7 『境界線』 他 10編
●● 支配 ●●
君と私のきれいな世界
君の望まないとてもとてもきれいな世界
見ないままに
壊れてしまった
あの世界が
今も
私の心を
●● 甘え ●●
ふと
ため息をついた
私は見方によっては恵まれているのだろう
だから
きっと考え方次第で幸せになれる
でも
私は今幸せではない
そして
そう感じることに理由なんてないのだ
私は
意味もなく不幸せで
意味もなく寂しく
意味もなく哀しい
●● 音楽 ●●
風は
光を含んで
辺りをゆらゆら
ただよいました
私は
風に身を任せ
ゆらゆらゆらゆら
揺れていました
●● 春風 ●●
春風が通り抜けて
その先に目をやると
鮮やかに花が咲きほこっていたので
ようやく春に気が付きました
春が訪れても
冬の寒さを忘れられず
またいつか来る冬に
おびえている私です
春よ
どうか私を
あたたかな人間にしてください
私はほがらかに
笑っていたい
●●冬の空●●
寒さのせいで
君に会いたくなるけれど
君はあの雪より冷たい人だから
この涙も雪のように軽くなればいい
君の負担にならないように
君はとても冷たい人だけど
私はどうしても
君じゃないといけない
だから私は
この涙さえも
大切に思えてしょうがないんだ
●● いらだち/あきらめ ●●
本当に
つまらないことだらけだな
くだらないことだらけだな
そんなものを
どうして信じてしまうのだろう
つまらないね
くだらない
●● うそつき ●●
寂しくなんかない
ひとりでも平気
あなたなんか嫌い
大嫌い
●● 無題 ●●
夕日が沈む
待っていた世界が始まるよ
ひっそりと夜は訪れ
だれもかれもを眠りに誘う
さえぎっていた光が消えて透明になる空
月は笑い
星は歌う
待っていた世界が始まるよ
●● 上の空 ●●
君の涙を固めたら
きっときらきらして宝石みたいにきれいだろう
君の笑顔を花束みたいに集めたら
きっと楽しくて心の底から幸せを感じるだろう
そんなことばかり考えながら話していると
君は上の空だなんて誤解して怒るけど
本当のことを言ったら
気障だなんて馬鹿にするから
しかたなく
あいまいに笑って
わからない人と言われてしまう
●● 境界線 ●●
私たちは離れていく
ゆっくりと
確実に
決定的なことは何もなく
傷つけること 傷つくことを恐れて
曖昧な
いつも通りの私たち
こんなことなら
傷つけ合う方が良かった
私をもっと知ってほしかった
あなたをもっと理解したかった
私たちはもっとわかりあうことが出来たはずなのに
私たちは離れている
ゆっくりと
今もなお
でも まだ
間に合う気がする
間に合うだろうか
曖昧が染み付いた私たちを
私の望みだけで変えられるのなら