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三話 暴走

「ふんふふーん♪」


 リクは今味をしめていた。おいしいグリーンキャタピラーを食べるだけでレベルが上がっていく。その現状に。今日は異世界に来て三日目。


「うまうま」


 また一匹グリーンキャタピラーを食べ終えた彼はステータスを確認した。


ビックリザード 超異常個体

LV10

一般技能:爪術Ⅰ・牙術Ⅱ・毒術Ⅱ・ブレスⅠ・気配察知Ⅰ

固有技能:鑑定・言語理解・人化・小型化・進化論

称号:時空を超えるもの・闇の精霊王の寵愛


「ん?」


 上機嫌にステータスを眺めていた彼は何かが接近してきたのを悟った。新技能の気配察知によるものだ。 


「あれはー、ゴブリン?」


 草影から出てきたのは緑色の体躯を持つゴブリンたち。その数三匹。身長は1mほどだが、それぞれが棍棒のようなものを持っているため厄介だ。


「またか」


 実は彼は昨日彼はすでにゴブリンと戦っていた。数は一匹だったが、そこまで強くはなかった。

 しかし彼は調子に乗るようなお馬鹿ではなかった。三匹集まれば一匹を三回相手にするよりも危険な相手になる。


「新しい技能を試す時だな」


 彼の新しい技能は気配察知だけだが、熟練度が上昇した技能はある。牙術と毒術だ。


牙術Ⅱ

素人に普通に勝てるレベル。牙が少し丈夫になる。


毒術Ⅱ

相手にめまいなどを引き起こさせる、弱めの混乱毒。


「行くぞー!」


 彼はまず一番前に出ていたゴブリンの横を走り抜けた。無論ただ走り抜けたわけではない。毒を仕込んだ爪で相手の腕を攻撃したのだ。そうすれば相手の体には毒がまわる。


「ギ?」


 ゴブリンが膝を突く。今回彼が使ったのは効くまでに時間がかかる麻痺毒ではなく、効き目の早い混乱毒。「一日一錠早く効く」という奴だ。違うか。


「死ねや!!」


 膝をついた先頭のゴブリンには目も向けずに後ろの二体に向かっていく。そして


ボウッ!!


 と火の息を吐いた。顔を焼かれたゴブリンは悲鳴を上げて後ずさりをする。彼は片方の首にかみつき、麻痺毒を大量に注入し、離れた。そのままバックステップで上に乗る。混乱毒を入れたゴブリンの上に。


「そりゃあ!!」


 掛け声とともに牙と爪で傷をつけていく。傷が10えお超えたあたりでゴブリンは絶命した。


「ギギィ!!」

「痛っ」


 調子に乗っていた彼に毒を注入されていないゴブリンが棍棒で殴りつけてくる。もう一方のゴブリンは動いていない。毒が効いているのだろう。


「ギギィ」

「ふざけんなー!」


 そう言って彼は長い尻尾を叩きつけてゴブリンを吹き飛ばした。


「ブレス!!」


 そしてそこを火の息で焼き尽くす。


「ブレス!!ブレス!!ブレス!!」


 さらに三回連続で息を吹きかける。ゴブリンは完全に焼死した。


「あと一匹~」


 彼はそのまま麻痺して動けないゴブリンに近づき、頸動脈を切り裂いた。


「俺の勝ちだー!!」


 彼はハグハグとゴブリン達の肉を喰らっていった。


「いやあ幸先いいなあ。後は魔法さえ使えればなあー」


 そう言いながら彼はステータスを見る。今の戦闘でレベルが上がったか調べるためだ。



ビックリザード 超異常個体

LV11

一般技能:爪術Ⅰ・牙術Ⅱ・毒術Ⅱ・ブレスⅠ・気配察知Ⅰ・闇の精霊術Ⅰ

固有技能:鑑定・言語理解・人化・小型化・進化論

称号:時空を超えるもの・闇の精霊王の寵愛


「おおー。レベルが上がってr………?あれ?闇の精霊術?こんなのあったっけ?」


 彼がうーんと唸っているところに奴らは現れた。


 黒い毛でおおわれた狼のような魔物。ブラックウルフ。しかもその数23匹。


「グルル」

「ん?は?え?」


 これは人間が勝手に定めたものであるが、ブラックウルフ単体のランクはEである。これはEランクの冒険者が二人ほどで戦うべきランクである。一人で23匹も相手取るならBランクはほしいほどだ。最低でもCランクではないと話にならないだろう。

 では彼のランクはいくつなのか。推定Dといったところだろう。これはだいたいブラックウルフ6匹ならぎりぎりどうにかなるレベルである。むろん23匹を全て倒すなど不可能・・・である。


「に、逃げるー!!」

『ぐるああああーーーー!!!!』

「ひあっ」


 絶望的な状況に自ら近づくわけもなく、逃走を選ぶ。しかしそれは不可能だった。最大の問題は数ではない。


 速さだ。


「え!?速っ!?」


 彼はかなりの速さで走ることができるが、ブラックウルフ達はそれよりも速い。ブラックウルフの最大の売りはこの早さなのだから。


「ガウ!!」

「痛い!!このっ!!離せ!!」


 追い付いて、噛みついてきたブラックウルフを振り払う。しかし今度は彼に最初の課題である数の暴力が降り注いだ。


「やめろ!!離せ!!いやだ!!死にたくな!!まだ死ねない。約束したんだ。約束。死なない。死ねない。死にたくない。死んじゃう。死ねない。邪魔。こいつら邪魔。消す。殺す。邪魔者は消す。この世から消す。死ね。殺す。死ね。死ね。殺す。消す。死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消す消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろdeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedeletedelete」


 それは彼の心の奥の暗き暗き深淵から湧き出た呪詛だった。彼は体に牙を突きたてられながらその言葉をつぶやいた。


世界に響かせるように。


世界に知らしめるように。


 彼は静かにつぶやいた。


「ブラックエリア展開」


【ブラックエリア展開】


 彼の言葉に続く何かがいた。でも誰も気づかない。彼もブラックウルフも。


「対象設定」


【対象設定 ブラックウルフ23匹】


「delete」


【deleteします】


 その声が命令を執行した瞬間彼は倒れた。疲労もあるがそうではない。


 ブラックウルフ達が消えたのだ。


 跡形もなく。まるで最初からそこにいなかったように。


 それによって支えをなくした彼もゆっくりと倒れて行った。


【ブラックエリアの消失を確認。精霊王とのリンクを切ります】


 そしてその声もどこかに消えて行った。







「情けないなー」


 彼が意識を取り戻したのは夕方だった。ウルフ達に見つかったのが正午になっていない時間だったのでかなりの時間眠っていたことになる。


「これはあれだね。修業パートだね。よしそうしよう」


 楽観的な彼ならではの発想。修業にはみんな行きつくかもしれないが、こんなあっさりと自分が死にかけたことを水に流す奴もそうはいない。


「というかどこでやろう……………あ、そうだ!!」


 修業をどこでやるか悩んでいた彼は木を見て。いや、そのを見てあることを思いつく。


「よーし。頑張るぞー!!」

主人公が見事に暴走。ちなみに作者は三話を20分で書き終わるという暴走ぶり。

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