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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~  作者: SUN_RISE
第1章:大魔法剣士の覚醒

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1−28:VSスモールボア・前編


「よし、第4階層も踏破だね」


 10分ほど通路を歩き、第4階層も難なく踏破に成功した。

 道中でコボルドが2回、計6体現れたけど……どちらもブロンズゴーレム軍団で押し切った。数でも実力でも負けているコボルドが、ブロンズゴーレムとまともに戦って勝てる道理は無い……なんて油断は禁物だけどね。

 何せ、2回目の戦いでは弓を装備したコボルドが出てきたからね。やや前にいた僕を直接狙ってきたので、守備に回らせていたブロンズゴーレムに盾を構えさせて防いでいる。その後は前衛のブロンズゴーレムにあっさり斬り倒されていたけど、油断していたら矢の一撃を食らっていたかもしれない。

 ……私兵団員との訓練で、僕自身に対する攻撃への対処を実践しておいてよかったよ。おかげで魔法制御を乱すことなく、コボルドを終始圧倒することができた。


 ちなみに、バットも出てきたけどティアナが光魔法で撃ち落としていた。レイという光属性の基本攻撃魔法で、低威力ながら弾速が早く連射が可能で扱いやすい魔法なのだとか。

 それでも、小さな的を正確に狙い撃つティアナの技量には素直に感服した。この分だと、バットの相手は全てティアナに任せてもいいかもしれないな。


「さあ、ボスに挑戦だ。ここのボスはスモールボア2体だったね?」

「そうっす。エリオス様はご存知だと思うっすけど、第5階層も同じスモールボア2体なんすよね」

「それが不思議なんだよね……」


 第1〜3階層では、1階層進むごとにボス部屋で出てくるホブゴブリンの数が1体ずつ増えていた。しかし、第4〜9階層では2階層進むごとにスモールボアの数が1体増えるようになっているらしい。なので、第4・5階層はスモールボア2体、第6・7階層は3体、第8・9階層は4体となっている。

 ……何か理由があるのかな? スモールボアの特性的に、数が増えると一気に厄介さが増していくからかな……?


「とにかく、スモールボアの突進攻撃には要注意だね。突進の直線上には絶対に立たない、それを心掛けないと」

「……俺でも、スピードに乗ったスモールボアを、真正面から止めるのは一苦労です。すれ違いざまに脚を狙ってください。あるいはエリオス様なら、ゴーレムで真正面から止められるかもしれません」

「そうだね……1体ずつそれぞれ試してみようか。僕のブロンズゴーレムがどこまでやれるか、余裕があるうちに見ておきたいし」

「……了解しました」


 ボス部屋の中に入りながら、スモールボアの対処方法を確認しておく。


 ……"スモール"ボアと名前が付いているものの、その体長は2メートルを優に超えるらしい。当然ながらホブゴブリンよりも強く、Eランク魔物の中では上位に位置付けられている。更には、"スモールボアをサシ(1対1)で狩れて1人前"という格言があり、探索者の実力を測る試金石に使われるくらいには有名な魔物でもある。

 そうなっている理由は、スモールボアが普通にCランクでも通用するほどの圧倒的フィジカルを持っていることと……それでもEランクの範疇に収まってしまうほど、致命的すぎる弱点があるからだ。


 スモールボアの攻撃の中で、最も厄介なのは突進攻撃だ。その破壊力は桁違いに高く、Cランクの代表的なパワー型魔物であるオーガの一撃よりも重いらしい。まともにやり合えば、大きな被害は免れないだろう。

 ただ、この突進攻撃には"速度が必要"だという明確な欠点がある。助走距離が少ないと威力が出ないうえ、必ず単発の攻撃になるのだ。突進攻撃の他に有力な攻撃方法を持たないのもあり、突進攻撃さえ対処できればスモールボアは制したも同然なのだ。

