8 『陶酔』 他 10編
●● 不鮮明 ●●
何故泣くの
何故そんな風に
誰かに見てほしいの
それとも見られたくないの
哀しいの
嬉しいの
それとも退屈なの
●● 本日も、進歩なし ●●
つまらない気持ちになって
くちびるをとがらせ
石ころを蹴飛ばす
「みんな大嫌い」なんて言ってみても
虚しくなるだけ
本当は
みんなのことを嫌いじゃないけど
こんな私を私は嫌いだ
明日からちゃんとしよう
と
いつも考えてはいるのだけれど
●● 見ているだけの ●●
あなたが好きと
10回つぶやけば
この想いは届くでしょうか
20回つぶやけば
心が通じ合うでしょうか
ありえないとわかっていても
夢を見る
ただ想うだけで
心が通じるような気がして
●● なくしたくないもの ●●
繊細ぶって
繊細さをなくしてしまった
強がって
弱がって
そのうち自分をなくしてしまった
嘘をついて
意地悪を言って
悪い言葉を投げつけて
怒って
泣いて
喚いて・・・
ああ
あなただけは なくしたくないのに
●● 強情 ●●
空がどんなに青くても
私を慰めることはできない
雨がどんなに強く降っても
私の足を止めることは出来ない
雪がどんなにきれいでも
私の心は落ち着かない
●● world's end ●●
彼女が言う通り
どうやら世界は終わっていたらしい
本当だ
私はもう痛みを感じない
もし世界の終わりがきていないのなら
これは悲劇か
それとも喜劇か
どちらにしてもどうでもいい
私はもう何も感じない
●● 春を思う ●●
狂うほどに
焦がれる彼女に
楽しそうだと
幸せそうだと
羨望を覚える
恋を知らない
あの頃私は無邪気だった
●● それでも歩みをとめず ●●
傷ついて
ぼろぼろになって
それでも突進して
不器用に
何も得られず
●● ある日のこと ●●
いつも一人で寂しいのに
今日はいつものように
一人で
おいしいものを食べて
のんびり
ソファーで本を読んで
うたた寝て
起きて
それからふと
幸せを感じた
いつも一人で寂しいんだけど
一人なりに
幸せはあるんだなあ
と私はぼんやり笑った
●● 陶酔 ●●
いつも迷惑をかけて
頼りない私だけど
君の感じる
つらいことや
苦しいことを
私は全部背負いたい
君の事は私が守る
守りたい
もしそれで私が倒れても
それでもいい
あなたが救われるのなら
それでもいいんだ