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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~  作者: SUN_RISE
第1章:大魔法剣士の覚醒

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1−27:第4階層


――ズバババッッ!!

「「「「グギィィッ!?」」」」


 同時に振るわれた4つの剣閃が、それぞれホブゴブリンの背を深く切り裂く。致命傷を負ったホブゴブリンは、そのまま前へと倒れていき……ドロップアイテムに姿を変えた。その中には、腕輪の形をした物も含まれている。


「よし、これで60戦、240体のホブゴブリン討伐完了だな」


 目標にしていた60戦が、思いのほかあっさりと終わった。扉を閉めて、ホブゴブリンが出てきて、ブロンズゴーレムで斬って倒し、ドロップアイテムを回収する……その1サイクルを90秒以内に終わらせているので、60戦を終えてもまだ1時間半も経っていない。

 それなのに、もうレベルが上がって15となった。レベル15と言えば、ランクEのモンスターとも互角以上に渡り合える強さとなる。


 なお、ティアナが2つ、ゼルマとフランクもそれぞれ1つずつレベルが上がったらしい。ティアナがレベル13でゼルマがレベル18、フランクがレベル19かな。フランクはもう少しで1人前(レベル20)に到達しそうだ。


「………」


 明らかに、ブロンズゴーレムの制御がうまくなったことによる恩恵だな。ホブゴブリンの出現位置が毎回ほとんど変わらないので、出てくる位置を見極めて背後に回り込み、実体化と同時に一撃をお見舞いする……そんな制御を難なくこなすことができるようになった結果、時短実現と安全性向上を両立できた。


「……あれ? ちょっと色が違うっすねコレ」


 ドロップアイテムをマジックバッグB(ギルド売却用)に入れていたゼルマが、()()()の液体が入ったビンをつまんで拾い上げる。おかしいな、ポーションは薄緑色でハイポーションは黄緑色のはずだけど。

 うーん、もしかしてこれは……。


「エクスポーションかな?」


 ホブゴブリンがエクスポーションをドロップする、という情報は確かにあったけど……昨日あれだけ倒してドロップしなかったので、嘘情報の類かと思っていた。こちらはマジックバッグA(自分たちで使う用)に入れて、帰ったら父上に相談してみようと思う。


「あとこれ、20戦ボーナスっす」

「ありがとう」


 ゼルマから腕輪を受け取り、確認する。ここまでは2連続でアンチパライズバングルが出たけど、今回はどうかな……?


「………?」


 なんだろう、ちょっと手応えが違うね。毒でも麻痺でも眠りでもない、別の状態異常を防ぐアーティファクトみたいだけど……この感じは、おそらく。


「これ、暗闇状態を防ぐアーティファクトみたいだ」

「それなら"アンチブラインドバングル"っすね。私たちみたいな前衛には是非とも欲しいアーティファクトっすよ」


 アンチブラインドバングルか、確か相場は170万ペルナだったかな? やはりアンチポイズンバングルよりは安いけど、前衛タイプの探索者からの需要が高いのでこの値段に落ち着いてるのかもしれないな。


「新しいアーティファクトとエクスポーションをダブル入手か」

「やはり、エリオス様はすごいです!」


 これで第4階層へ移動しようと思っていただけに、幸先の良いスタートが切れそうだ。



 ◇



 前に5体、後ろに3体のブロンズゴーレムを並べて階段を下りていく。この動作も良い訓練になるのだけど、最初よりもだいぶスムーズに行動できるようになった。

 そして、無事に階段を下りきる。


「さて、第4階層に来たけど……」


 事前に得た情報では、ここからレムレースの構成が大きく変わるらしい。バットは続投だけどレッドジェリー、ゴブリンが出なくなり、代わりに……。


「「「グルルル!」」」


 ちょうど前方で横一列に並んでいるような、二足歩行する青い犬顔のレムレース・コボルドが出現するようになる。ランクFだけどゴブリンより手強く、稀に剣や弓、盾などを使いこなす個体もいるんだとか。

 幸い、今回はコボルド3体とも棍棒装備なのでゴブリンとの戦い方がそのまま通用するだろう。


「行け、ブロンズゴーレム」

――ガシャガシャガシャ!


 前にいたブロンズゴーレム5体のうち、3体を真正面から突撃させる。残り2体は斜めに走らせ、やや横へと迂回させるような動きをさせた。

 青銅製の鎧から響く、金属同士が擦れ合う音……その音にコボルドが反応し、棍棒を構えたものの少しまごついているように見える。どうやら、どのゴーレムを迎撃するか迷っているようだ。


 これがゴブリンなら、本能で一番近いゴーレムに飛び掛かっていくものだけど……コボルドはなまじ中途半端に賢いので、動きに迷いが生じている。

 それが、致命的な隙に繋がってしまったようだ。


――ズバッ!

「グガァッ!?」

――ザシュッ!

「グボォッ!?」


 両脇のコボルドが正面のゴーレムに狙いを定めた瞬間、迂回させた2体のゴーレムに剣を振らせる。斬撃は見事命中し、コボルド2体は上下真っ二つになって果てた。


「グルル!?」

――ヒュッ!


 一瞬で仲間がやられ、残ったコボルドが動揺している。その隙を逃さず、迂回したゴーレム2体に剣筋が重ならないよう同時に横に剣を振らせる。


――ザシュゥッ!!

「グルァ……!?」


 コボルドはまともな防御体勢も取れないまま、剣をまともに浴びて上下3分割にされた。そのまま、コボルドはドロップアイテムへと姿を変えていく。


 ……対コボルド初戦は、無傷の圧勝で幕を下ろした。決して油断はできないけれど、コボルド相手でも十分に勝てることはよく分かった。


「はー、コボルドも危なげないっすね」

「……ここで、手こずる探索者も、多いのですが」

「ブロンズゴーレムさんの動き……まるで聖騎士団の皆さまのような連携でした。やっぱりすごいです、エリオス様!」

「ティアナ嬢は相変わらずっすね……」

「ふふ、ありがとうティアナ。ところで、ドロップアイテムは……?」


 コボルドが倒れた辺りを見てみると、もはや見慣れたポーションの他に1メートル四方くらいの大きさの青い毛皮が落ちていた。コボルドと同じ色の毛皮だ。


「あ、コボルドの毛皮っす。初戦で出るなんて運がいいっすね、エリオス様」

「……ちょっとだけ、高く売れる。1000ペルナ」

「1000ペルナか……」


 アンチポイズンバングルとかと比べると、どうしても見劣りしてしまうな……まあ、あれは逆に高すぎて売るに売れないんだけどね。そう考えると、1000ペルナはなかなか大きい金額かもしれないな。


「使い道も思い付かないし、ギルドで売っちゃおうか。さて、地図地図っと……」


 地図を取り出し、第4階層の形状を確認する。どうやら第4階層は一本道になっており、しかし第1階層と違って罠が仕掛けられているようだ。

 罠の位置も書いてはあるけど、一本道なので目印が無い。ここは慎重に進んでいくしかないようだ。


「罠があるんだな。目印が無いから、目視しながら慎重に進んでいこうか」

「エリオス様のおっしゃる通りに」

「ま、焦らなきゃ大丈夫っすよ」

「……それで、木矢の罠を踏んだのは誰だったっけ……?」

「あ〜っ! 私の黒歴史を言うなっす!」

――ガシャ、ガシャ、ガシャ……


 4人でワイワイと騒ぎながら先へと進んでいく。

 ……ブロンズゴーレムを先行させているので、罠を目視するのは少し大変だ。一本道は特に罠を踏まないよう注意しないとね。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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