに僅かな違和感を感じていたのだ。


 特に司祭を捕らえてコーンステッドの屋敷へと戻った時に違和感が強くなった。そこからである。ライストリはなるべくカナエを知ろうと、食事に同席させるなどをして彼女を知ろうとした。彼女の経歴を知ることは出来ない。騎士団人員にも話しが聞けないとあればそれしかなかった。


 それから数日後、ライストリはロワンデルを呼びだした。

「どうしたいライストリの坊ちゃん」

 日中だと言うのに顔は赤く飲酒していますと物語っている。しかし、それがいつもの彼であり、ライストリはその事について何も言わなかった。

「実は…この辺りの鉱床調査をお願いしたいと思ってな……」

 ライストリは地図を広げるとペンを取り出し地図に書き込む。そして彼の言うエリアを丸く囲んで示す。

「ふむ…ルインドと近いのぅ……確かに噂ではあの辺りには有力な鉱床が存在するとも言われとる。しかし良いのか?みだりにあそこで鉱山開発を行って?彼の国を刺激せんじゃろうか…」

 山岳地帯に囲まれたルインド王国は外敵から身を護るに適している。何といっても大軍を持って行軍できる通りが限られているからだ。そこさえ押さえれば問題なく国を統治できる。


「問題無いだろう。単に我が領内の鉱床調査だ。もし何かあれば私の命令書を見せればいい」

 そうまで言われれば彼とて従わざるを得ない。別に絶対ではない。しかし、現在は居候のみである彼には断ると言う考えは無かった。

 結局彼は同族の者を集めると足早に調査を行うべ所へと向かったのである。彼とてドワーフである。金属が大好きなのである。全員で三十名を彼が率いて現地へと向かって行った。



 調査を開始して三日が経過した。調査は思いの他に捗っている。探せば探すだけ鉱床が見つかるのだ。この辺りを開発できればコーンステッドは王家に準ずる家柄にまで成長することになる。そうロワンデルは確信した。しかし、あくまでも調査である。開発は命令違反となる。掘りたい気持ちはこの場に居る全員とは同じである。しかし、本日が最終日である。彼は心を鬼にして帰還命令を出した。

「ええい、女々しいぞお主等!この事はライストリの坊ちゃんへとしっかりと報告するわい。そうなればここで掘れるやもしれん。それを待つのじゃ!ほれ、帰る準備をせい!」

 そう言って同族たちの尻を蹴り上げて帰還の準備を急がせた。


 ウォータルへと戻る際、ロワンデルは隊を二手に分けた。彼一人は別行動を取ることになっていたのだ。これには他のドワーフが驚いたが、しっかりとライストリの命令書を見せて納得させた。と言うことで、ロワンデルの後任はロードンが担うことに決まった。彼はウォータルへと無地に隊を送り届ければいいと言う簡単な任務とあり快諾した。


 別れて一日が立つ。彼はウォータルとは反対方向へ、よりアインドに近い方角へと移動を始めている。

「そろそろじゃの…確か坊ちゃんが言っておったのはこの辺りじゃが…」

 ドワーフは小柄な体格をしている為に、此処の様な草木や岩が存在する場所は身を隠すのに適している。さらにいざとなれば地面に穴を掘り身を隠すことも可能である。

 ライストリがロワンデル個人に発した命令は聖光騎士団の監視であった。一応『国境まで』と『どのような事態となろうとも介入は禁止』言う但し書きが存在するが、それ以上の説明は無かった。


 山道を移動する足音が聞こえ出す。鎧のすれる音と馬の足音さらには馬車の車輪の音までである。

「ようやくおいでなすったか…」

 ロワンデルはそう呟いて死角となる位置から障害物を盾にして一行を覗き見る。

「坊ちゃんの言っておった数じゃの…」

 馬車三台を五十名の騎士団員が護衛しての移動を行う姿を確認する。後はこのまま国境まで彼等を監視することである。もうじき日が沈む、そうなればあの一団は何処か開けた場所で一夜を明かすとロワンデルは考えた。


 案の定暫く跡を付けると停止して野営の準備に入る。馬車を中心に置くべく馬を外しす、兵士は中に人が乗っているのか声を掛けている。この時、彼には聞こえなかったが命令口調であったと態度で察した。しかし、そこで想定がいの動きを団員は取る。なぜか十四・五人が馬車の周りを取り囲んだのだ。

