第7章 シャロ、カタカタパンの国に向かう
オレオンに帰還したシャロ達は、ホワイトドラゴンを皇帝に返還し、しばらくオレオン国立図書館で3人は、ルーファラの剣についての資料を読んでいた。
実はルーファラの剣は元々アリティンティリウスにあったが、アリティンティリウスが魔族に支配されてから様々な魔族によって植民地化した国に行き渡ったと言われる。
文献を漁ってもルーファラの剣に関連する資料は殆ど見つからず、3人がオレオンを出ようとすると、1人の政治家が声をかけた。
「君たちは…もしかしてフェアリーランドを救った勇者…ですか!?」
シャロは答えた。
「そうだ、それがどうしたと言うのだ」
政治家の男は安堵し、話し始めた。
「私は二アール・キヅナ。
実は数年前まで隣のカタカタパンの国で法務大臣を務めていた男だ。
実は、私の娘、ナオが植民地となったカタカタパンの国の魔族に拉致されたということが魔王から連絡が届いた。
オレオンの兵力はまだ魔族と戦えるほど強くはない。
そこで…カタカタパンの国にいる娘を助けて欲しいのだ」
シャロは考えた。
「だが、僕は3人しかいない…本当に助け出せるのだろうか…」とシャロが呟くと、サナトルは言った。
「いえ、私達は、まず6つのアイテムを手にし、エルル・ヴァラダスを…」
二アールは、ポケットからナオの肖像画を出した。
「頼む、これが俺の娘なんだ…」
どうやらシャロとサナトルは、ナオが好みの顔だったようで、「絶対救い出してみせる!」と無理な約束をしてしまった。
その夜、バルバリアのホテルで3人は、話し合った。
ジョンは「まず、エルル・ヴァラダスを呼び出すことが先決だろ!」と言ったがシャロは「6つのアイテムを手に入れる間にきっとナオは、殺されてしまうリスクもある。
それに、ここでナオを救えば、オレオンの同盟国にも顔が効くようになる。」
サナトルは今になって魔国に行くことが不安になり、顔が青ざめていた。
「行くならお前1人で行け」とジョンが言うと、シャロは頷いた。
翌朝、シャロはダーチョに跨り、魔族に支配されたオレオンの西、カタカタパンの国に向かって走っていった。
武器は、ナイフ。そして食糧は、干し肉数枚。
ダーチョの体力は凄まじく、4日も経たないうちにカタカタパンの国に辿り着いた。
魔族たちが一斉にシャロに矢を放つ。
シャロは瞬時に矢を避けていく。
大砲が撃たれる、しかし、シャロはそれすらも避ける。
そして、城門を飛び越え、魔国内を走り抜ける。
襲いくる魔族達、だがホーマーという、手から球体状の爆弾を具現化する魔法で、次々と魔族を撃破する。
しかし、魔族の1人、ニンジャ・オーガが彼に立ち向かった。
ニンジャ・オーガもシャロと同じぐらい素早く、彼の投げる手裏剣に交わしきれず、シャロは左膝に手裏剣が突き刺さる。
少し目眩を感じたシャロだがそれでも走り続けた。
しかし、弱ったシャロの腹をを一本の矢が突き刺した。
シャロはその場に倒れ込んだ。
その時、背後からジョンとサナトルが現れた。
「情けねえな!」とジョンは、シャロを持ち上げ、ジョンは掌から、ウルンデルアという紫のレーザー状の熱光線を出す呪文を放つ。
サナトルは、彼の作ったペンシルロケットで次々と魔族を撃退していきながら、ジョンはシャロに回復魔法をかけた。
シャロは目覚め、3人はカタカタパンの皇居にたどり着いた。
サナトルはリュックサックからダイナマイトという爆弾を出し、城門を破壊。
そして、3人は、皇室にたどり着いた。
そこには、ジョンの兄、ルイがいた。
「ルイ・・・」
「裏切り者のジョンか…
何のようだ」
捕らえられたナオは、衰弱しており、ルイに茶を差し出した。
「こいつは、良い女奴隷だ。可愛げもある。」
「悪いが、弟よ、ナオを返してもらいたい…そしてカタカタパンの国を解放しろ」
「それは、できない…。まぁどうしてもというなら、俺を殺せ。」
ジョンは、ルイの差し出した剣でルイを刺そうとした。
すると走馬灯のようにルイとの思い出が蘇った。
子供の頃、ジョンとルイが魔国内の草原を走り回ったことや、ルイから勉強を教えてもらったこと、ジョンが虐げられていた時ルイが助けてくれた思い出が脳裏を描き巡る。
「遅い!!!」
ルイは、ジョンの鳩尾を殴る。
「俺を殺そうなんて…100年早い!
悪いが父上からもお前を殺せと言われてる。
死んでもらうぞ!!!」
ジョンはルイに涙ながらに言った。
「兄さん、いっぱい思い出を作ってくれた殺されるなら本望だ…」
「感情が理性に負けたら動物と同義よ!
動物は動物らしくくたばりやがれ!」
シャロはショルダーバッグに入ったナイフをルイの胸に目掛けて投げた。
「まさか…」
そのナイフは、シャロの怒りの念が込められており、その念の威力は凄まじく、ルイの体を破壊させるには充分だった。
ジョンは「ルイ!」と叫ぶとルイは「弟よ!強くなったな!!!!」と言い彼の体は爆発した。
そして、シャロはナオを抱き抱え、オレオンの国へ戻った。
その後、魔王がいなくなったカタカタパンの国から兵や魔族はカタカタパンから撤退し、
カタカタパンの領土は国民に返還され、捕らえられていたカタカタパンの王ナプレオン王は、彼に礼として「ルーファラの剣」を渡した。
「カタカタパンを救ってくれた真の勇者に感謝を意を表する」と彼は伝えた。
残り3つのアイテムを探すたびに再度出るための準備を3人はオレオンで行っていると、ナオが彼に声をかけた。
「ありがとうございます…あの、シャロさん、サナトルさん・・・」
シャロはナオを抱いた。
「・・・辛かっただろうね、父とゆっくり休むと良い」
そして、シャロはナオに接吻を交わした。
ナオは顔を真っ赤にした。
シャロは「・・・君可愛いね、嫁さんにもらいたいぐらいだ」と残し、オレオンを後にし、ジョンとサナトルの2人もシャロについていった。