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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~  作者: SUN_RISE
第2章:新たなる戦乱の影

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2−6:研究成果発表会に向けて


「明日からよろしくな、エリオス君」

「またね、エリオス君!」

「よろしくお願いします」


 ルッツさんとレオノーラさんは、この後用事があるとのことで研究室を引き上げていった。これで、部屋には僕とティアナ、そしてヨハネス教授の3人だけになる。


「さて、これで無事にエリオス君が、我がヨハネス研究室所属の研究生となったわけだけど……」


 さっきまで喜色満面だったヨハネス教授が、急に申し訳なさそうな表情になって僕を見つめる。

 ……うーん、どうしたんだろう? ヨハネス教授がそんな表情をするようなことって、何かあったっけ?


「早速で申し訳ないんだけどね。エリオス君には、来月に行われる研究成果発表会で発表をしてもらいたいんだ」

「研究成果発表会ですか……」


 研究成果発表会とは、書いて字のごとく日頃の研究の成果を発表する場なんだけど……王立魔法士学校の場合、少しだけ意味合いが異なってくる。

 これ、実は王立魔法士学校の卒業試験を受けるに足る能力があるか、審査を行う場でもあるらしいのだ。らしい、というのはこれがいわゆる公然の秘密というやつで、学生の間ではこっそり"品評会"やら"予備卒業試験"なんて呼ばれ方もされているらしい。つまり、ここで目立った成果を上げられなければ、卒業試験に進むことができないのだ。


 でも、僕は今しがたヨハネス研究室に入ったばかりだ。研究成果なんて一切無い……って、もしかして?


「……それは、"オリハルコンの高純度精錬法"というテーマで研究成果を発表せよ、ということですか?」

「うん、そうなるね。エリオス君の言いようだと、実際に起動する魔法陣も用意できるみたいだしちょうど良いと思うんだ。オリハルコン鉱石も多めに仕入れてるし」


 お、多めに仕入れてるって……ソリス男爵家でそんなことをしたら、すぐにお金がスッカラカンになっちゃうよ。実はヨハネス研究室って、貴族家を超える超大金持ちだったりする?

 ……でも、これはかなりラッキーだ。まさか原材料が潤沢にあるとは思っていなかったので、このオリハルコン塊をとことんまで使い倒すつもりだったんだけど……鉱石があるなら、高純度オリハルコンインゴットを作り出すこともできるかもしれない。


 ただし、問題は……。


「うーん、ちょっと僕の魔力量が不安ですね……純度90%くらいまでなら、今の僕の魔力量でもなんとか実行できると思いますが。高純度まではさすがに厳しいですね」

「今はそれで十分だよ。高純度精錬法は理論発表だけにして、魔力が足りる分だけ発表会で実演すればいいさ」

「そうですか……」


 通常の魔法研究の流れなら、まずは魔法理論の研究が先にあってから、それを基に魔法陣を組んで実験を繰り返し、最適解を見つけていくという順番になるんだけど……理論研究も実験も全部すっ飛ばして、いきなり正解発表をするわけか。それはめちゃくちゃ驚かれると思うよ?

 ……これで、実は高純度オリハルコンの成形魔法もあるって言ったら、どんな反応が返ってくるんだろうね? 精錬と成形はまた別物の難しさがあって、どの金属も成形魔法の方が難易度は高いから……きっとみんな、魔法陣の情報を欲しがるだろうね。中には過激な手段を用いてでも、僕から情報を奪い取ろうとする(やから)が出てくるかもしれない。

 嫌な予感しかしないので、今回はほどほどのところで留めておくつもりだ。ヨハネス教授に話だけはしておいてもいいかもしれないけどね。


「しかし、随分と性急ですね? 何かあったんですか?」


 研究成果発表会に参加するためには、当然ながら発表資料を作る必要があるし、発表練習もしなければならない。1ヶ月で0から準備するのは、正直ちょっとあり得ないレベルではある。

 ……とは言え、前世の僕(ドグラス)もかつては国に仕えた勤め人。嫌々ながらも書類や資料はちゃんと自分で作ってたし、ポイントを押さえた高速書類作成術はお手の物だったようだ。その経験を基にすれば、1ヶ月後でもなんとか間に合うとは思う。