「あ奴ら何をするつもりじゃ…」

 声を押し殺しながらも不安で声が出てしまう。

「なっ…!」

 鞘から剣を抜くと一斉に馬車へと剣を突き入れてしまった。暗がりで見えにくい中ではあるが、月明かりが幌馬車内に居る者の血で染まるのが分かったのだ。念のためにと突く事三度、漸く事が終わったのか血を拭き取ると今度は馬車を燃やす。この辺りは火を起こしてもさして気が付かれることはない。


 ロワンデルは事の一部始終をその目に焼き付けた。一人の団員は馬車に疑似魔法で火を放ち燃やす。あっと言う間に火が全体に回ると人の燃える匂いが周囲に拡散した。

「これが坊ちゃんの言っておったことか…」

 ロワンデルにとっては信じられなかった。確かに戦争では人は殺し合うことをすると認識している。これだけでもドワーフ族にとっては信じられないことであった。しかし今目の前で行われた虐殺はその比では無い。既に聖光騎士団は連れてきた馬に乗って帰って行った。此のままであれば、彼等は半日でウォータルへと帰ることが出来るであろう。


 気が付けばロワンデルは燃えている馬車の前に立っていた。思わず手に力が入っていることにも気が付かなかった。特に何をした訳でもないが、彼はこの言葉を呟いて此の場を後にする。

「安らかに眠れ」




 ロワンデルは二日間休むことはせずにウォータルへと戻った。何事も例外と言うものは存在する。早朝城門は鐘がならないと開くことは無い。しかし、三交代制で兵士が護るのは意味があるのだ。彼はコーンステッドの家紋が入っは許可証を兵士に提示する。すると馬車一台が辛うじて通れる扉が開く。ロワンデルは此処を通りまだ日も登らぬウォータルの中へと入って行ったのだ。

「戻ったか、御苦労であったな」

 ライストリがロワンデルを出迎える。彼はいつ何時であろうとも、ロワンデルが戻り次第取り次ぐように言い含めていた。


「済まんの坊ちゃんこんな朝早くに戻って来てしまって」

 全く悪そうにしていないロワンデルに言われても苦笑いしか出来なかったライストリである。これが彼のユーモアと考えて話しを続けさせる。

「構わんよ。それで済まないがロワンデル。結果を聞かせて欲しい。勿論あの件だ…」

 鉱床は先走ったロードンらが話しをしていた。これにライストリは『前向きに検討して善処する気持ちである』と言って糠喜びにもならない言葉で労を労った。


「そうじゃな、聖光騎士団間違いなく三台の馬車に五十名の兵で現れおった」

 ロワンデルはそう話し始めて事細かに追跡していた時の話しをする。

「最期じゃ、あ奴等は馬車を止めると馬を馬車から外しおった。外敵も少ないしの、違う場所に繋いで一夜を過ごさせるのかと思った。しかし、違ったの。兵士は十四・五人で馬車を取り囲むと中に乗っておった者を全員剣で突き殺しおった」

 ライストリは努めて冷静に彼の話しを耳にしている。と言うのも騎士団、ひいてはメルストン教に違和感を覚えてからと言うもの、彼の予想は酷い方向に当たりを着けているからである。今回も恐らくそうなるだろうと予想を立てていた為に動じることは無かった。


「そうか…」

 ライストリはロワンデルの説明にそれだけを発した。

「なんじゃ、随分と冷静じゃのぅ?」

 ロワンデルには衝撃の事態である。しかし、前に座る彼には動じた雰囲気は無い。むしろ然も当然と言う体である様に見受けられたのだ。

「冷静か…違うなロワンデル。俺は冷静では無い。無いが、どうすればいいのか悩んでいる所だな」

 彼はこれ以上話しはしなかった。ロワンデルもそれ以上突っ込んだ話はしなかった。

 

 結局、ロワンデルは居候の身で偶然命令を与えられ、無事に達成してきただけである。加えて種族間の問題でもあると、彼の中では処理された話しであった。以後ロワンデルはこの街を出た後、生涯で一度としてウォータルを訪れることは無かった。




 第五軍の滞在はもう暫く続く。司祭等の処刑は終わり、後は何をしようと言うのか。答えはライストリの侯爵家の襲爵である。ロエト砦よりマクコット侯爵が帰還する。それに合わせ、戦勝を祝う催しを街全体で上げることが決定されている。先ずはこれに花を添えるべく出席をするのだ。

 さらにその場でマクコットはライストリに侯爵位を譲ることを宣言する。ここでカナエの登場である。 王も貴族も神によって与えられた権限とされる。これに御墨付きを与えているのがメルストン教である。


