4 『言の葉』 他 10編
●● 寒い夜 ●●
二人は黙って手をつないで歩いた
それだけで気持ちは通じ合い
それだけで心は満たされた
●● 共鳴 ●●
季節が変わる
その時の
唇を噛んで耐えるような
苦しい気持ちを
誰かわかってくれるだろうか
目も開けていられない
大きな不安を
胸が高鳴って
抑えられない程の
期待と喜びを
●● 情景 ●●
私の心が
あなたの存在が
景色をこんなにも
輝かせるのです
●● 君のために ●●
私の幸せが嬉しいと君は言う
私も君の幸せが嬉しいんだけど
君に伝えはしなかった
私が笑うと君は笑う
君が笑っても
私はうまく笑えない
いたらない私に
君はいつでも優しくて
君の幸せのためなら
どんなことでもやろうと
密やかな決意
●● それでも ●●
損をしてばかりでも
他人より劣っていても
格好悪くても
つらくても
●●あれから●●
「私はどこか欠けている」
と思い込んで過ごした
それから
色々なものを失い続けて
私は今ここにいる
たくさんのものを失くした
手に入れたものは
何かあっただろうか
私はいつか
何もなくなって
ぽん
と消えてしまうだろう
●●思い出のカケラ●●
君と出会って
はにかむように恋をした
懸命で
不器用で
ひたすらに
君だけを想っていたよ
●● 決意 ●●
どんな強い気持ちも揺らいでしまい
ちっぽけな自分自身が
何からも守られず震えていた
それでもはいつくばって
進んでいく
この力はなんだろう
歯を食いしばり笑われながらも
歩みを止めない
この源はなんだろう
強くなりたい
強くなりたい
何かを手に入れるために
全てを手に入れるために
●● 君となら ●●
はしゃいで嵐の中を飛び出した
閉じこもっておかしな遊びを発明した
一日しゃべらずぼんやり過ごした
トランプでも
テレビゲームでも
ボール遊びでも
お絵かきでも
一緒ならなんでもよかった
一緒ならなんでも楽しかった
ねえ、どんなに変わっても
私たちは笑っていよう
二人ならきっと大丈夫
何かが変わっても
きっと何も変わらない
●● 言の葉 ●●
言葉の切れ端を集めた
私はその言葉たちの意味を知らない
言葉はキラキラと輝いて
ただただ この胸を締め付ける