15 『いつか』 他 10編
●● 道の途中 ●●
坂道を上る
緑は輝き
私を明るい方へと導く
初めて通る道の
懐かしさに
私は目を細めて
過去を想い
未来を思う
●● それもまた幸せ ●●
唇を軽く噛み
歯止めのきかない心を責めた
どうすれば止められる
心が走る
どこまでも
生まれたばかりの感情が
大きくなって私を満たす
失敗を恐れる心ととまどいが
もう見えなくなって私は
満たされながら不安になる
●● 依存 ●●
心が膿んで
君を求めた
心が飢えて
君を愛した
心が枯れて
君を離した
君が消えて
心は壊れた
●● 哀しみ溜まり ●●
哀しみでいっぱいになる
哀しみが私の心にしとしとと
大きな湖をつくる
それは透き通った底のない湖
私は哀しみに沈む
哀しみでいっぱいになる
●● 現実 ●●
頭上に広がる希望
足元に広がる暗闇
どちらも見ながら
前を向いて歩いて行こう
●● 裏返し ●●
人のことを信じられないのは
信じた人に裏切られたからだろう
人のことを信じられないのは
それでも信じてしまうからだろう
●● 高潔 ●●
誰の手にも
はいらなくなって
あの石ころは
宝石に変わった
●● 哀しい顔をする君へ ●●
ごめんね
なんて
君は悲しむより
笑っている方がいい
笑顔は君によく似合う
●● 絶望 ●●
世界が
目に見える通りに
きれいなだけであったなら
きっとこんな風にはなっていなかった
●● いつか ●●
どこにもいかないよ
なんて
都合のいい言葉を求めて
待ちぼうけ
ああ
どこにもいけないよ