 既に二年も前から計画されるだけあり、この侯爵位の襲爵は決定事項であった。お墨付きを与えるメルストン教からは既に総大司教の名で、認めることを誓う宣言文が送り届けられている。王家からは特使がやって来てこれまた王の名で認めると宣言を行うのだ。

 元司祭の不祥事をこの際、ライストリの襲爵と戦勝行事で払拭させようとの魂胆であった。




 再度ライストリはコロコトのもとを訪れていた。ロワンデルの報告を行う為だ。前回はあくまでもライストリの予測であった話しである。しかし、今回は第三者の報告を聞かされては、コロコトとて何某か対応をせねばならなかった。

「成程な、お前さんの予測は当たっちまったな。…メルストン教か、実はなライストリ本部がセントカールにあるだろ?しかしだ、本物の本部が違う場所に存在しているって聞いたことがあるか?」

 これは初耳である。彼はコロコトの話しに首を振ることで意思表示をする。


「メルストン教の発祥は此処セント王国よりも遥か南の地で起こった。これは歴史で習う話しだ。だがな、もう一つ布教を始めた場所が存在するんだよ」

 コロコトは国内のみならずその長寿を生かして各国を回っている。そこで得た情報を話し始めるのだ。

「いいか、遥か昔東方に大フロツーレンデン帝国って言う超大国が存在していた。今から五千年も六千年も昔って言うからまあ嘘かホントかって話しだな。そこに唯一神であるメルストンが生を受けるんだよ」


「彼はその圧倒的に恵まれた軍事センスであれよと言う間に将軍にまで上り詰めた。そして平民からのし上がったメルストンが、世代最強の呼び名高い軍団を創り上げたのが、今の聖光騎士団の走りだって言う話しがある。そして、彼が毎度言っていた言葉がいまの律法何だそうだ」

 そこまで話してライストリが何かに気が付いて彼を止める。

「ちょっと待ってくれコロコト、じゃあどうして発祥の地が遥か南の地で起こるんだ?地理的にありえないだろ?」

 今の地図でも嘗てコロコトが言っていた場所は存在している。しかし、その場所は直線距離で日本と西ヨーロッパ程に離れているのだ。

「メルストンはな、気が付けば皇帝位に最も近いとさえ言われるまでに成長していたんだ。軍部の支持は圧倒的だったし、市民の人気もあった。皇帝は彼がいつの日か皇位を奪いに来る、と妄想するようになったそうだ。そこである貴族が唆したんだよ。メルストンを南の地へと派遣しましょうとな…」

 これはすんなりと認められた。帝国は既に周辺に攻め込むような版図が無いほどに強大であったからだ。つまりは新天地を求めたのだ。これを英雄であるメルストンに行わせると言うことで市民も軍部も了承することになったのだ。


 さらにコロコト話しを続ける。

 強大な陸軍に対し海軍はそうでもなかった。国家予算がそれに追いつかなかったのだ。陸に海にと最強を追い求めるのは困難である。そんなことをすれば何れは国家が破綻するだろう…

 幸い、陸軍が攻めるべき場所を失ったことで予算が海軍へと向かうことになる。その予算で、漸くなった大船団にて新天地へと向かったのだ。

「だが此処からが大変だった。新天地へと意気揚々と出発した大船団はあらしに遭遇する事四度。凡そ百万隻とも言われた船団は四分の一にまで擦り減らされたそうだ」

 上陸した後も一行には試練が続く。風土病の様な者が軍を襲ったのだ。さらには原住民との戦闘である。慣れない船での生活が凡そ一年漸く地上に降り立てば病と戦闘である。これではいかな人間でも無理と言うものである。次々と数を減らし遂に脱走者も現れる始末であった。とは言え、脱走者は原住民に捕まり殺されていたのだ。


 唯一彼等に味方したのは相手には攻城兵器が存在していなかったことだ。航海に耐えられぬと判断された船を解体し、土を盛り上げ外側に木の板を立て付けて簡易的な城壁を構築させる。その後煉瓦を作製して徐々に規模を拡大させていく。こうして何とか新天地にて版図を築くことに成功する。そこまでで純粋な兵士は二万ほどにまで減少していた。これでは守ることしか出来ない、と判断したメルストンはまだ使える船を選びぬいて船団を編成し本国へと戻る算段を立てた。援軍と補給物資の調達である。

