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under 500 Ⅱ

それとなく春

今は何。


今はいったい何処。


気温は、上に行ったり下に行ったり。


季節感なんて、ちっとも感じない。


あたたかさなんて、うっとおしいだけだ。


寒さなんて、煩わしいだけだ。




「つぼみだ」


桜は、小さなつぼみを作っていた。


それは、もう春だということを示していた。


それとなく、春にいた。


それとなく、一年が過ぎていた。


春が来るという言葉は、恋愛にも使われる。


だが、その言葉とは無縁だ。


春にフラれ、もう春が来てしまった。


私は、桜の木から去った。


逃げるように。




「すみません。落としましたよ」


そんな言葉が、後ろから聞こえた。


耳に残っていた。


一年経っても、忘れはしない。


あの甲高い声。


あの人で間違いない。


でも、あの人は、まだ私だと気付いていないだろう。


心の奥から、それとなくではなく、はっきりと、春の記憶がよみがえる。


私は、泣きそうな笑顔で振り返った。

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