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1−13:ボス部屋の秘密


「……ああ、やっぱりそうだったんだ」


 アンチポイズンバングルをリュックに入れた僕たちは、再びホブゴブリンとの戦いに没頭する。今度はゼルマとフランクも戦闘に参加し、最初の20連戦を超えるスピードでホブゴブリンを狩っていった。

 ちなみに、扉の開け閉めはティアナと僕の仕事になった。僕はあえて前に出ず、直接戦闘はゴーレムに任せることにしたわけだ。


「ほら、こっちだこっち!」

「ギャガ!?」

――ゴギッ!

「グブッ……!?」


 ゼルマとフランクがホブゴブリン共の注意を引いてくれるおかげで、ロックゴーレムが攻撃を受けることもない。胴体に走ったヒビが気になって補修魔法を掛けたものの、それで新品同様の姿を取り戻したロックゴーレムがリーチの長さを存分に活かして、順調にホブゴブリンを殴り倒してくれている。

 ゴーレムへの指示出しに慣れたからか、あるいはレベルが上がったおかげか……細かく動きを指示できるようになったので、ゼルマとフランクとの連携もお手の物だ。




「グギッ……!?」


 そして、これで40回目の連続ボス討伐完了だ。僕の仮説が正しければ、これでおそらく……。


「あ、ポーション以外になんか落ちてるっす」

「……木製の、腕輪」

「よし、僕に任せて」


 ドロップした木製の腕輪を手に取り、眺めてみる。一目見て魔力の流れが変だったので、これもアーティファクトで間違い無いようだ。

 さて、注目の効果だけど……。


「……どうやらこれは、()()を確実に防ぐ効果を持った腕輪みたいだね」

「麻痺? 毒じゃなくてっすか?」

「ああ、そうだ」


 名前は確か、アンチパライズバングルだったかな? アンチポイズンバングルと比べるとやや汎用性が低いので、お値段もその分控え目だったはず。それでも100万ペルナくらいはした気がするので、これもまた有用かつ貴重なアーティファクトとなる。

 ……特に、麻痺攻撃持ちのレムレースが第21層以降大量に出現するダンジョンがあって、そこでは必須級の装備らしい。確か"樹海ダンジョン"と呼ばれてたと思うけど、どこにあるダンジョンだったかな……?




 ……まあ、それはともかく。通算40回目、アンチポイズンバングルがドロップしてからは20回目のボス戦勝利で、アンチパライズバングルがドロップした。ゆえに、僕の仮説はおおよそ正しいと言えるだろう。

 "おおよそ"と言ったのは、これが連続20回ボス戦勝利毎にドロップすることは確定していても、連続判定が途切れる条件が分からないからだ。

 部屋から出たら途切れるのか、あるいは他のパーティがボスと戦ったら途切れるのか……仮に部屋から出たら途切れるとして、パーティの一部の人だけが部屋を出入りしたらどうなるのか。仮に他パーティがボスと戦ったら途切れるとして、その他パーティに元パーティの人が一部入っていたらどうなるのか。その辺の細かい条件部分に謎が残っているので、絶対にこうとは言えない状況ではある。


 まあ、その辺の検証は後だ。今やるべきことじゃない。


「よし、このままもう20戦……と思ったけど」

「お昼になりましたね。ダンジョン内で無理は禁物ですし、どこかで休憩しましょうか」

「そうしようか。さて、どこで休憩するのがいいかな……?」


 第1階層だから、一旦外に出てもいいけど……ダンジョン内で安全な場所ってどこか無いかな?


「ああ、それならちょうどここがいいっすよ」

「え? ボス部屋で休憩って大丈夫なのか?」

「……探索者の不文律で、ボス討伐後は、ボス部屋を休憩スペースとして、活用していいことになっています。扉を開け閉めするまで、ボスは再出現しませんし……ボス部屋は、中にいる探索者が全滅するまで、外からは開けられないように、なっていますから。安全は、保証されています」


 ボス戦は相手を全滅させるまで退けず、部屋外からの助力も見込めない。加えて、ボスは同階層に出現するレムレースよりも遥かに手強い。そんな相手と死闘を演じた後くらい、その場所を休憩スペースとして使ってもいいんじゃないか……そんな探索者たちの思いが、不文律として生きているのだろう。

 それなら、ありがたく使わせてもらおうかな。


「……さて」


 背負っていたリュックから、準備していたシートと昼食を取り出す。シートを床に引いた後は、靴を脱いだ後シートの上に4人が丸くなって座った。

 今日はソリス家が伝統的に野戦食としている、バンズの間に肉とチーズとレタスを挟んだシンプルなハンバーガー……僕たちが"ソリスバーガー"と呼んでいるものを持ってきた。

 もちろん、そのまま食べても普通に美味しいのだけど……ここにオレンジ果汁水を合わせて食べるのが、僕の一番好きな食べ方だ。もちろん今日も持ってきている。


 ちなみに、ゼルマとフランクも僕と同じソリスバーガーを持ってきている。よほど特別な理由でも無い限り、戦地においては私兵団員もソリス家当主であっても、同じソリスバーガーを食すのがソリス家の伝統なのだ。


「いただきます」

「「「いただきます」」」


 ただし、このメンバーの中でティアナだけは例外だ。ティアナは私兵団員ではないので、ソリスバーガーを食べる習慣がそもそも無いし、今も別のものを食べている。

 加えて、ティアナが肉を苦手としているのも食べない理由ではある。僕は食べたくて食べているが、やはり無理強いは良くないからな。


 ちなみに、ティアナの食事は長パンの真ん中に切り込みを入れ、そこにレタスやトマトなどを挟んだものだ。それを美味しそうに食べているティアナを見るだけで、僕はもうお腹一杯になれそうだ……。


「エリオス様、手が止まっていますよ?」

「ん? ああ、ちゃんと食べてるよ、ティアナ」


 ソリスバーガーを両手で持ち、そのままガブリとかじりつく。ソリスバーガーは手掴みでそのまま食べるのがソリス家の伝統だ。普段はマナーに厳しい父上であっても、ソリスバーガーを食べる時だけは伝統に従い、手掴みで豪快に食べているのだ。


 ダンジョンの中とは到底思えないような、美味しく楽しい昼食会が続く。既に十分過ぎる成果は上げているので、あとは無理せず探索すれば終わりだな。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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