 そして、それらの欠点を更に補強……いや、補弱してしまうような致命的な弱点がスモールボアにはある。


 ……スモールボアは、脚部が弱点なのだそうだ。脚部を攻撃されると簡単に崩れ落ち、その場から動けなくなるらしい。勢い良く走り回っているからこそスモールボアは脅威なのに、簡単に足止めできるのではその脅威度も大きく下がってしまう。これこそが、スモールボアがEランク魔物の枠を抜け出せない要因となっているそうだ。

 ちなみに、スモールボアが成体になると"ラッシュボア"というランクCの魔物になる。ラッシュボアはフィジカル面こそあまり変わらないものの、脚の弱点を克服しているため突進攻撃を止めるのはかなり難しいそうだ。たったそれだけでCランク下位の魔物に認定されるのだから、スモールボアの弱点がいかに致命的かを物語っているとも言える。


「………」


 今回のスモールボア戦、1体は脚を狙って動きを封じる。もう1体はあえて突進攻撃中にブロンズゴーレムをけしかけ、力ずくで止められるかを検証する予定だ。


 ……ボス部屋の中に全員が入った。心なしか、ホブゴブリンのボス部屋よりも広いように感じる。

 サッとブロンズゴーレムの隊列を変更する。今回は前衛4体、後衛4体の配分にし、スモールボア1体に前衛のゴーレム2体をあてがう。万が一スモールボアが抜けてきたら、後衛のゴーレムで対処するつもりだ。

 2段構えの布陣を敷いたものの、それでもまだ不安は残る。Cランクに匹敵する突進の破壊力、果たしてブロンズゴーレムで止められるのだろうか?


「もしスモールボアがブロンズゴーレムの囲みを抜けてきたら、絶対に横へ避けること。いいね、みんな?」

「了解です!」

「了解っす」

「……了解」

「よし、それじゃあボス戦を始めるよ」

――ガチャッ!


 3人に確認してから、扉を閉める。


――パァァァァ……


 ……! 僕たちのちょうど反対側、部屋の端に光の柱が2本立ったな。ホブゴブリンの時は真ん中付近にしか柱が出てこなかったけど、スモールボアの場合は部屋の隅にも柱が出てくるみたいだ。

 ただ、この距離感はあまりよろしくない。突進攻撃が速度に乗るのに、十分すぎる距離がある。


「構えろ、ブロンズゴーレム」

――ガシャッ!


 僕から見て、左のスモールボアは脚を斬って動きを止めてみる。右のスモールボアはブロンズゴーレム2体をぶつけて、突進攻撃の威力を検証する予定だ。それで止められなければ、後衛ゴーレムが脚部を狙う。

 さあ、どこからでもかかってこい、スモールボア!


「「ブゴォォォォォッ!!」」

――ダッ!!


 実体化と同時に、スモールボアが前足を高く上げて吼える。そしてそのまま、こちらに向けて同時に突進攻撃を仕掛けてきた。


――ドドドドドドド!!


 茶色の体毛に覆われた、体長2メートルあまりの筋肉の塊がこちらに向けて駆けてくる。音といい振動といい、中々の迫力だけど……残念ながら、父上の気迫ほどではないね。


「よし、切り裂けブロンズゴーレム!」

――ガシャッ!


 先に左のスモールボアが迫ってきたので、すれ違いざまブロンズゴーレムに両前脚を斬らせる。

 ……2体のブロンズゴーレムが、左右に分かれて突進攻撃を避ける。そこから姿勢を低くし、右手を目一杯伸ばしてロングソードを振り抜いた。


――ズバッ!

「ブゴォッ!?」

――ズザザザザ……


 2本のロングソードが、スモールボアの両前脚を深く切り裂く。ダメージを受けたスモールボアが、自重に耐えきれず前のめりに倒れ……派手な音を立てながら地面を滑っていった。

 よし、こちらはうまくいったようだ。


「ブゴォォォォォッ!!」

「ぶつかれ、ブロンズゴーレム!」

――ガシャガシャッ!


 右のスモールボアがやや遅れてやってきたので、ゴーレム2体で盾を構えながら駆け寄っていく。

 2メートル級の筋肉の塊と、重厚な全金属製の重装歩兵2体。さあ、激突の結果はどうなるだろうか?



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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