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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~  作者: SUN_RISE
第2章:新たなる戦乱の影

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2−1:アルカディア王立魔法士学校入学試験・前編


 ヴィルヘルム帝国工作員2人を倒し、僕が単剣銀翼章を賜ってから1ヶ月が過ぎた。

 この1ヶ月間、ダンジョン探索は第4層までに留め、じっくりとゴーレム制御の精度向上に取り組んだ。それでもスモールボアを大量に倒したからかレベルは25まで上がり、ブロンズゴーレムの最大召喚数も90体まで増えた。1ヶ月前は最大召喚数60体だったので、レベルアップと魔法陣の改良が功を奏しているのは間違いないだろう。

 ただ、ブロンズゴーレムの最大制御数は32体を超えては伸ばせなかった。ゴーレムに色んな武器を持たせたパターンを試したり、連携の強化に重点を置いて訓練を積んだ結果、最大制御数を伸ばす訓練は後回しになってしまったわけだ。

 それでも、32体も制御できればやれることは沢山ある。最大数をいたずらに増やすよりも、より精度を重視して訓練を積んだ方が今は良いと判断したのだ。


 ……まあ、実際はゴーレム作成魔法を使わずにストーンバレットやアイアンスパイクといった魔法で直接攻撃した方が、魔力消費を抑えつつ大きな戦果を出せるんだけどね。ヴィルヘルム帝国工作員もそれで倒したし、前世の僕(ドグラス)が得意だったのも普通の攻撃魔法だった。

 そもそも、前世の僕がゴーレム作成魔法を開発したのは晩年も晩年、ドグラスが亡くなる半年前くらいだ。ゴーレム魔法とそれ以外の魔法では錬度に大きな差があって当たり前であり、前世の僕が使い慣れていた攻撃魔法を僕もそのまま使った方が、色々な面で効率が良いのは当然だろう。


 それでも、アルカディア王国を取り巻く状況を考えれば、ゴーレム作成魔法は絶対に役立つ時が来るはずだ。前世の僕が使い慣れ、すっかり枯れた技術となった魔法を練習するよりもこっちの方が断然面白いし。自身の成長を実感できるから、僕としても高いモチベーションを保てるのだ。


――ガラガラガラ……


 さて、そんな僕が今、馬車に乗ってどこへ向かっているかというと……。


「エリオス様、緊張しておりますか? 今日はアルカディア王立魔法士学校の入学試験の日ですから……」

「いや、案外そうでもないかな? 今日に向けてやれることは全てやったから、後は天命を待つだけって感じだ」

「そうですか、さすがはエリオス様です。入試会場にはあと数分ほどで到着するそうですので、それまでごゆっくりとお過ごしください」


 4人がけの馬車で、僕の隣に座るティアナが控え目に笑みを浮かべた。

 ……実は、試験を受けないはずのティアナの方が朝から明らかに緊張していて、それを見た僕の緊張が吹き飛んでしまったというのが正しいんだけどね。お陰で僕は、今日の試験に自然体で臨めそうだ。


 アルカディア王立魔法士学校の入学試験は、貴族街と平民区画を跨ぐように広がる王立魔法士学校の敷地内で行われる。開始時刻にはまだだいぶ余裕があるから、着いてからもあたふたせずに済みそうだ。



 ◇



――ガラガラガラ……ガタンッ

「エリオス様、アルカディア王立魔法士学校に到着いたしました」

「ああ、ありがとう」


 馬車がゆっくりと止まり、外から御者の声が聞こえてくる。

 扉を開けて、馬車から下りる。ティアナに手を差し出して下車をエスコートし、2人で辺りを見回すと……全く同じ形をした、2階建ての細長い建物が道の両脇にズラリと並んでいた。後ろの正門も馬車が通れるほど広いけど、柵や柱などには特に豪華な装飾は施されていない。むしろ、武骨ささえ感じるほどシンプルなデザインをしていた。


 これが上位貴族の子息令嬢が通う学校だと、入り口に豪奢な噴水があったり見事な庭園があったりするのだけど……王立魔法士学校は優れた魔法士を集めて育成・研究を行うための場であり、上位貴族の子息令嬢が優雅なティータイムを過ごすための場所じゃない。だからこそ無駄な装飾を排して、実用性重視の配置にしているのだろう。道の脇に並んでいる建物も、おそらくは講義棟か研究棟だと思われる。


「おや、君は受験者かな?」


 馬車止めの付近で辺りを見回していると、モノクルを掛けた茶髪の長身痩躯な男性が近付いてきた。白衣を着たその男性は、見た目通りとても穏やかな語り口調で話し掛けてくる。


