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1−25:エリオスの成長


「はぁ、はぁ、はぁ……ふーっ。よし、今日はここまでにしようか。みんな、ありがとう」

「「「「ありがとうございました!!」」」」


 夕陽が西の空の向こうへと沈み切る、その直前で訓練を止めた。流れ落ちる汗を袖で拭いながら、僕の訓練に協力してくれた私兵団員たちにしっかりとお礼を言っておく。

 みんなのお陰で、ブロンズゴーレムの6体同時制御にもだいぶ慣れることができた。訓練開始当初と比べれば疲労感は劇的に減り、ゴーレムの動きも格段に良くなった。前半は『まあ、これくらいならなんとかなりますね〜』と余裕綽々だった私兵団員たちも、後半になると『エリオス様、ちょっとは手加減してくださいよ〜』と言われるくらいには、ゴーレムの動きも洗練されたものとなったようだ。

 その充実度の一方で、ゴーレム魔法の改良点もたくさん見つかったけど……これに関しては、伸び代が見えたのだと捉えておこう。レベルも1つ上がった感覚があったし、僕としてはもはや言うこと無しの結果だ。


「お疲れ様でした、エリオス様」

「ありがとう、ティアナ」


 用意してくれていた濡れタオルをティアナから受け取り、顔を拭く。ゴーレム防衛線を抜けてきた私兵団員に斬りかかられて地面を転がったりしたので、顔が砂と泥まみれになっていた。


「いやぁ〜、エリオス様さすがですなぁ」

「最後の方は全然勝てませんでしたね〜。さすがエリオス様!」

「おいおい、褒めても何も出てこないぞ?」


 私兵団員たちが近寄ってきたけど、なぜか全員が僕より身綺麗だった。後半は僕の連戦連勝だったはずなのに、なんか負けた気分だ……まあ、それはともかく。

 私兵団員が僕に勝てなかったのは、単に集団戦に慣れていないのが理由だろう。個々の能力だけ見れば僕やブロンズゴーレムや聖騎士団員には勝っていると思うけど、集団戦こそが本義の聖騎士団とは違ってソリス私兵団員は個人戦が得意な者が多い。だからこそ、ゴーレム制御に慣れて連携し始めた僕の攻勢に対応できなくなってしまったのだと思われる。

 これで訓練を積み重ね、私兵団員たちが集団戦闘に慣れてこれば……ブロンズゴーレム軍団や聖騎士団とも、集団戦で互角以上の戦いができるようになるかもしれないな。


「次は、12対12くらいでやってみようかな?」


 ゴーレム操作は、負荷をかければかけるほど熟達速度が上がっていく。その分体力的にも精神的にもキツいけど、今までできなかったことが少しずつできるようになっていくのはとても楽しい。

 また、レベルアップによりブロンズゴーレムを召喚できる数が12体まで増えている。負荷をかけるならやはり最大数が一番良いので、次の私兵団員たちとの訓練は8体の壁を越えた12体のゴーレムで行うのが良さそうだ。ダンジョン探索は安全・安定こそ至上命題なので8体までに留めるけど、訓練に関してはその限りではないからね。


 私兵団員たちとの訓練でゴーレム同時操作数の壁を突破し、ダンジョン探索で制御精度を高めていく。この繰り返しで、どんどんレベルアップと魔法力アップを図っていきたいところだ。

 アルカディア王立魔法士学校の入学試験は、今から2ヶ月後……それまでに、30体のゴーレムを同時に制御できるようになることが僕の目標だ。



 ◇



「ずるいっすよ、エリオス様」

「……ずるいです、エリオス様」

「ははは、昨日は2人とも休みだったからね。それは仕方ないよ」

「凄くかっこよかったですよ、エリオス様」

「むぐぐ……っす」


 私兵団員たちと泥まみれの訓練をした、その翌日。今日はゼルマとフランクが訓練に出てきていたので、ティアナも含めた4人でアルカディアスダンジョンへと向かっている。

 昨日の訓練に参加できなかったので、ゼルマとフランクが少し残念そうにしている。ダンジョンに潜るだけでなく、2人にも集団戦訓練に参加する機会をまた設けてやらないとな。


 なお、今回のダンジョン探索の第1目標は第3階層のボス部屋周回、第2目標は第4階層のボス部屋周回だ。第3階層のボス部屋ではホブゴブリンの数が4体に増えるだけらしいけど、第4階層からはフランク曰くボスの種類が変わるらしい。そこを目標に進み、余裕があれば20回連続討伐ボーナスの中身が変化するか確認するつもりだ。

 一昨日は僕のゴーレム操作の拙さや同時制御数の少なさから、第2階層までの探索に留めたけど……昨日もあれからゴーレム魔法を改良し、さらに私兵団員たちとの訓練を経てレベルアップしたことでブロンズゴーレムを15体召喚できるようになった。僕の制御技術がまだまだ未熟なので、実用制御数はブロンズゴーレム8体だけど……第3階層のボスはホブゴブリン4体らしいから、今の僕なら余裕を持って倒せるだろう。そこで20回連続討伐ボーナスを何度か得たあとは、第4階層に移ってボス部屋に挑戦だな。


 ちなみに、第4階層のボスはスモールボアというレムレースらしい。モンスターの場合のランクはEランクで、スモールと言いながらも2メートル級の体躯を持つ、突進攻撃が強烈なイノシシのような見た目のモンスターなのだとか。Eランクの中でも上位の実力を誇る、タフで手強い相手だ。

 それが2体出てくるらしいけど、それでもホブゴブリン4体より手強いそうだ。ホブゴブリンがEランク下位、スモールボアがEランク上位のモンスターらしいけど、同じランク内でも強さには結構な差があるようだな。


「よし、じゃあダンジョンに行こうか」

「行きましょう」

「……了解」

「了解っす。でもエリオス様、絶対に私たちにも訓練させてくださいっす!」

「もちろんさ」


 4人でアルカディアスダンジョンを目指して歩く。ダンジョンの建物はもう目前だ。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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