第4章 奇跡的に頭の悪い鳥類ダーチョに乗った3人
ジョンとナハトとシャロは小型舟を買い、東のジアンジ大陸の東ショーロンポーの国を目指した。
舟の中では、シャロは、常に読書を続け、ナハトは料理を作り、ジョンは舟の操縦をした。
「シャロさん、読書ばかりしてないで働いてくださいよ」と働かないシャロに文句を言った。
「な、なぁに!?俺はショーロンポーの国の知識を身に付けてる最中なんだ」
「屁理屈は達者なんですね」
「何!?もういっぺん言ってみろ…
それに俺はただショーロンポーの歴史を学んでるわけじゃない。英雄の指輪がどこにあるかを調査してるんだ。」
「リョカク・ウンメイという軍師が持ってるらしいですよ。」
ぐぬぬ、とシャロは拳を握った。
知識で、ナハトに敵わない…とわかったシャロは、ナハトの調理を手伝った。
ジョンは2人を見て、「仲が良くて素晴らしいじゃないか!」と言った。
調理をしながら、シャロはナハトに話しかけた。
「それにしてもショーロンポーの国は、もともとは、一つの国家ではないと聞いた。」
「ああ、ショーの国、ロンの国、ポーの国と分かれておりましたが、シ・皇帝によって統一されました。
しかし、現在3国の独立戦争が起きているようです。」
「独立すれば良いのに」
「そうはいかないんですよ。
リョカク軍はとても強く、何度も革命軍を打首にしてきました。
逸話にはなりますが、どうやらこの首は貴族や鳳凰と言った鳥類のエサになってるそうです。」
「鳳凰…?それは神話上の存在ではないのか?」
「それを言ったら他国から見ればエルフやドワーフといった種族も神話上の存在ですよ…」
「なるほどなぁ…」
こうして、2人が話している間に料理は完成した。
「ジョン様、できあがりました」とクラーケンのソテーとサラダとパンを食卓に並べるナハト。
シャロは、食卓に麺料理を並べた。
「この細長い麺料理は?」とジョンは、シャロに尋ねた。
「これは、アリティンティリウスの郷土料理のパスティアという麺料理です。
本当はグンルル・フワンレという麦から取れる小麦を利用したかったけど、アグルアニでは、グンルル・フワンレは、なかったので、代わりに、メンエル粉を使いました。
食感は異なりますが、きっと美味しいです。
グンルル・フワンレは、黄色い粉末なのですが、メンエル粉は、白いのです」
野菜と魚醤と、ニンニクとゴブリンの肉をふんだんに使ったこの麺料理はジョンの食欲を掻き立てた。
あっという間に3人は食事を平らげた。
「さてしばらくは乾パン生活ですね」
「まぁ、良いだろう。2人ともよく働いてくれた、ゆっくり休め」
そして、2人は船内のハンモックがある部屋に移動した。
「ナハトって大学も行けて羨ましいなぁ」とシャロはこぼした。すると、ナハトが過去を話し始めた。
「元々父はアグルアニでも有数の科学者でした。年収もそこそこ高く、僕は幼少期から学問を叩き込まれました。数学や技術、農学においても長けていた父でしたが、とある異説を唱えたのです。"異世界ウォーリン"という世界が存在すると。
アグルアニは、この世界アルランを中心とした考えを持っており、天がアルランの周りを回ってるといまだに信じています。
もちろん、天には、まだいけません…しかし、父は天が周りにあり、アルランが回ってると考えました。
そして、さらに天の向こう側には異世界ウォーリンがあると信じて、異世界へ行く方法を模索中に暗殺されました。
犯人は誰かは、わかりません。
父の跡を継いだ僕は、世界についてより深く知るために大学へ進学しました。
そしてこの旅を通じてもっと色んなことを知りたい。まずは、エルル・ヴァラダスという神の存在証明をしたいと考えています。」
「なるほどなぁ。」
「そういえばシャロは、大学は出てないのか」
「俺は、アリティンティリウスの生まれだが、魔王の迫害に遭い、アグルアニに避難した身だ。
学問は全て独学だよ。それにもともとは、アグルアニで兵士として戦ったり事業を起こしたりもしていた。
しかし、魔族に支配された国を解放して、そして最終的には大魔王ガンガガ・ジャイヤーを倒し、誰もが幸せな社会を築き上げる」
「・・・確かに魔族優生思想は、人間側からしたら意を唱えたくはなりますよね。
しかし、忘れてはいけませんよ、魔族も人間からの迫害を多く受けてきました。
特にロクロク族の迫害は酷いものです」
「人間に酷似しているが、夜になったり感情が昂ると、首が伸びる魔族の一種か」
「彼女達に対して、我々人間は奴隷にしたり、彼女達を魔族という理由で迫害をしたり、奴隷にしたり、食肉にしたりした過去があります。人間と魔族の共存これを目指すべきです」
「そうなると、どこからを人間とするかどこからを討伐対象にするかが議題になるな。
事実、バトールのファラン地方ではオークを家畜として扱っており、キャトル・オークなったオークは、解放したとしても、いずれ他の魔獣に食い殺される。
だからこそ、言語を用いる魔族にだけ権利を与えるというのはどうだ?」
「うーん、例えば既に家畜化した魔族に対して、なるべく痛みのない方法で屠殺したり、また食肉文化の廃止というのはどうでしょう?」
「国民を栄養失調にする気か・・・まぁこの話は埒が開かない。今日は寝るよお休みナハト」
「お休みなさい、シャロ」
こうして、船を漕ぎ続けて2週間、ジアンジ大陸に3人はたどり着いた。
「よっしゃあ!」もシャロは、浜辺で寝転んだ。
そして3人は、オレオンの首都バルバリアに向かって歩き始めると、ダーチョという2メートルほどの頭の悪そうな鳥にまたがる少年を見かけた。
「えっと…」
ナハトは、オレオン語を用いた。
「バルバリアに行きたいのだが、僕らにもダーチョを分けて欲しい、ほら、これアクセサリー」とナハトはネックレスを渡した。
「わあ!これでおっかあも喜ぶぞ!
ダーチョを連れてくるから待っててくれ!」
こうして、3羽のダーチョを少年は連れてきた。3人はダーチョにまたがり、バルバリアに向かうのだった。