僕はここで生きてる
なんかなぁ…某感動恋愛小説に似ちゃったかも…。
泣ける小説を書きたかったのに(;_;)
もちろん盗作ぢゃなぃょ!!
プルルル
プルルルルル…
「はい。もしもし」
「〇〇大学病院ですが…夢本さんのお宅ですか?」
「はい…そうですが…なにか?」
「〜〜〜〜〜〜〜りました。至急病院におこしください」
不思議と涙は出なかった。
最愛の恋人を亡くしたと言うのに。
それは冷静だったわけじゃない。
まだ何が起こっているのかオレには理解できなかったんだ。
『霊安室』
「美雪」
そこには美雪が寝ていた。
いつもと変わらない寝顔。
ついていかない。
心が壊れる。
「…なんで美雪は…?」
「小さな子供が飛び出しているのを見て注意しようとした所に…車が…。
救急車両に担いだ時にもうすでに息を引き取っている状況で…」
「そうですか」
オレは一人で屋上へ登った。
屋上には白いシーツが青空の下はたはたと揺れていた。
「…ゆき…みゆき…美雪!!!!」
美雪の笑顔。
美雪の白い肌。
美雪の暖かい手。
オレの名前を呼ぶ美雪の声。
優しい美雪の声が頭で響く。
『大好きっ』
『竜ちゃんっ!!』
『いい天気だねぇ〜』
『今日なに食べたい?』
『なんかしてほしい事…ある?』
『…なんでもしてあげるっ!!』
「帰って来てくれよ…」
届くはずもない青空に呟く。
「帰って…来い…美雪…。」
うそじゃねぇか。
なにがなんでもしてあげるだよ…。
「…っ。ばかやろぉ…」
「竜ちゃん。」
「竜ちゃんってばぁ!!」
聞き慣れた優しい声。
俯いたまま問う。
「誰…だ?」
「なにゆってんのぉ?みゆだよ?」
…美雪…?
顔をあげるとシーツに青い影が映っていた。
オレはそのシーツをどける為立ち上がろうとした。
「動かないで。」
「なんでっ!?」
「そのまま…。そのまま聞いてほしいの…。お願い…」
別にすぐに立ち上がってシーツを取る事はできた。
…でもシーツをとったら美雪が目の前から消えてしまう気がしたんだ…。
「竜ちゃん…。」
「んだよ…?」
泣いていたオレは鼻水も出てて、しゃくりあげてもいる。
かっこわりぃ…
「みゆね、竜ちゃんの事大好き。」
「知ってる。」
「竜ちゃんも…みゆの事好き…だよね?」
「ったりめぇだ!!」
「じゃぁ…忘れて。」
誰かが頭の奥で叫んでる。
うるせぇ
黙れ
「…っなんでだよ!?」
「みゆは今まで竜ちゃんにワガママたくさん聞いてもらった。
本当ありがと。
これは最後のワガママ。」
「そんなワガママ聞けねぇよ!!」
「お願い。」
「ムリ…。ムリに決まってんだろぉ…」
もう限界だ。
頭もいてぇし。
喉もつまる。
「みゆは…もうすぐバイバイの時間なの…」
「っな…んで…?」
「ごめん…ごめんね…。みゆはいなくなるから。もう一緒にいれないの。」
「オっ……も…行…く…。」
「ダメ。
絶対にみゆを追いかけて来ないで。
竜ちゃんはまだ来ちゃいけない。
みゆの分までじゃなくていい。
竜ちゃんは生きて。
生きて。
」
オレはお前がいなきゃ生きられねぇよ。
もう言葉が出ない。
「またいつか…
いつになるかはわからないけど…
けど!!」
………けど?
「絶対にまた逢いに行くから」
もう…うそつくなよ…?
「だから約束しよう。」
シーツが風と共に空に舞った。
「あなたはここで生き続けて。」
暖かい涙がオレの目に落ちた。
「…バイバイ」
最後に抱き締めた美雪の体は…暖かかった。
オレは屋上で倒れていたらしい。
気付ぃた時は病院のベットの上だった。
夢だったのかもしれない。
でも確かに。
確かに最後抱き締めた美雪の体と美雪の涙は……
暖かかったんだ…。
告別式の日。
美雪が好きだった白百合の花に囲まれて美雪は棺桶の中で眠っていた。
「美雪…」
固くなって
冷たくなった
美雪の小指とオレの小指を繋ぎ合せた。
返事をする事のない美雪に
「約束だからな…
やぶんなよ…」
頬に軽いキスをして美雪とオレは引き離された。
5年後。
オレはまだ美雪と再会していない。
いつになったら美雪は約束を果たしてくれるのやら…
催促をするついでにオレは美雪に手紙を書いた。
『美雪へ
おーい!!そっちで元気にやってるかぁー?
お前は美雪の分までじゃなくていいから生きて!!とか言ってたけど…
オレは今美雪の分までしっかり生きてる。
お前の分まで幸せや喜びを感じてるよ
逢いたい。
美雪に逢いたい。
いつ約束果たすんだっ!?
いつ逢いに来るんだよ…
オレは…約束守ってるんだぜ?
オレはここで生きてる。
お前に逢うために。
だから早く。
早く。
逢いに来てくれ。
待ってるから…
夢本 竜』
この手紙が美雪の元へ届いたかはオレにもわからない。
でも美雪は絶対に逢いに来てくれる。
例えオレがじじいになっても…
オレがどんな姿になったとしても。
オレが生きている限り。
僕はここで生きてる。
だから早く逢いに来い。