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闇姫登場

アンドロイドのれな。以前は彼女の実力をお見せできなかったが、今回はその力を惜しみなく発揮する事となる。

今回登場するのはれな達の宿敵。

悪を誇り、悪に生き、悪に全てを捧げる一人の女。


彼女は闇姫。


黒いツインテールをなびかせ、訳あって右目は翼を模した眼帯で覆い隠している。左目は赤く、宝石のような輝きを保ちつつも、同時に黒目は闇そのものように深い。

灰色の翼を広げ、テクニカルシティ上空から地上を見下ろす彼女の姿は、午後13時の太陽に照らされてるにも関わらず目立たない。存在そのものが光と対を成すかのごとく。


「今日も人間どもが彷徨いてやがる」

誰に言うでもなく、苦言を漏らす。先程申し上げた通り、彼女は悪を信仰する。

闇姫軍という大規模な軍を率いて、日々悪事をこなしているのだ。そうする事で正義への冒涜を示し、悪のみが支配する世を目指している、壮大な目的を持つ。



そんな彼女だが…。



「闇姫ぇぇぇぇぇ!!!」

地上から天を刺すかのように、その声は闇姫の耳を叩きつけた。

闇姫は表情筋一つ動かす事なく地上を見る。


そこには…緑の瞳をぎらつかせながら、天の闇姫を睨む一人の少女…れな。何故だか激しい怒りに満ちた目をしており、歯を食い縛り、ただただ、睨みつけている。

対する闇姫の目はあまりに冷ややか。

…自身に無策で向かうような愚か者を前にしたのだから、もう少し感情を込めるだろう、と言いたくなる程に熱が宿ってない。相手を見下す事に全ての神経を集中するような、そんな目。

れなは地を蹴り、コンクリートの地面にヒビを刻んだ。そのまま、彼女の身体は空中に浮かび…飛行を開始した。

アンドロイドたる彼女にとって、飛行など造作もない事。あっという間に闇姫に迫り、彼女の目の前でピタリと止まる。そのまま腕を組んで、ヤクザさながらに顔を近づけた。

「闇姫…テメェ、また何か企んでるんじゃなかろうな!?」

闇姫は決まって毎日のように悪事を働く。今日もまた、彼女は得体の知れぬ企みを持っているように見えた。

ふん、と闇姫はため息をつく。ただでさえ冷たい表情から更に熱を逃がすかのように。

「だから何だ、アホれな」

「あ!?言いやがったな!!」

闇姫とれなは…ご覧の通り仲が悪い。いや、仲が悪いなんて話ではない。これはもはやいがみ合い。視界に入るだけで殴り合いが始まる程なのだ。

そしてこの日も。



闇姫の拳が握られた。



「っ!」

れなは腕を構えるが、その防御を見抜いた闇姫はれなの腹部に拳を突き出した!衝撃が大気の中に、輪となって広がる。

れなは遥か下の地上へと叩き落され、コンクリートの粉が舞い上がる。特に意味もない暴力…とは思えない程規模が大きい。


地上の人々が、煙たがりながらも何事かと衝撃場に群がってくる。地面にめり込んだれなは彼等に叫ぶ。

「危ないからどけっ!今喧嘩中なんだ!!」

言い終わるや否や、闇姫は急降下、れなの顔面へ拳を突き出してくる!れなは右手の平でそれを受け止め、闇姫の拳を掴み、そのまま力任せに彼女の全身を振り回す。

突風が吹き荒れ、逃げていく人々。十回転程振り回すと、れなは手を離し、闇姫を空中へと投げ飛ばす。

闇姫がバランスを立て直そうと姿勢を直したその隙に…れなは飛び出す。

「くらえ!!」

動きを見切り、彼女の鳩尾へ音速級の拳を放ち込んだ!

音速…比喩でも何でもなく、本当にその通りの速度。一生物に打ち込むような物ではない。

…が、闇姫はそれを難なく身で受け止めた。痛みこそあるが、この程度で彼女は墜ちない。

「…拳の向きがズレてる。やり直せ」

怯みもせず、闇姫は拳を振り上げ、れなの頭部へと叩き込んだ!


「ぐへえっ」

間抜けな声をあげながら、れなは地上へと墜落。爆音と同時に大地が裂ける。




この戦い、闇姫の勝ちだった。






闇姫は腕を組み、またもや地上にめり込んだ宿敵を、さぞ無様そうに見下す。

ある程度その景観を楽しむと、一言呟いた。


「見つかったか」


直後、闇姫のすぐ横…空間そのものが突如渦を巻き、紫の靄が立ち上り…生物が現れた。

紫色の球体から手足を生やし、背中にあたる部分から翼を生やした、小さく、何やら迫力のない悪魔。彼はその短い手を額辺りに添えて、敬礼した。

「はっ!闇姫様がれなを引きつけている間に調査を進めたところ…」

彼は嬉しそうに、声のトーンを一つ上げた。

「最高級のドーナツ店を発見いたしました!」


…闇姫は視線を向けず、しかし大きく頷いた。


「よくやった。早速窃盗部隊を送り込め。一つ残らず奪い尽くせ」

「了解しました!」


…これが闇姫。

敵を倒し、部下に指揮を出し、目的の物を容赦なく奪い取り、最後に闇姫軍の旗をなびかせる。


彼女が、この時空最大のヴィラン、闇姫である。


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