14 『鼓動』 他 10編
●● ここにいる理由 ●●
同じ言葉を
本気で口にしたときと
嘘で口にしたときとでは
きっとすべてが変わるだろう
言葉は強い
そう信じる
●● 寂しい ●●
泣きたい時に涙を流し
笑いたい時に大笑い
好きな人には大好きと言って
やりたいことはやってみる
それを素直というのなら
私は素直じゃないのです
泣きたい時も笑いたい時も
あなたの前でも
いつだって
薄く笑って
ぼんやりと
●● その時 ●●
怖い夢を見て目が覚めた時
私は何を望むだろう
お酒を飲んで正体をなくしても
浮かんでくる顔は誰だろう
●● 勇気 ●●
げんじつとうひがたりない
めのまえにひろがるげんじつが
おいかけてきて
たいせつなものを
こわしてく
にげなくちゃ
にげなくちゃ
きみはなんでたたかうの
どうして
こんなにも
ふるえているのに
●● 気楽 ●●
きれいな言葉を重ねて
汚いものから目をそらし
まるでこの世が楽園のように
楽しいと
思い込みたいだけ
その思い込みで生きていきたい
それだけ
●● 嫌悪 ●●
したたるような
あの言葉を
欺瞞だなんて
あなたの目も耳も
全部
汚れている
それならば
あなたの見下しているすべて
あなたの疑うそのすべてを
私は肯定するだろう
●● 憧れ ●●
好きになっても
届かない
あの手は遠く
触れられず
目は
私の知らない場所を見据えて
私はあなたを見るだけで
幸せ
あなたは私を知らない
それでも
幸せ
幸せ
●● 決別 ●●
あの時の友の言葉を
そのまま投げかけても
届かなかった
その目は
私の知らない他人のようで
いつしか
全ては変わる
わかっているつもりで
わかっていなかった
あの頃の私たちの笑顔は
どこか遠くへ
いつか良い思い出と思える日まで
心の奥にしまっておこう
●● 幸せ ●●
同じような毎日を
愛しく思い
あたたかい何かを
積み重ねる日々
●● 鼓動 ●●
彼への気持ちに気が付いて
こわくなる
幸福は遠くにあると言い聞かせ
何もしない怠惰な私を
この気持ちだけが強く揺さぶる
彼への気持ちが
私を変えていく
このままだと私は変わる
彼への気持ちが
私を変える