「メルストン等は今度は無事に帰国を果たした。…しかし、そこには彼等が見た国ではなくなっていたそうだ」

「どう言うことだ?政変でも起こったのか?」

 気が付けばライストリは彼の話しに夢中になっていた。あたかも見聞きしたかのような話にも思えていたのだ。コロコトが話せばその情景が目に浮かぶほどである。

「巨大地震だ…巨大な揺れが襲うと地面が至る所で割れて粗方を飲み込んだそうだ。さらには小高い丘にも匹敵する波が襲ったそうだ。これで帝国の大半は消滅したのだそうだ…」


 生き残りはそのほとんどが支配地域の人間であった。それが今度は我こそが後継者であると名乗りを上げて暴れ出したと言うのだ。押さえつけるべき者がいなくなった国とは、こうも脆いものかと言うほどに、呆気なく大フロツーレンデン帝国はその幕を下ろした。


「これが我がエルフ族に長らく伝わる伝承だ。俺も族長に事あるごとに教えられてな…もう耳にタコだぜ」

 そう言ってすっかり酒の肴になっていた。コロコトはライストリに酒を注ごうとしたところで、瓶には一滴も残っていなかった。

「ああクソっ酒が切れたか…すまねぇちょっと酒を仕入れてくる」

 彼はそう言うと立ち上がりギルドマスターの執務室を後にする。ここ冒険者ギルドは一階に受付以外に食堂を併設している。当然夜遅くまで営業している為に酒も取り扱っている。彼はそこへと向かったのだった。

 しかし、ライストリには謎しか残らないのであった。彼が戻って話し始めてもこれの歴史の話しであり、結局のところもう一つの布教を始めた場所が何処だかはハッキリとしなかったからだ。そしてコロコトから忠告を受ける。

「いいかライストリ、お前は今度侯爵位を襲爵するのだろ。だったらこれ以上メルストン教を刺激するようなことはするな。あの教会はお前が思っている以上に根が深いのだ。歴史がある上に国のトップに喰い込んでいる。この国では不入の地であるのがいい例だ。この国の法が効かないとかあり得ない。お前も家族を持つ身だ決して迂闊な事だけはしないでくれ」

 

 最後はそう締め括り二人の会話は終わった。ライストリは外へと出るとコーンステッドの家紋が入った馬車が停車していた。

「ゼロアン…」

 彼が目にしたのは幼馴染であるフォロート子爵であった。周囲は静寂が支配している。遠くでの音が響き渡るほど得ある。

「明日にでも襲爵される次期侯爵様が、何を一人でで歩いているかも思えば…幾つになっても変わらんな」

 二人の間には形式など必要では無かった。立場は違えど、このようなやり取りが許される関係であるのだ。

「済まんな、ゼロアン」

「まあいいさ、暫くはお前は子爵だ。俺と同等のな…それでオヤジさんは何と?」

 ゼロアンはコロコトをそう呼ぶ。生みの親より育ての親と言う言葉がある。彼にとってはそうなのだ。

「秘密だ…俺たちには俺たちが為さねばならない事がある。俺が侯爵になれば、お前にはもっと働いて貰うつもりだからな」

「やれやれ仕方が無いな…その代わり家の事に手を貸してもらうぞ」

 馬車の中で密談は行われる。




「やれやれ、あの三人は失敗でしたか…」

「……」

 男は見下す様に跪く男に言う。無言の男の表情は窺い知れないが、相当悔しい思いをしているのは明らかである。

「無言ですか…ロエト砦失陥。これだけでも貴方は死を賜ることになりますが……」

「止めよ…」

 二人のやり取りを暗闇が支配する奥から声が聞こえる。これには見下す様に話していた男も跪く。

「申し訳ありません!」

「同志・フリャエル。我は、汝の行いが総てでは無いと思っておる。向こうが一枚も二枚も上手であったと言う事よ。人とは時として思わぬ行動をする。だからこそ面白い。同志たちよ、我は今一度安らかなる地を欲する…励めよ」

 最後は言葉に言い知れぬ恐怖を乗せて話していた。此処に集まる者どもは一様に跪き、頭を垂れ全身から汗が噴き出していた。

『ハッ、全ては……様の為に!!』

 最後までお読み頂き有難う御座いました。

 今回は主人公が一度も登場しないオヤジ回でした。

 最後、やはり陰謀と言えば秘密結社的な何か?ですね…


 ご感想等お待ちしております。

 疑似脱字等々御座いましたら御一報頂けると幸いです。

 それでは次話で御会い致しましょう。


 …次は主人公を登場させたいです。

              今野常春

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