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社会人地獄

作者: 陽登 燈

※最近見た事の風刺的落書きです。

 さらさらとした砂が、滑りやすくそして脆く崩れる。


 広大な傾斜の砂に手と足で楯突いても、力の分だけ崩れる乾いた砂達。 

 さらさらと音を立てて流れるように、そこに行く事が当たり前の様に俺を誘う。まるで川の様に。


 上の方で人が歩く度、崩れてくる砂が駆けてきて、俺を下へと押し戻す。声を掛けても見向きもしてくれない。

 下の方ではカサカサと蠢きの音がする、決して俺を優しく受け止めてくれる者では無い事位は察知出来る。


 そんな優しい世界なんて、どこを探しても見当たらない事くらい、分かってる。  


 焦る手に汗が滲む。「塩味か、己の味付けなんて笑えない、本当に笑えない」とぼやくと、フラグにしか思えずに「嫌だ!嫌だ!」とまたフラグを泣きながら立てた。 



 ただ働いて、ただ日々を過ぎて、ただ命を消費するばかりの中で、今俺の手の中にあるものは、ただの砂。


 上を見れば、昨日までの自分の姿。同じ様な格好の奴達があくせくと走り回っている。今思えば何のために奴達は、そして俺は命を消費してたんだ……。まあ、もう考えても意味ないか。


 上から、「助けて!」の声が聞こえ、見るとJKが足を痛めてへたり込んでいる。 周りの社会人男が「大丈夫か!」と威勢よく駆け寄り、おぶって救出した。

 「困った時はお互い様!いつでも助けを呼ぶんだよ、ニッコリ」の顔目掛けて俺は助けてを叫んだ。一瞥くらいは得られたかもな。



 本当くだらない世界だったわ。見たくないものはとことん見ない。 

 下の奴はきっとここから、こんなくだらない世界を見ながら、ああ美味そうだと涎を垂らしてたんだろう。

 いや、こんな奴ら食っても美味い訳が無い。きっとドブの味だろうけど、我慢してるんだな、下の奴は。



 もう、体力が尽きて動けない。

 死んだら、下の奴に生まれ変わろうかな。

 なあ、蟻地獄、もとい、社会人地獄クソ野郎。

 俺はお前に食われる為に生まれた訳じゃ 





 「はい、捕まえた♪ずっと、待ってたんだよ、もう一生そばにいてね♪」と、超絶美少女が俺をその胸に引き寄せる。  



 そんな妄想で、目の前の怪物の姿を掻き消した。 



 走馬灯じゃなくて、妄想で終わる事もあるわな。こんなクソな世界、見返したくも無い

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