第2章 シャロとひな
シャロがヒャットコ諸島にたどり着くまでに、彼は何度も飢餓と戦った。
クラーケンや、海獣が捕まえられない時は、クラッカーや野菜で過ごすしかなかったが、野菜も数日経ったら食べられなくなるし、クラッカーにも虫が沸いた。
シャロは、空腹を紛らす時、読書をした。
本は、3冊ほど持っていった。
エルル・ヴァラダス神話とアリティンティウス史、そして、医術書。
そして、彼が所有してる武器は、ナイフ一本、それ以外の所持品は大きめのリュックサックと衣服が数枚ほどだ。
船にも食料をあまり積まず、身軽な旅を彼は好んだ。
そして、1か月の航海ののち、彼はヒャットコ諸島にたどり着いた。
「ここがヒャットコ諸島か」とシャロは緑豊かなヒャットコ諸島に目を輝かせた。
そして、奴隷として働く人間たち。
シャロはたどり着くが否や、魔獣オークの奴隷として働かせられた。
しかし、2か月も働けば彼の仕事は評価されたが、それは"ある作戦のため"の準備にすぎなかった。
ヒャットコ諸島は、元々はヒャットコという一つの国だったが、魔族の支配によって魔国と名を改められていた。
しかし、シャロは独立運動のための革命を起こした。
シャロはヒャットコ諸島で開発した拳銃を国民に配らせ、オークを次々と殺した。
そして、ヒャットコ諸島を統治していた一匹のオークがシャロを殺そうとしたが、シャロは、額に目がけナイフを投げ、残った魔族は、魔国へ戻っていき、ヒャットコの独立は果たされた。
シャロがアグルアニに戻ると、アグルアニの兵は魔物と戦うための武器の開発に取り組んでいた。
アングロがシャロに声をかけた。
「久しぶりじゃあないか!シャロ!元気してたか?」
「まぁ…ね」
シャロが航海に出てから1年とアグルアニは、変貌を遂げていた。
東の国ニャリオルとの貿易も盛んで、また一部の地域では魔国との貿易もおこなっているという情報を耳にした。
どうも、優生思想を持つ魔王の行動とは思えない。
町を見渡して疲れ切ったシャロはアグルアニ国立公園のベンチで座ってると、シャロのもとに走ってくるコバルトブルーのツインテールの美少女が走ってきた。
「シャロ!シャロ!」これはシャロの故郷アリティンティリウスで仲の良かった少女ひなであった。
「シャロ!会いたかったよ!」
「ひな!生きてたんだね!元気にしていたか?」
「ええ、それより見て」
ひなは、赤子を抱き抱えていた。
「なんて名付けるのだ?」
「ひなたって名付けようと思う。」
「良い名前だ、所でご主人は?」
「実は、兵器を開発している途中に、何者かに暗殺をされたのよ…」
「魔国のスパイがこの国にいる可能性がいるな…」
「いや、そのスパイ?にあたるゴブリンらしき男は、主人を殺めた後にナイフで自決したのよ」
「そっか…残念だったな」
「ねえ、またどこかにいっちゃうんでしょう?シャロ、少し私のそばにいてほしい」
「今夜だけだぞ」
「ええ」
シャロとひなが2人で歩いていると、とある本屋に紫色のハードカバーの本を見つけた。タイトルは"かつて魔王と呼ばれた男" 筆者ジョン・レイリー。
シャロは、その本に興味を示し、シャロは本を購入するために350アルダを払おうとしたが、その本の値段は5500アルダと高額であった。
「この本が欲しい?」
「あ、後でお金は返すからさ!」
「良いのよ」とひなは、"かつて、魔王と呼ばれた男"を5500アルダで購入した。
シャロは、ひなの家に招かれ、ひなは、お手製のディナーを振る舞った。
鶏肉のソテーにパン、そして害獣の骨を煮込んだ出汁とハーブと塩胡椒を加えたスープと、スパイスを煮込んだスープにご飯をかけた「カレー」というメニューを振る舞った。
「美味しそう!見たことのない!メニューばかりだ」とシャロはスープを一口食べ、次々に食事を平らげた。
15分後、胃が重たくなった、シャロは、ひなの庭園の湧水で口をゆすぎ、ひなのもとに帰ってきた。
「ねえ、シャロ…」
「……ひな…」
ひなは、ほっぺにキスをした。
「未亡人って肩身が狭いのよ」
「そうか…」
「だから…ね、」
「ひな、君のことは好きだけど僕にはやらないといけないことがある。
それは、魔王を倒して、世界を平和に…」
「・・・そうね、ごめん。」
「でももう一度僕の方からキスをして良い?」
「うん…」
シャロとひなは、再度キスをした。
シャロはひなにゲストルームに案内され、そこでシャロは"かつて魔王と呼ばれた男"のページを開いた。