 ただ、それを入学したばかりの研究生にやらせるのは、かなり性急に過ぎる気がするんだよね。相当な理由が無ければ、ヨハネス教授もそんな無茶は言わないはず。


「うーん……エリオス君だから、あえてぶっちゃけちゃうけどね。実はフォルクハルト士爵とグライスナー学長から、『エリオス・ソリスの卒業要件を早く満たさせてやれ』と圧力がかかっててね……」

「あ〜、なるほど……」

「期間が短いのは、僕も重々承知してるからね。資料作りは僕も手伝うよ」


 フォルクハルト士爵様は、王国魔法士団の副団長だ。彼は軍属なので、僕の事情をよくご存知なのだけど……おそらくはグライスナー学長も、なのだろう。

 ここで中退という選択肢が出ないのは、王立魔法士学校の敷地内へ気軽に立ち入ることができなくなってしまうからだ。ちゃんと卒業した場合は話が別で、卒業後も研究室に所属してそちらの道で大成する人もいるし、騎士団や魔法士団からの要請でそういう研究をすることだってある。目の前にいるヨハネス教授のようにね。

 それならば早く僕を卒業させて、王国魔法士団に入団させたいのだと思う。実力が伴わないから、前例が無いから、ちゃんと手順を踏んでから……なんて言ったのが良くなかったのかな? ヨハネス教授が妙な圧力をかけられているみたいだ。


 まあ、それだったら僕はその流れに乗るだけだけどね。


「よし、それならここで純度90%のオリハルコンを作ってしまいましょうか。この純度75%オリハルコン塊を使ってね」


 口では理論を偉そうに語っていても、実際にやって見せたことは1度も無い。ヨハネス教授もそこだけが懸念点だと思うので、今ここで実演してしまうことにした。


「"リファイン・オリハルコン"」


 オリハルコン塊を手に取り、まずは純度が80%になるまで精錬魔法を施していく。たった5%純度を上げるだけでも、オリハルコンが絡むと非常に繊細な制御が必要になるので気は抜けない。

 ……物理的な強度だけでなく、耐魔法抵抗力もオリハルコンは異様に高いからね。オリハルコン結晶構造体に精錬魔法が当たれば、強制的に霧散させられてしまうだろう。そうならないように制御していく必要があるわけだ。


「おお、あっという間に色が変わっていく……」

「凄い……さすがです、エリオス様」

「………」


 ヨハネス教授とティアナが、真剣な表情でオリハルコン塊を見つめている。

 オリハルコンは高純度になるほど、色合いが黄金色に近付いていく特徴がある。純度が低い場合の色合いは様々だけど、このオリハルコン塊は最初かなり赤みがかった色をしていた。

 それが、少しずつ黄金色へと近付いていき……しかし、途中で止まった。


「純度80%に達しました、ここからやり方を変えていきます。"リファイン・オリハルコン"」


 魔法名は同じだけど、魔法の中身は全く違う。純度90%を超えて高純度を目指すなら、ここで精錬の方法を切り替える必要がある。

 ……なにせ、この時点でミスリル以外の不純物除去がほぼ完了して、オリハルコン・ミスリル合金の状態になってるからね。オリハルコン鉱石を元に精錬を進めていくと、オリハルコン80%・ミスリル20%・その他不純物ごく僅かの合金が毎回なぜか必ずでき上がるのだ。

 そして、オリハルコンの純度を高めるにあたって一番厄介なのが、このミスリルの除去だったりする。なにせ、オリハルコンほどではないにしろミスリルも耐魔法抵抗力が高い。精錬魔法(リファイン)もなかなか受け付けてくれないので、少しやり方を変える必要があるのだ。


 そしてそれは、さっきまでよりも更に精密な魔法制御を要求される。


「………」


 無言で、淡々と精錬を進めていく。さっきは不純物をそのまま適当にゴミ箱へ捨てていたけど、ミスリルは希少金属なのでしっかり()り分けておく。こちらも普通に使い道があるからね。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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