「はい、エリオス・ソリスと言います。アルカディア王立魔法士学校の試験を受けに参りました」

「丁寧にありがとう。僕はヨハネス、ここで教授をしている者だ」


 あ、やっぱりそうなんだ。かなり強力な茶色(地属性)のオーラを纏ってたから、相当高位の地属性魔法の使い手だとは思ってたんだけど……教授ということは、魔法士学校の中でも相当偉い立場の人だ。温厚で物腰柔らかいから、とてもそうは見えないんだけどね。

 あと、ヨハネス教授は対人戦をほとんどこなしたことが無い人だと思う。ヨハネス教授ほどの魔力の持ち主なら高レベルなのは間違いないし、それを実現するには相当数の戦闘行為が必要なんだけど……その相手が主に人である場合、魔力の隠蔽に長けた魔法士でないと長くは生き残れないからだ。

 魔法士の中には、相手の魔力を感知して強さを推定する技能を持つ魔法士が一定数存在するからね。その対策として魔力の隠蔽は必須技能であり、実力を隠していると分かれば相手も迂闊には戦えなくなる。

 一方でヨハネス教授は、僕が【魔眼】で一目見て実力がほぼ把握できてしまい、しかも魔力が隠蔽されていないことがすぐに分かってしまった。レムレースやモンスターを相手にするなら、放出される魔力波がむしろ威嚇となって有利に働くんだけど……対人戦でそれは落第点だと言わざるを得ない。


 だから、ヨハネス教授はあくまでも研究畑の人だということだ。荒事がこなせないわけではないけど、魔法研究をしてもらった方がよほど国に貢献できるのだと思う。


「あ、そうそう、筆記試験の会場はあそこだよ。入り口に看板が立ってるから、それで分かると思う」

「ありがとうございます」


 ヨハネス教授が指差した方を見ると、そこにも細長い2階建ての建物があった。1階の入り口横には"アルカディア王立魔法士学校筆記試験会場"と書かれた看板が立て掛けてあり、その入り口から受験者と思われる人たちが続々と建物内に入っていっているようだ。そんな彼ら彼女らに続いて、僕も建物の中に入っていく。

 ……ちなみに、王立魔法士学校は上位貴族の子息令嬢が受験することも当然あるため、1人に限り従者が付き添うことを許可されている。ただし受験者が筆記試験中または実技試験中は、従者は指定された場所で待機しなくてはならない。ちなみに筆記試験中は、試験会場と同じ建物内に従者控室が用意されているそうだ。


「え、エリオス様、きき、き、緊張なさらず、い、いつも通りが、頑張れば絶対にう、受かりますよ!」

「落ち着けティアナ、君の方が緊張しててどうするんだ」

「そ、それもそうですね。で、ではエリオス様、頑張ってくださいね!」


 あたふたしながら従者控室に入っていくティアナの様子があまりに微笑ましすぎて、つい僕も笑みを浮かべてしまった。


 ……さて、ここでアルカディア王立魔法士学校の入学試験内容をもう1度思い出しておこう。

 アルカディア王立魔法士学校の入試は、筆記試験と実技試験に分かれている。最初は筆記試験を受けて、その後に実技試験へと移るわけだな。

 そして、試験の合否はほぼ実技試験のみで決まるともっぱらの噂だ。魔法士としての実力は、いかに魔法を使いこなせるかにかかってるわけだから当然と言えば当然だけどね。筆記試験はあまりにも知識が足りなさすぎる人を振るい落とすために、念のため設けられた試験だという話だ。


 ……その割には、筆記試験も結構難しいんだけどね。筆記試験はマナー・魔法理論・古代魔法文字の3科目があるんだけど、マナーは上位貴族の子息令嬢が身に付けるレベルの知識が問われるし、魔法理論や古代魔法文字は新たな魔法陣が作れるレベルの知識を問われる。過去問をあたってみた感じ、前世の僕の知識が無かったら間違いなく苦戦していたと思う。

 入学前後で新魔法の開発が求められるので、魔法理論や古代魔法文字についてはそれくらいの知識は持っていて当然、ということなんだろうね。そこにマナーが加わっているのは……仮に王国魔法士団へ入団したとして、上位貴族とも関わる可能性が普通にあるからだろう。合否にそこまで寄与しないとしても、一流魔法士を目指す者として修めておくべき知識を問われているのだと思う。

 だから、僕は手を抜くつもりは全く無い。全ての問題に正解するつもりで、本気で解くとしよう。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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