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17/30

1−15:踏破、第2階層


「……これは、とても運が良い、です」

「ポーションっぽい見た目だけど、これはなんだ?」

「……薄い青のポーションが、キュアポーションⅠ。水色のポーションが、キュアポーションⅡです。バットがドロップするのは、知っていましたが、私自身はほとんど見たことがありませんでした」

「なるほど、ドロップ率は低めなのか」


 青みがかった色をした、謎のポーション。それを見たフランクが正体を教えてくれた。


 キュアポーション……傷ではなく、状態異常を治すためのポーションだな。キュアポーションⅠは毒しか治せないが、キュアポーションⅡは麻痺も治すことができる。その点で、純粋な下位・上位互換のアイテムと言えるだろう。

 ただ、毒を使ってくるモンスターやレムレースはそこそこいるけれど、麻痺攻撃の使い手はあまりいないのが実情だ。実際、第20階層までに出現するレムレースで麻痺攻撃を使ってくるのは、第20階層だけに出現する"シビレマイマイ"くらいしか居ない。あとは樹海ダンジョンのような特殊なダンジョンでもない限り、麻痺攻撃をしてくる敵と遭遇することはほとんど無いのだ。

 ……とまあ、そんなわけで。アンチパライズバングルと似たような理由で、キュアポーションⅠとⅡはそこまで値段に差が無かったはずだ。


「こいつは大事にとっておこう。また使う時がくるかもしれないからね」


 毒攻撃を仕掛けてくるレムレースは、第8階層以降にしか出現しない。そこへ到達するまでには、まだまだ時間がかかるだろう。

 ……それでも、第2階層からは毒ガスの罠があるからな。全て固定罠なので近付かなければ無害だけど、備えておいて損は無いだろう。


「よし、先に進もうか。今日は第2階層のボス部屋まで行って、そこで周回したら探索終了だ」

「「「了解」」」

「よし、ロックゴーレム。先に進んでくれ」

――ゴゴゴ……


 罠が無いであろう左ルートを、ロックゴーレム2体を先頭にして進んでいく。仮に地図が間違っていたとしても、ロックゴーレムが先に罠を踏んでくれるので安全性は格段に高まるはずだ。

 その分、進行速度が犠牲になってしまうけど……それはもう仕方ないな、安全には代えられないのだから。


――ガシャン、ガシャン、ガシャン……


 もちろん、最後尾はブロンズゴーレムが担当だ。Eランク相当のレムレースすら瞬殺する、僕の切り札で最大戦力だからな。最も厳しいポジションを任せている。

 この布陣なら、余力をもって第2階層を突破できるだろう。



 ◇



「……よし、無事ボス部屋に到着だな」


 第2階層も終わり、目の前に下り階段とボス部屋の入り口が見えてきた。

 ……道中でレッドジェリー4体、ゴブリン5体、バット4体と遭遇し、全てゴーレムで倒すことができた。バックアタックも2回ほどあったけど、ブロンズゴーレムがうまく捌いてくれた。ゴーレムで前後を挟む布陣は大正解だったみたいだ。

 ダメージを無視できるからこその捨て身攻撃で、ロックゴーレムがバットを次々と打ち落とす様もなかなか見応えがあったな。


 ……さすがに、さっきのバットでドロップ運を使い切ったのか、何もドロップアイテムは無かったけど。既に多くの貴重なアイテムを入手できているので、僕としては悪くない気分だ。


「みんな、予定通りここでもボス周回をしようと思う。それでいいかな?」

「もちろんです、エリオス様」

「構いませんよ。むしろ、私も楽しみになってきたっす!」

「……エリオス様のお考えの通りに」


 3人から同意を得たので、ロックゴーレムに扉を開けさせて中に入る。第1階層のボス戦は、20連勝することで特別なドロップ品を得ることができたけど……果たして、第2階層はどうかな?

 仮にドロップ品を得られるとして、ボスはホブゴブリンのまま変わらないけど……それでも、ドロップ内容は変わるのだろうか?


 それを今、試してみよう。


――バタン


 全員が部屋に入り、最後にフランクが扉を閉める。

 ……ボス部屋に、3本の白い光の柱が現れる。その光の中から現れたのは……。


「「「ギャガァァァッ!!」」」


 事前の情報通り、ホブゴブリンが3体だった。1体増えただけでも、なかなかの威圧感だな……だけど!


「ゼルマ、フランク、牽制を頼む! 僕がゴーレムで仕留める!」

「「了解!」」

「よし、全員行け!」

――ドスッ! ドスッ!

――ガシャン!


 ロックゴーレム2体に加えて、ブロンズゴーレムもホブゴブリンに向けてけしかける。そこにゼルマとフランクも加われば、さすがにこちらの方が過剰戦力だった。


――ゴスッ!

「ギャッ!?」

――ズバッ!

「ギッ!?」

――ドゴォッ!

「ギャギッ!?」


 わらわらと集まってくる敵に動揺したのか、ホブゴブリンはあっさりとゴーレム軍団に倒された。後にはポーション3つがドロップしているようだ。

 ……おっと、レベルが上がったみたいだな。これでレベル11かな? 帰ったらまたレベルゲージで見てみないとな。


「レベルが上がった。どうやら11になったみたいだ」

「え、もうっすか?」

「……早いですね。やはり、ボス周回は効率が良いのかも、しれません」

「案外、そろそろ2人もレベルアップするんじゃないかな?」


 ダンジョンの階層を30分間うろつくよりも、ボス部屋を20周する方が経験値もドロップ品もたくさん得られるからね。罠に引っ掛かる心配も無いから、こっちの方がよっぽどいい。

 ……ただ、今度はまた別の問題も出てきてしまったわけだけど。


「そろそろ荷物が重くなってきたな……フランクは、キツくないか?」

「……まだまだ、全然大丈夫です」

「分かった、でも無理はしないでよ?」

「……了解」


 最初こそ自分でリュックを背負っていたのだけれど、途中からフランクに持ってもらっていた。ポーションやハイポーションでリュックが一杯になってしまい。中身が液体だからなのかかなり重たくなってしまったのだ。予備のリュックを僕も背負っているけど、そちらも徐々に中が埋まりつつある。

 ……本気でボス部屋周回をするなら、"マジックバッグ"というアーティファクトが必要だな。見た目よりも物がたくさん入り、しかも重さを感じないアーティファクトであるマジックバッグ……ⅠからⅣまでの等級があるけど、最下級のマジックバッグⅠなら今の僕でもどうにか手に入れられるかもしれない。


 それまでは、この重さも我慢だな。


「よし、2回目のボス狩りを始めよう。フランク、外に誰かいるかい?」

「……大丈夫です、閉めますよ」


 フランクに再度扉を開け閉めしてもらう。さて、目標は40回だけど……どこまでいけるかな?



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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