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那覇基地③


 やがて、西村二等空佐は静かに立ち上がり、テーブルに置かれたヘルメットを手に取った。彼の動きは無駄がなく、任務に対する強い決意が表れていた。ブリーフィングを終えたパイロットたちは、装備室へと向かう準備を整え、彼もその一人だった。


 装備室に足を踏み入れると、各自の名札が付いた専用ロッカーが整然と並び、フライトスーツ、Gスーツ、ブーツがきちんと収められていた。壁には最新の装備点検手順や緊急手順が掲示され、緊張感が漂っていた。


 西村はまず、耐火性に優れたノーメックス製のフライトスーツを取り出し、着用する。スーツのジッパーを一気に上まで引き上げ、袖口や襟元を丁寧に調整した。その後、Gスーツをフライトスーツの上から装着する。Gスーツは高G環境で血液が下半身に集中するのを防ぐため、パイロットの意識を保つために重要な装備である。彼は、Gスーツの各部分を脚部と腰部にしっかりと巻きつけ、エアホースの接続部分を確認しながら、確実に装着した。


 次に、西村は専用のブーツを履き、ストラップをきつく締めた。これらのブーツは、フライト中のペダル操作を正確に行うために設計されている。彼は靴紐を確かめ、膝当てと肘当てを装着し、最後にヘルメットに手を伸ばした。


 ヘルメットをかぶり、ストラップを締める際、西村は酸素マスクのフィット感とバルブの作動状況を慎重にチェックした。酸素供給ラインが正確に接続され、通信機器も正常に動作することを確認する。これらの装備がパイロットの生命線であり、全てが万全であることを再確認する瞬間だ。


 装備室を出た西村は、少しの間立ち止まり、東の空を見上げた。夜明けが近づき、空が淡く色づき始めている。彼は冷たい朝の空気を深く吸い込み、胸に収めた。これからの任務が日本の防衛に直結する重要なものであることを、改めて実感する。


 すべての装備を完璧に整えた西村の表情は、完全に任務モードに切り替わっていた。静かな決意を胸に、彼は力強い足取りで滑走路へと向かった。


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