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1−10:ボス部屋とブロンズゴーレム


「お疲れ様です、エリオス様。余裕の勝利でしたね」

「ありがとう、ティアナ」


 やや消化不良気味に帰還すると、ティアナが早速労ってくれた。これだけで気分がマックスまで上がるんだから、現金な人間だよなぁ僕ってさ。


「エリオス様、あれ(ゴーレム)はちょっと反則っすよ。ていうか、いつの間にそんな魔法が使えるようになったんですか〜?」

「魔法の勉強をしてる時に思い付いたんだよ。試してダメなら自分で戦うつもりだったけど、うまくいってよかった」

「……ゴーレムは、強い。命を消耗、しなくて済む……」


 そう、そうなのだ。フランクの言う通り、ゴーレムは言わば魔力で作り上げた人なのだ。本来は人が命がけで行うことを、魔力の消耗に置き換えて実行できるという強みがある。

 人の命は失われてしまうと取り戻せないが、魔力の消耗は休めば簡単に取り戻せる。その点だけでも、ゴーレムには他に代え難い長所があるわけだ。


「………」


 とりあえず、持ってきたリュックサックの中にドロップ品のポーションを入れる。元々10個ポーションを持ってきていたので、これでポーションの数は11個になった。

 さて、先に進むとしようか。



 ◇



 結局、あれから遭遇したのはレッドジェリーが2体だけだった。どちらもロックゴーレムが一撃で倒し、レッドゼリーが1個ドロップしたので回収しておいた。

 レッドジェリー……ゴブリンよりも更に弱く、しかもノンアクティブタイプの敵なので向こうから襲い掛かってくることは無い。先制攻撃であまりに簡単に倒せてしまうので、逆にスルーされることも多いそうだ。


「ねえねえエリオス様、そのレッドゼリーなんすけどね……」

「知ってるよ、すごく不味いんだよね? 僕も食べたことがあるから、身をもって体験済みだ」

「あ、そうなんすね」


 そんなレッドジェリーがよくドロップするのが、レッドゼリーというこれまた紛らわしい名前の物なんだけど……これ、食べられるけど物凄く不味いのだ。栄養素は豊富に含んでいて、健康には良いらしいけど……。

 日々の訓練にあまり手応えを感じられなくて、焦った僕が9歳になったばかりの頃に手を出したのが、このレッドゼリーだった。一口食べて、そのあまりの不味さから気絶してしまい……意識を取り戻した後にレベルゲージでレベルを測ると、レベルが1つ上がっていたことに気付いた時には何とも言えない気持ちになったものだ。


 まあ、その後はいくらレッドゼリーを食べてもレベルが上がらなかったので、最初のあの1回だけが特別だったのだろうと思うけど。


「……ん?」


 しばらく進むと、下りの階段が見えてきた。これを下りれば第2階層に進めるみたいだけど……その手前に、もっと気になるものを見つけた。


「扉……?」

「あ、そこは入らなくてもいいっすよ、エリオス様。いわゆるボス部屋って呼ばれてますけど、別に倒さなくても先には進めるので」

「ふぅん……?」


 地図には書かれていない、謎の部屋。ゼルマはボス部屋だと言っていたけど、何か強いレムレースでも出てくるのだろうか?


「参考までに、第1階層のボス部屋って何が出てくるの?」

「確か、第1階層は……なんだったっけ? あんまり覚えてないなぁ……」

「……第1階層は、ホブゴブリン、2体です。ゴブリンを、一回り大きくした、レムレースです」

「ああ、そうだそうだ忘れてたよ」

「……第8階層以降は、普通に出てくる、レムレースです」


 ゼルマは記憶があやふやだったようだけど、フランクはちゃんと覚えてくれていたようだ。とてもありがたい情報だな。

 ……それにしても、ホブゴブリンか。ゴブリンよりは手強いみたいだけど、どんな相手なんだ?


「ホブゴブリンって、モンスターとしてのランクはEですから、そこまで強くはないですよ?」

「……なるほどね」


 ゴブリンやレッドジェリーは、モンスターとして出てくる時は最弱のFランクに指定されていたはず。それよりランクが1つ上なら、今の僕にはそれなりに手強い相手となるはずだ。


「よし、それならボス部屋に挑戦だな」

「……えっ? ちょっ、私の話聞いてました!?」

「聞いてたよ? そのうえで判断材料にしたいんだ。僕がもっと下の階層に進んでも大丈夫なのか、ホブゴブリンと戦うことで確かめておきたい。ここは入り口から近いから、余裕もあるしね」

「な、なるほど」

「……エリオス様、良き考え、です」

「私も賛成です」


 3人から許可を貰えたので、ボス部屋に挑戦することにした。


「ちなみに、ホブゴブリンと戦うにあたっての注意点はある?」

「……ホブゴブリンは、武器持ち。棍棒を、振るってくる」

「ゴブリンより力も強いっす。エリオス様のロックゴーレムでも、少しはダメージが入るかも……」


 なるほど……よし、それなら。


「出し惜しみは無しでいこうかな。"マニュファクチャー・ブロンズゴーレム"」


 ロックゴーレムに加えて、今の僕が常用できる最強のゴーレム――青銅製のゴーレムを1体だけ召喚しておく。魔力がだいぶ減ってしまったが、必要経費だと割り切っておく。


――ガガガガガガッ!

――ズゥン……


 空中に青銅製のパーツを浮かび上がらせ、そのまま一気に組み立てる。脚、胴、腕、頭……人の形を組み上げた後は、追加で武具を装備させていく。青銅製だと強度に余裕があるので、普通の剣や盾くらいなら装備させることができるのだ。


 ……やがて、身長160センチほどの立派な青銅製騎士型ゴーレムが完成した。アルカディア聖騎士団の制式装備姿を参考にして、右手にロングソード、左手にラウンドシールドを装備させてみたが……うん、なかなかの出来栄えだな。

 とりあえず、その場で剣を振らせてみる。前世の僕(ドグラス)が作った時に試しているので、大丈夫だとは思うが……念のため、関節がちゃんと動くか確認しておこう。


「ブロンズゴーレム、その場で剣を振ってみろ」

――ブンッ! ブンッ!


 風切音が聞こえるくらいに、力強く滑らかな素振りを披露してくれた。体は左右対称に作ってあるから、この様子だと左腕も大丈夫だろう。

 よし、次は足の動きの確認だな。


「ブロンズゴーレム、その場で膝を高く上げて足踏みだ」

――ドスッ、ドスッ、ドスッ、ドスッ、ドスッ……


 ブロンズゴーレムが重厚かつ軽快な足踏みを披露してくれた。あとは実戦を見ながら微修正するだけでいけそうだな。


「え、このゴーレムちょっとヤバくない?」

「……普通に、俺より強い、かも」

「ふふ、エリオス様はこの程度で終わる方ではありませんよ」


 ティアナは気が付いてるみたいだな。この魔法は、あらゆる金属を用いたゴーレムを製作することが可能だということに。

 もっとも、ミスリル以上の特殊金属は作ろうにも魔力消費量が多すぎるので、それを補うための触媒は絶対に必要だけどな。触媒無しで作れるのは、おそらく鋼鉄製辺りが限界だろう。

 ゴーレム製作の触媒として一番適しているのは魔石で、モンスターが体内に保持しているものを使うのだが……高ランクのモンスターほど魔石の品質が良くなるので、結局はダンジョン外で強い相手を倒さなければ高性能ゴーレムは得られないわけだ。


 まあ、そんな先のことを考える必要はまだないと思うけどな。少なくともアイアンゴーレムさえ作れれば、第20層くらいは余裕で踏破できるだろうから……。


「さ、行こうか、ボス部屋へ」


 さて、僕がどこまで通用するのか……試させてもらおう。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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